「この痛みを表す言葉は見つかりません」災害関連死の認定に壁  熱海市の土石流災害【現場から】|TBS NEWS DIG

「この痛みを表す言葉は見つかりません」災害関連死の認定に壁  熱海市の土石流災害【現場から】|TBS NEWS DIG

「この痛みを表す言葉は見つかりません」災害関連死の認定に壁  熱海市の土石流災害【現場から】|TBS NEWS DIG

シリーズ「現場から、」です。去年7月に静岡県熱海市で起きた土石流災害では、被災のストレスなどによる災害関連死で1人が亡くなりました。その遺族が初めて、関連死認定までの苦しさを手紙で綴りました。

住民27人が犠牲となった熱海土石流災害。このうち1人は災害関連死、被災によるストレスや避難生活などの間接的な要因で亡くなりました。

追悼式典に参列した伊東真由美さん。災害関連死で父親を亡くしました。

災害関連死で父親を亡くした 伊東真由美さん
「この痛みを表す言葉は見つかりません。言葉にならないですね」

「災害遺族としての私の原風景は申請書類であり、手続きであり、規則集を読み込むことでした」

あの日、自宅にいた伊東さんの父親は土砂で逃げ道をふさがれ、消防や近所の人に助けられたといいます。その後、避難先のホテルで暮らしていましたが、災害から2か月後、体調が急変。脳出血により、亡くなりました。

伊東さんは災害関連死の申請のために市役所を訪ねました。認められると弔慰金が支給されます。しかし…

「そもそも熱海市には、災害関連死を審査する条例と申請書類がないと説明されて、拍子抜けするほど驚きました」

災害関連死の認定には、災害と死亡との因果関係を確認する必要があります。自治体ごとに審査委員会を設けることになっていますが、熱海市にはその仕組みがありませんでした。

熱海市 長寿介護課 小山みどり課長
「まだ災害関連死という言葉自体の認識も、なかなか持ち合わせておらず」

「ほかの自治体の関連死の書式で申請の練習をしていました。ある時からパソコンに向かって文を書いていると、涙がさらさらと流れるようになりました。もし認定されなかったら、父がもう一度死んだように感じるだろう。そのような喪失感を味わうくらいなら、申請はしない方がよかったのではないかとぐるぐると揺れていました」

熱海市が条例を改正し、災害関連死を認定したのは伊東さんの父親の死から半年ほどが経ってからでした。

災害関連死に注目が集まったのが熊本地震です。長引く避難所生活のストレスなどが重なり、死者273人のうち、実に218人が関連死で命を落としました。

JNNが静岡県内全ての自治体に行ったアンケートによると、審査会の設置を規定している自治体は8つ。7割を超える自治体では整備が完了していません。

熱海市 長寿介護課 小山みどり課長
「災害に関係するもので見直せるものであったり、準備ができるものは事前にしておく、平時の備えをしておくことが本当に大切だと実感した」

南海トラフ地震など大規模災害が想定される中、自治体にはいまだからこそできることがあるはずです。

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