「臭いがヤバい」汚水の川に集まる薬物中毒者…カブールの“地獄”を取材 アフガニスタン|TBS NEWS DIG
イスラム主義組織タリバンがアフガニスタンの実権を握って1年が経ちました。権力に対峙する女性やメディアも見られる一方、貧困の中で薬物に蝕まれる市民も多く存在します。現地の今を緊急取材しました。
アフガニスタンの首都カブールで行われた女性の権利を求めるデモ。「パン、仕事、自由」と声をあげます。すると…、タリバンの戦闘員が空中に向け発砲、デモを解散させようとしました。
記者
「女性活動家のデモがここから100メートルくらい先で行われていたんですよ。私たちも近づこうとして歩いていたんですけど」
デモを取材中に一時拘束された現地独立系メディアの女性記者は、不満を隠しません。
TOLOニュース記者 トバ・ワリザダさん
「いきなり暴行されそうになったから『私がどんな悪いことをしたの?』と聞いた。すると『黙っていろ』『何も話すな』と言われ、連行された」
ワリザダさんは最大手の独立系メディア・TOLOニュースの記者。TOLOニュースは、タリバンによるアフガニスタン制圧後も積極的に活動し、この1年で採用した社員の7割は女性だといいます。
TOLOニュース マネージャー ヒクマット・サフィさん
「(タリバン政権になって)女性が安全に働ける場所が無くなってしまった。しかも男性よりも機会が少ない。私たちは女性に自由に働ける場所を提供したかった」
ただ、抑圧は日に日に厳しくなっています。生放送中には…
記者
「キャスターの女性がマスクをつけました。マスクをつけないでOAに出ることはできないんですね」
タリバンは女性のキャスターに頭髪を隠すだけでなく、目以外の部分を黒い布で覆うよう求めています。
TOLOニュースキャスター ソニア・ニアジさん
「マスクによって私たち女性の個性が失われていく感じがしている」
これまで、タリバンによる放送内容への介入はないといいますが…
TOLOニュース マネージャー ヒクマット・サフィさん
「1つ目、もし『嘘』を強要されたらすぐに放送をとめる。2つ目、もしプロパガンダを強要されてもその日に放送をとめる、即座に放送局を停止する」
抑圧に抗おうという動きもある一方、依然、多くの市民は厳しい貧困に直面しています。
首都カブールには、住民が「地獄」と呼ぶ場所がありました。
記者
「ここ川なんですが、完全な汚水が流れていて、中に住んでいる人たちがいる。刺激臭と腐敗臭と熱気と一緒にミックスされて。しゃがんでほとんど微動だにしない、ほとんどの人たちが麻薬中毒者なんだそうです」
川に集まるのは、薬物中毒者たちです。
記者
「安価で劣悪な質の悪いヘロイン、アヘン系、覚せい剤がまん延していて、ここでの生活から抜け出せなくなってしまっている。見えるかな、吸ってますね」
周辺を警備するタリバンから許可をもらい、さらに近づくと…
記者
「うぉ臭いがヤバい…。煙がですね充満しているんです。むわっとしている。これ以上行くと、麻薬を中でいぶして吸っている可能性が高いので、我々も吸引するリスクもあるから」
ここには数千人が暮らしていて、冬には寒さと飢えで毎日のように死者が出ているということです。
近くの住民
「神はあの麻薬中毒者たちを呪うでしょう。でも中毒になった原因は、とてつもない貧困があるからなんです」
国連の報告書によると、世界に供給されるアヘン系薬物の8割以上の製造元とされるアフガニスタン。タリバンが実権を取り戻す前、アメリカは前政権と協力し、タリバンの資金源を断とうと麻薬ネットワークを叩きました。
しかし、市民の間に薬物が出回る事態は放置され、取り締まりが追いつかないタリバンも事実上黙認せざる得ないのです。
タリバンが実権を握って1年。アフガニスタンの再建には今なお、大きな壁が立ちはだかっています。
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