「本当に許せない」再審無罪の青木さん国賠訴訟『国側が出廷せず』和解は事実上決裂へ(2022年1月12日)

「本当に許せない」再審無罪の青木さん国賠訴訟『国側が出廷せず』和解は事実上決裂へ(2022年1月12日)

「本当に許せない」再審無罪の青木さん国賠訴訟『国側が出廷せず』和解は事実上決裂へ(2022年1月12日)

26年前の1995年に大阪市東住吉区で小学6年生の女の子が死亡した火災で殺人の罪などに問われた母親は無期懲役が確定しました。しかし、その後の裁判のやり直しで無罪が確定したため、国などに損害賠償を求める裁判を起こして、裁判所は和解を勧告していましたが、国側は1月12日の裁判に出廷せず、和解は事実上決裂しました。

 青木惠子さん(57)は1995年7月、大阪市東住吉区の自宅に放火し、娘のめぐみさん(当時11)を殺害したとして無期懲役の刑で服役しました。しかし、青木さんは無罪を訴え続けて20年に及ぶ服役の末、2016年の再審(裁判のやり直し)で“自然発火の可能性”があり、警察などが“虚偽の自白”をさせたとして無罪が確定しました。

 再審を求める中で明らかになったのが、当時行われていた警察の苛烈な取り調べでした。取り調べでは「めぐみちゃんに謝る気持ちはないのか」「真実は1つやぞ、いくらメッキをしても鉄は鉄や金にはならんのや」などと言われたということです。取り調べは10時間以上続き、時には、めぐみさんの写真を見せながら大声で自白を迫っていたということです。

 無罪を証明した青木さんの闘いはこれで終わりではありませんでした。青木さんはその後、「違法な捜査で20年以上身柄を拘束された」などとして、国と大阪府に対し約1億4600万円の賠償を求めて提訴しました。

 しかし、国や大阪府側は「違法な捜査はなかった」と反論しました。争いが長期化するなか去年10月に大阪地裁は、平成の事件が令和まで争われていることを背景に、「国や大阪府が青木さんに損害賠償を行うこと」「再発防止」などを盛り込んだ和解勧告を双方に行ったといいます。

 (青木惠子さん 去年12月16日)
 「国に責任があるとなったら、世間も大分変わるんじゃない?冤罪のことについても、ちょっとずつ浸透もしてきてるし。いつまでも私が裁判で闘い続ける苦しみをもって、最後の裁判にしてくださいというのも全部含んで、和解にすれば最後ですよね。当然。そのように言ってもらって感動して、胸がいっぱいになりました」

 しかし、青木さんの思いが国や大阪府に伝わることはありませんでした。青木さんの代理人弁護士によりますと、1月12日の裁判に国側が出廷せず、和解は事実上決裂したということです。

 (青木惠子さん 1月12日)
 「和解成立を望んでいましたが、国が応じないということで本当に許せない思いです。反省もなく、検証もしない。あの人たちはどういう考えをしているのか」

 和解協議は来週半ばにも正式に打ち切られる見通しで、判決は今年3月15日に言い渡されることになります。

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