川上憲伸さんも驚く大谷の“異次元”さ 打者打ち取る「新たな武器」とMVP獲得は?(2022年9月4日)

川上憲伸さんも驚く大谷の“異次元”さ 打者打ち取る「新たな武器」とMVP獲得は?(2022年9月4日)

川上憲伸さんも驚く大谷の“異次元”さ 打者打ち取る「新たな武器」とMVP獲得は?(2022年9月4日)

MLB移籍後、初めて二桁勝利をあげるなど、ピッチャーとしての活躍も光る今シーズンの大谷翔平。好調の秘密はどこにあるのか。元メジャーリーガーで野球評論家の川上憲伸氏に聞いた。

Q:今シーズンのピッチングのすごいところは?
川上憲伸さん:「ゴロアウトを取れる“新しい武器” ツーシームを習得」

大谷選手のピッチングのすごいところは掴みどころがないところ。僕は、一番得意なスプリットで今シーズンはいくのかなと思っていました。シーズン最初の1カ月くらいは、そういうピッチングをしていましたけど、急にスライダーを多めにしたんですね。衝撃的だったのは、スライダーがもっと激しいスライダー、すごく曲がるスライダーになったこと。メジャーリーガーもこんなスライダーを見たこともないんじゃないかというスライダーを武器にし始めてから、三振の量が考えられないくらい増えていきましたよね。このスライダーを武器にやっていくのかなと思ったら、最近はまた160キロ近いツーシームを武器にしている。大谷選手は、初めてシュート系のツーシームというボールも投げるようになったんですが、僕が一番びっくりするのは、変化球って、プロのレベルだったら誰もがちょっと覚えて、すぐ投げられることは投げられる。だけどそれでバッターを打ち取れるかといったら、普通はかなり時間がかかるんですね。それを簡単にモノにしていくのが、器用というかすごいなと感じますね。このツーシームというのは結構ストレートに見えるんですよ。バッターが打ちにいったときに、空振りじゃなく、バットに当たってしまって、ゴロアウトが取りやすくなる。アメリカではグラウンドボールピッチャーというんですけど、どの球団もそういうピッチャーを欲しがるんですよ。あれだけバッティングもやっていて、大谷選手はそんなに練習の時間とれないはずなんですよね。1週間に1回、軽くブルペンに入るくらいなのに、少し練習するだけで投げられるというところが、我々ピッチャー出身からすると、ちょっと異次元の世界ですね。

Q:2年連続MVP受賞の可能性は?
川上憲伸さん:「規定投球回数に達したら、話は一気に別物」

やはり100年以上前のベーブルースの記録、10勝&10HRを超えたことは大きい。僕もメジャーリーグに行って思うんですけど、伝説の人ですよね、ベーブルースっていう人は。誰もが憧れるというか。そんな選手の記録を上回ったことは、かなりのポイントになったと思います。あとは、規定投球回数に達したら、話は一気に別物になると思いますね。メジャーの歴史の中で規定投球回数と規定打席をダブルで達成した人はいませんから。これはかなりのポイントになると思いますね。先発ピッチャーって規定投球回数を達成して、初めて1年間ローテーションを守ったということになるんです。規定投球回数に達したことで、数字が残っていくんですよね。たとえば防御率の数字や順位も、規定投球回数に達してないと、その数字は残っていかないので、ローテーションピッチャーの1つの目標なんですよ。アメリカでは162イニングですから、コンディション不良があると、まずそこまでいかない。ケガすることなくやるというところが重要になってくるんですよね。

Q:メジャーリーグで規定投球回を達成する難しさは?
川上憲伸さん:「アメリカでは絶対的エースでも100球で交代させられてしまう」

日本とアメリカの大きな違いというのは、アメリカでは100球前後でピッチャーを交代させられてしまうというところなんですよ。日本だとイニングを考えるんです。球数というよりも。エース級だったら7イニングから8イニングとか、そういったところを考えていくんですけど、アメリカは絶対的などんなエースも100球なんです。チームのローテーションを安定させていくために。

Q:規定投球回数まで、残り34イニングだが?(※9月3日時点)
川上憲伸さん:
すごく微妙ですね。100球=6イニングなんですよ。そう考えると、ズバリですけど、1試合失敗したら終わりなんですね。1試合でも、打ち込まれてしまったりして3イニングとか4イニングで早めに交代してしまうときついと思います。次の試合とかで、なるべく早く8イニングくらい稼げるとちょっと気持ちが楽になりますね。体に負担の少ないツーシームだったり、カットボール、スプリットなど速い変化球でバッターをどんどん打ち取っていくことを考えられると、大谷選手の能力からしたら、問題ないんじゃないかなという感じがしますね。

Q:9月は疲労もあると思うが?
川上憲伸さん:
これね、皆さん思うじゃないですか。シーズン最後になってきたら疲労がどうのこうのって言うんですけど、逆ですね。シーズン最後の方というのは、モチベーションが上がってる分、逆に体は動ける感じがしますね。疲労はほとんど感じないと思います。もちろん蓄積した疲労はあると思うんですけど、精神的に自分が疲れてるなとか、そういった実感はないと思いますね。

Q:川上憲伸さんが考えるMVPは誰?
川上憲伸さん:
もちろん、大谷選手です。同じ野球選手、同じ野球人として、打つ方も投げる方もできるというのが一番最高のプレーヤーだと思う。世界において、投げる方も打つ方もトップという選手は二度と出てこない気がします。メジャーリーグではなくて“野球のMVP”だと思いますね。

サタデーステーション9月3日取材 取材:四宮 謙太郎
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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