政府の“全数把握”見直しで混乱も 療養証明発行や保険金にまさか影響(2022年8月31日)

政府の“全数把握”見直しで混乱も 療養証明発行や保険金にまさか影響(2022年8月31日)

政府の“全数把握”見直しで混乱も 療養証明発行や保険金にまさか影響(2022年8月31日)

 コロナの療養から復帰した岸田総理は会見を開き、感染者の全数把握の見直しは「もう少し状況を見て時期を決定したい」との考えを示しました。自治体と足並みがそろわず、困惑が広がっています。

 療養期間中、身を持って感じたといいます。

 岸田総理大臣:「今回、コロナに感染して強く感じたことはワクチンの有用性です。10月から開始予定のオミクロン株対応の新たなワクチンの接種について、その開始をさらに前倒しすることと致します」

 新型コロナへの規制緩和が加速するなか、ワクチンとともに注目されるのが、医療機関の負担軽減を目指す、「全数把握」の見直しです。

 岸田総理大臣:「全国ベースでの全数届け出、あるいは陽性者の自宅療養の在り方、こうしたこと(の導入時期)については、もう少し感染の状況を見ながら確認したうえで、時期を決定したい」

 現在、すべての感染者の情報を報告する「全数把握」は、9月2日から選択制が取られ、各知事の判断で、届け出の対象をリスクの高い患者に限定することができます。

 知事会からの意向を受けての見直しでしたが、手を挙げたのは、宮城、茨城、鳥取、佐賀のわずか4県。

 その内の1県、茨城県の病院では…。

 茨城西南医療センター病院・野村明広院長:「以前からずっと、保健所の職員の睡眠時間が削られているっていうのは聞いてましたので、このまま続けば持たないだろうなと思っていましたので、これはやむを得ない変更かなというふうには思っています」

 政府は「感染の状況を見ながら」、今後は全国一律で届け出対象を「重症化リスクの高い患者」に限定する方針です。

 しかし現状の態勢では不安もあります。

 そもそも、見直す考えを明らかにしていたにもかかわらず、今回手を挙げなかった神奈川県。

 神奈川県・黒岩祐治知事:「今のままの状態で全国統一でやると言われても、制度上の矛盾が解決されない限り、乗りようがない」

 県内のクリニックでは、軽症者に対する扱いがどうなるか、疑問を感じています。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「全数把握を終了することで、今までできていたサービス、例えば療養証明書、食料品の配送サービス、軽症者が利用すべきであるサービスが、個人情報が保健所で把握できていない故に、そういうサービスが利用できない事態になる。これは問題」

 また地理的な問題もあります。

 多摩ファミリークリニック・大橋博樹医師:「都道府県ごとに対応が異なってしまうと、私たちのクリニックみたいに、神奈川県からも東京都からも(患者が)来るような場合、診療所で混乱が起きてしまうことがあるのかなと思う」

 政府のアドバイザリーボードのメンバーである、阿南英明医師によると、発生届には3つの役割があり、1つは陽性者の数を把握すること、2つ目は個人を特定すること、そして、3つ目は対象者の外出自粛など、法的な制限や、それに伴う支援をすることです。

 「発生届」のない人は、こうした制度の枠外に置かれることになりますが、厚労省の通達では、発生届のない人に対し、これまで通りの措置を取るものと、そうでないものが混在し、混乱が生まれることと、個人を特定しないことで運用が難しくなることが生じると指摘します。

 さらに、見直し後には療養証明書が発行できないことも問題をはらんでいます。

 福岡県・服部誠太郎知事:「療養証明書の発行については、個人が特定できないと、今までのように保健所からの発行ができなくなる。そうすると、発熱外来への療養証明書の発行依頼ということになるので、かえって医療機関の負担が増えるのではないかという懸念もある」

 その療養証明書が必要となる入院給付金について、保険各社が見直しする方向で検討することが分かりました。

 多くの人に給付金が支払われなくなる可能性が…。

 新型コロナの感染者に支払う医療保険の入院給付金について、今後どのような変化があるのでしょうか。

 経済部・進藤潤耶デスク:「今までは、感染した人全員に重症化リスクがなくても、保険金が支払われていた。給付の対象が見直されると、その後に感染した人は、重症化リスクがない場合(保険金が)もらえなくなる可能性が出てくる」

 コロナ軽症者のカウントをやめる政府に、金融庁から通達を受けた保険会社が足並みをそろえた形で、保険金を支払う対象から軽症者を除外する方向で検討することが分かりました。

 経済部・進藤潤耶デスク:「支払いの対象となる人が減ることで、入院給付金が急増したといわれるが、経営が圧迫していた部分も社によってはあったので、そこは軽減される」

 全数把握の見直しは、各方面に影響を与えるようです。

 岸田総理大臣:「全国ベースでの全数届け出の見直し、陽性者の自宅療養期間の見直し、健康フォローアップセンターを含めた、新たな療養体制などの全体像はおおむね固まっており、移行の準備を進めています。ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像について、適切なタイミングで改めて公表します」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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