「背に腹は代えられない」孤立化で北朝鮮に急接近?ロシア“次の一手”専門家解説(2022年9月7日)

「背に腹は代えられない」孤立化で北朝鮮に急接近?ロシア“次の一手”専門家解説(2022年9月7日)

「背に腹は代えられない」孤立化で北朝鮮に急接近?ロシア“次の一手”専門家解説(2022年9月7日)

ロシアのプーチン大統領は、ウラジオストクで開催された東方経済フォーラムで演説しました。30分以上のスピーチ。プーチン大統領の思惑はどこにあるのでしょうか。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.長い演説でしたが。どのような印象を受けましたか)
意気揚々としたスピーチ。昔の切れ味のいいプーチン大統領が戻ってきたという印象を受けました。今回、2つのクリアなメッセージを国際社会に訴えたと思います。1つは、ロシアに制裁を加えている欧米諸国が、今後、衰退するという批判。そして、もう1つは、ロシアを孤立させることは不可能であり、ロシアは特別軍事作戦以降、何も失っていない、そして、今後も失わないという強がりの姿勢を見せました。この2つを国際社会にアピールしたと思います。さらに、ヨーロッパがロシアのガスを必要としないなら、他国と協力するとも発言しました。日本も含めた欧米諸国と、決別宣言をしたとも受け取れるような強い発言もしています。

(Q.東西冷戦時代のリーダーのような気分なのでしょうか)
それに近い感覚があるような気がします。プーチン大統領は、世界の2極化はロシアには利益になると発言しています。欧米との対決姿勢を強調しながら、第2の冷戦を生き抜くという覚悟みたいなものが、今回の演説から感じ取れました。ただ、冷戦時代、ソ連はアメリカと対峙していましたが、いまのロシアは1国ではできないので、より一層、中国などとの連携を深めざるを得ないという状況です。今月中旬、ウクライナ侵攻後、初めて、習近平国家主席とウズベキスタンで首脳会談が予定されています。大規模軍事演習は終了しましたが、中ロの軍事的連携のみならず、政治面、経済面での一体化が進んでいくのではないかと思います。

ロシアは北朝鮮との関係を深めています。アメリカ国防総省・ライダー報道官は「ロシアが北朝鮮に弾薬の調達を打診した情報はつかんでいる」と述べました。また、ロシアのフスヌリン副首相は、先月、「北朝鮮の建設業者がドンバスの再建に関与する可能性がある」と明らかにしました。国連安保理の制裁で、北朝鮮の労働者受け入れは禁止ですが、ドネツク・ルガンスク人民共和国は国連に入っていないので制裁には関係ないというのがロシア側の見解です。

(Q.いまの北朝鮮にも頼らざるを得ないということでしょうか)
ロシアは追い込まれていて、背に腹は代えられないということだと思います。武器・弾薬が枯渇するなか、北朝鮮は旧ソ連製の弾薬を保有しています。弾薬の提供を、ロシアが頭を下げて協力を求めたと思います。ただ、北朝鮮は7月中旬に、ドンバスの2つの人民共和国の主権国家としての独立を承認しています。だから表向きは、2つの人民共和国と北朝鮮とのやり取りであって、ロシアが直接、北朝鮮に頭を下げているわけではないという体裁を装うと思います。ただ、ロシアとしては、中国や北朝鮮の協力なしでは、欧米諸国との対立を進めていくことはできないという状況に追い込まれていると思います。

演説のなかで、プーチン大統領は、ドンバス住民の保護を、この責任を最後までロシアが果たすと言明しています。中国や北朝鮮に協力を求めても、強い意志を持って、戦争を続けていくのではないか。残念ながら、長期化は避けられそうにありません。
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