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【報ステ解説】岸田総理は増税に失敗した?防衛増税“事実上先送り”の意味(2022年12月15日)
連日、議論が続いていた「防衛増税」の問題。自民党の税制調査会は15日、増税方針を了承し、議論は決着したのですが、党内の強い反発を受け、具体的な実施時期は盛り込めず、事実上の“先送り”となりました。
会合では、1兆円分の増税について、その具体的な税率が示されました。
軸となる法人税は、税額に4~4.5%を上乗せ。たばこ税は、加熱式たばこ1本につき、3円を増税します。
さらに、復興特別所得税からの転用です。
今は2037年までを期限として、所得税額に2.1%上乗せされていますが、1%引き下げて期限を延長へ。そのうえで、新たに税率1%の防衛のための税を創設するといいます。
ただ、こうした増税をいつから始めるのか。「2024年以降の適切な時期」として、その詳細は決まりませんでした。
党内からは、事実上の“無期限延期”との声も上がっています。
自民党・宮澤衆院議員:私としては無期限延期“防衛増税”無期限延期。そういったことで納得したところ。
「プロセスに問題があった」との指摘も相次ぎました。
自民党・柴山衆院議員:なぜこの年末の税制大綱に、何が何でも入れないといけないのか。やはり疑問符をつけざるを得ない。
自民党・平沢衆院議員:いろいろ反省すべき点はあるでしょうね。「財務省は謝れ」というような声も出ていた。やっぱり手続き的には問題あると思う。
「断固反対」を掲げていた議員は…。
自民党・和田参院議員:反対を貫いた人間は10名くらいいたと思うんですけど、増税なき防衛費増額を勝ち取っていかなくてはならない。
そもそも、復興税をめぐっては、当初20年程度の延長と言われましたが、14日に14年延長案が浮上。そして15日、「延長期間は必要な長さ」と、議論は先送りされました。
混乱を示す事態は他にもありました。
ことの発端は、13日の自民党役員会。終了後に茂木幹事長が紹介した、岸田総理の発言が問題となりました。
自民党・茂木幹事長:今を生きる“国民”が、自らの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべきものである。
インターネット上などでは「上から目線」などの批判が噴出。その後、実際には“我々”だったと修正されました。
松野官房長官:総理の実際の発言と異なる紹介がされたことに、14日になって総理秘書官が気付き、訂正を求めたものであり、事務的なミスであったと。
“事実上の先送り”とも言える、防衛増税をめぐる議論。取りまとめた、幹部からは…。
自民党・甘利前幹事長:自分に返り血を浴びることも覚悟して、いずれは分かってもらえると。その時まで一生懸命、説得をする。受けの悪い政策も、ときにしなきゃいけない。
自民党・宮沢税調会長:(Q.今回の結論は事実上の先送り?)経済状況等々を見ながら、適切な時期に実施すると書いた。決して先送りではない。
***
◆政治部官邸キャップ・山本志門記者
(Q.今回の税調の顛末。「岸田総理は失敗した」と言っていいのではないでしょうか?)
そうだと思います。
ある官邸幹部は、この間の岸田総理の思いについて「防衛予算に赤字国債は出さないという信念で、ブレることはなかった」と話しています。
ただ、実際のところは、自民党側から相当、押し込まれた形だと思います。
安定財源の確保に向けた増税の時期は明記できず、2024年度以降とあいまいにしました。
そのうえで、実際のところは、2025年度から増税を始めるということで、内々に自民党幹部と握っているようです。
できるだけ増税を遅らせたい自民党側に配慮した形で、最終的な決着を図ったと言えると思います。
(Q.岸田総理が首尾よくことを運べなかった原因は何ですか?)
この1週間の議論を見ていて、私も違和感を感じざるを得ませんでした。
自民党議員からも「議論についていけない」という声も多く上がる中で、国民を巻き込んだ議論は、置き去りにされていたと思います。
総理周辺は、決め方について「反省すべきところはあった」と振り返っています。
そもそも、なぜ防衛力を強化しなければいけないのか、そのためにどんな装備が必要か、予算はどの程度必要なのか、こういった議論はなく、増税の話しばかりが先行して進んでいきました。
岸田総理は「所得税は上げない」という趣旨の発言をしていましたが、復興税の期間延長は事実上の増税ではないのか。さらに、国債を使うのか使わないのか。納得感のある答えは乏しかったと思います。
岸田総理は16日、記者会見を行う予定で、国民に対して説得力のある説明がなされるかどうか注目したいと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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