“外れたタイヤ”が歩行者直撃・・・「真後ろからドン」事故の瞬間【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月14日)

“外れたタイヤ”が歩行者直撃・・・「真後ろからドン」事故の瞬間【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月14日)

“外れたタイヤ”が歩行者直撃・・・「真後ろからドン」事故の瞬間【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年1月14日)

 道路を猛スピードで転がっていく2本のタイヤ。群馬県渋川市の国道で、走行中のダンプカーからタイヤが外れ、転がっている映像です。この外れたタイヤは直径1メートルほどの大きさで、歩道を歩いていた男性を直撃しました。

■直径1メートル超・・・タイヤ脱落

 フェンスは押し潰されたように、ゆがんで変形しています。そして、その奥の支柱も大きく傾いていて、何か鋭いものがぶつかったように折れ曲がっています。塗装も激しく剥がれています。

 ダンプカーから脱落したタイヤのうちの、1本が激突した現場には、すさまじい衝撃の跡が残っています。

 事故が起きたのは、12日の午後0時半ごろ。群馬県渋川市の片側2車線の国道を走っていたダンプカーから、後輪のタイヤが2本脱落し、1本が歩道を歩いていた男性を直撃しました。

 現場近くに設置された防犯カメラが、タイヤ脱落の一部始終を捉えていました。

 画面奥から走ってくる青いダンプカー。その横を2本のタイヤが勢いよく追い越していきます。

 ダンプカーは、すぐに路肩に寄せて停止。タイヤは跳ねながら転がり続け、別の防犯カメラには、1本が中央分離帯を越えて、反対車線のフェンスに激突する様子が映されていました。

 もう1本は、そのまま猛スピードで転がっていく様子が映されていました。

 脱落したタイヤの、直径は1メートル5センチ。ホイールを含めると、重さはおよそ100キロになるといいます。

 事故の目撃者:「(運転手は)ずっとうつむいている感じだったので。かなり困ったような、憔悴したような感じではいましたけど」

 ダンプカーを運転していたのは、群馬県内の運送会社に勤める46歳の女性ドライバー。事故当時、砂を運搬していたといいます。

 事故の目撃者:「この娘と同じくらい、身長ぐらい(タイヤの)大きさがあったので。しかも、反対の車線まで飛んで行っているので、驚きしかないですね」

■歩行者直撃「真後ろからいきなり」

 警察によると、ダンプカーから外れたタイヤは、そのまま国道を転がり続け、交差点を越えた先で、反対車線の歩道を歩いていた男性に直撃。およそ500メートルも転がり続けたといいます。

 衝突の瞬間を目撃していた人によりますと、タイヤがポンポンと跳ねるように転がってきて、向こうに向かって歩いていた男性の背中に、タックルするようにぶつかったということです。

 事故の瞬間を目撃した人:「後ろからタックルされるような感じで、男性がのけ反るように倒れた。すぐに救急車をお願いして駆け寄ったが、声を掛けても反応がない状態だった」

 背中にタイヤが直撃した男性(45)は、大動脈かい離と肝臓損傷、さらに肋骨(ろっこつ)を折る重傷です。

 13日、被害者の男性の父親に話を聞くことができました。

 被害男性の父親:「(Q.息子さんは真後ろから当たった?)真後ろって言っていましたね。本当に後ろから(タイヤが)来たので、何も記憶がないらしいです。いきなり『ドン』って来て、そのまま前に倒れて、気が付いたら病院だったと」

 男性は事故後の記憶がなく、なぜ病院にいるかも分かっていなかったといいます。

 被害男性の父親:「先生にお伺いしたら、『心臓の大動脈が切れていますよ』と。あと『肝臓にもダメージ。体中の骨が折れています。血管の方は、もうちょっと切れる幅が広ければ、即死だったですよ』って」

 事故直後に目撃者が撮影した写真。4本ある左側の後輪タイヤのうち、後ろの2本が根元から外れ、なくなっている様子が分かります。

 被害男性の父親:「一歩間違えれば、死んでいたってことですもんね。(運送会社からは)『全面的にうちのミスなので、大変申し訳ない』と電話頂いた」

 多くの車が行き交う国道で起きた、ダンプカーのタイヤ直撃。

 事故の目撃者:「割と大きなトラックが通るので、常に交通には気を付けているんですけど。身近にこういうことが起こると、やっぱり怖いですね。(衝突現場が)帰りにちょうど(娘が)降りるバス停になるんですけど、同じ時間帯だったらと思うと、ゾッとしますね」

■タイヤ重さは100キロ・・・脱落原因は?

 歩行者の男性に直撃したダンプカーのタイヤ。どれくらい重いのでしょうか?

 日頃から大型トラックのタイヤ交換などを行っている自動車整備工場。工場にあったのは、事故を起こしたタイヤよりも小さいサイズのものですが、このタイヤで60から70キロはあるといいます。

 CARDOCKヌマタヤ・小林俊取締役:「(Q.この重さのものが飛んで来たら?)ぞっとしますね。本当に“走る凶器”としか言いようがない状況」

 走行中のダンプカーからタイヤが外れた原因について、この工場は・・・。

 CARDOCKヌマタヤ・小林俊取締役:「(タイヤは)きちっとした整備工場での取り付けであって、“増し締め”っていうのを行っていると思うんですけど、やっぱりそういったなかでも、人がやっていることなので。締め忘れってことも、ゼロではないと思うので。そういうのが原因の一つになっているのかなと思いますね」

■激突の衝撃・・・人命関わる重大事故に

 歩行者の真後ろから突然ぶつかったダンプカーのタイヤ。タイヤがぶつかると、どれくらいの衝撃を受けるのでしょうか?

 国土交通省が公開している実験映像。実験は時速60キロで走る大型トラックからタイヤが外れ、ベビーカーを押す人形にぶつかる想定で行われました。

 タイヤは、今回の事故と同じ直径1メートル5センチのものです。ぶつかった衝撃で、人形の体はタイヤに沿うように折れ曲がり、およそ4メートルも飛ばされました。

 人形に取り付けたセンサーを解析したところ、頭蓋骨骨折や大動脈破裂など、人命に関わる重大事故につながる可能性が高いという結果が出ています。

 事故を起こした運送会社によれば、トラックは先月上旬に、業者に依頼してタイヤを冬用のスタッドレスに交換したばかりでした。

 事故を起こした運送会社:「運転手によると、この日の朝の日常点検でも、異常はなかったということでした。被害者の方には、本当に一日も早いご回復を祈っています」

 警察は、タイヤが外れた原因や、車両の整備状況などについて調べています。

■冬急増 左後輪で多発・・・原因と対策

 去年度に起きた、大型車のタイヤ脱落事故の件数です。

 外れたタイヤの95%が、今回の事故と同じ左の後輪です。なぜ、左の後輪がよく外れるのか、国土交通省によりますと、右折する時は比較的速い速度で曲がるため、遠心力で積荷の重さが左の後輪に掛かる可能性が考えられます。

 また、左折する時は、低い速度で左の後輪がほとんど回転しない状態で曲がるため、タイヤがよじれて負荷が掛かる可能性が考えられるといいます。

 さらに、タイヤの脱落事故は冬に集中して発生しています。去年度の事故の65%は11月から2月の間に起きていました。

 冬に集中するのは、冬用のタイヤ交換後に事故が多く発生する傾向があるからですが、特に交換して1カ月以内に最も多く事故が発生しています。

 なぜなのでしょうか。大型車にはタイヤ交換後、一定距離を走ると、“初期なじみ”といわれる緩みが発生する恐れがあるといいます。

 そのため、国交省は50キロから100キロ走行した後に、緩みを補う“増し締め”を行い、さらに日常的な運行前の点検を行うように、注意を呼び掛けています。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年1月14日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事