元教会長「山上が高校のときから交流」 安倍元総理銃撃から1カ月…“空白”の17年(2022年8月8日)
安倍元総理の銃撃事件から1カ月が経ちました。
殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)。彼は一体、どんな人生を歩んできたのでしょうか。特に、海上自衛隊をやめてから、事件に至るまでの期間については、詳細があまり明らかになっていませんでした。今回、この“空白の期間中”にも、山上容疑者と交流をしていた旧統一教会の関係者に話を聞くことができました。
話を聞かせてくれたのは、山上容疑者の母が通っていた奈良市内の教会で2009年まで教会長を務めていた男性Aさんです。山上容疑者が高校生のころから親交は始まりました。
1998年、山上容疑者は10代のころ、母親が通う教会のセミナーを受けていたことがありました。自身の母親がのめり込んでいる統一教会とはどういうものなのか、自分の目で見て確かめたかったように映ったといいます。このとき、山上容疑者の母親が入信してから7年が経過。すでにかなりの額の献金が行われていたとみられます。
その後、2002年に母親が自己破産。同じ年に山上容疑者は、海上自衛隊に勤め始めました。その3年後、その勤務地の広島で自殺を図ったといいます。生命保険の受取人を母親から2人の兄妹に変更したうえでのことでした。
一報を受けた親族は、当時をこう振り返ります。
山上容疑者の伯父:「すぐ連絡したが(母親の)所在がわからなかった。統一教会に連絡したら“40日行”かなんかで韓国に。帰ってくるかと思ったら、その“40日”帰ってこない」
広島で入院していた山上容疑者を迎えにいったのは、当時、教会長になっていたAさんでした。「何でこんなことしたのか」と聞くと、「少しでも妹の生活の足しになるかと思って」と、はにかんだ表情を見せたそうです。
一家の窮状を知ったAさんを窓口にして、返金についての協議が始まりました。当時、Aさんのもとに、山上容疑者から返金をめぐって、こんなメールが送られてきました。
Aさんの元に届いたメール(2005年11月):「Aさん。これ以上の面倒ごとは御免だというお気持ちはわかりますが。裏切るつもりはない、とおっしゃっていたのは覚えておりますので、こちら側としましても、はっきり金額を決め譲歩している事ですし、何とか堪えていただけませんでしょうか」
その後、数年かけ、1億円以上とみられる献金のうち、5000万円を返金するという合意がなされました。一度に全額ではなく、月に30万~40万円ほど、現金による手渡しだったといいます。
このころ、山上容疑者はひとり暮らしを始め、アルバイトで生計を立てるようになりますが、人間関係がうまくいかず、職を転々としていたようです。山上容疑者は、その悩みをAさんに打ち明けています。
Aさんの元に届いたメール(2006年3月):「バイト先の事務所で揉めて、しばらく行かないのでよろしく、とかメールで送ってしまいました。もうクビになっているかもしれませんが、相談に乗ってもらえないでしょうか? 私のコミュニケーション力不足から気を遣わせてしまい、何だか雰囲気が悪くなってしまいました」
Aさんに「資格を取る」という話もしていたそうです。その言葉を実行にうつします。山上容疑者は、20代後半からの数年間で、建築関係やフォークリフトの資格などを取得しました。このころの山上容疑者からは、生活を立て直そうとする意思が感じられます。しかし、2015年、山上容疑者が35歳のとき、闘病していた兄が自殺します。
折しも、教会からの返金が終わり、家族をめぐる金銭面の状況が一変したタイミングです。母親は、教会の修行などに参加するため、韓国への渡航を繰り返す状態が続いていました。
当時、山上容疑者を面接した派遣会社は、こう話します。
2016年に面接した派遣会社:「“ボソボソ”話をすることしか記憶にない。自信がないんでしょうかね。履歴書の中の『希望欄』には“週払いの希望”と書かれていた。手元のお金が、やっぱり乏しかったのではという気はした」
それから数年後、山上容疑者は、教会への敵意を実際の行動にうつすようになっていきます。供述によりますと、2019年には、『世界平和統一家庭連合会』に名称を変えた教会のトップ襲撃を計画。愛知の会場に火炎瓶を持って行きましたが、中に入れず、未遂に終わったといいます。
その直後から始めたとみられるツイッターです。
山上容疑者のものとされるツイッター(2020年9月):「『為すべきことを為せ』為すべきことを為していたら、今オレはここにいない。オレが殺すべきだったのはアイツか、オレか」
攻撃の準備は時間をかけて、周到に行われました。ネットで調べ、銃をいくつも製作。火薬も自分で配合していました。また、シャッター付きのガレージを借りていました。自ら作った銃弾用の火薬を乾かす作業をしていたといいます。そして、先月8日、安倍元総理を散弾銃で撃ったのです。
あれから1カ月。山上容疑者の母親と今も連絡を取っている教会関係者によりますと、母親は「安倍元総理の遺族に謝罪したい。自分で献金の経緯などを説明したい」と話しているそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く