「価格転嫁うまくいかず収益を圧迫」 原材料などの高騰が原因“物価高倒産”急増中(2022年8月8日)
物価上昇の影響を受けた企業の倒産が急増していることが8日、新たに分かっています。
帝国データバンク・上西伴浩情報統括部長:「物価高による倒産が急増している。様々なものがコストが上がったなかで、価格転嫁がうまくいくところいかないところで収益を圧迫するのが『物価高倒産』の要因」
原油や燃料、原材料などの高騰が原因の物価高倒産。今年は過去5年で最多だった去年を大幅に上回るペースで、すでに116件に。先月は月の最多となる31件で、早ければ来月には年間最多を更新する見込みです。
かつてない物価上昇の危機で飲食業界の我慢は限界に。
東京・浅草の天ぷら店は苦渋の決断。
天麩羅秋光・谷原秋光店主:「値上げしないと店が回らず、従業員に給料が払えない、利幅が減るので」
天丼など食べ物のメニューをすべて今週から13%値上げします。創業以来、初めての値上げに踏み切ったわけは…。
天麩羅秋光・谷原秋光店主:「まだ倒産していないけど倒産は心配。一番すごいのは油が値上がりして2年前に比べたら倍以上」
天ぷらに欠かせない油は仕入れ値が2年前の倍以上に。小麦粉やエビなど多くの食材が高騰しているといいます。
天麩羅秋光・谷原秋光店主:「油・小麦・食材もあらゆるもの全部(が値上がり)。これで終わりではない。12月くらいにも上がるといわれていて、材料費がとんでもないことになる」
一方、お客さんは。物価が上がる一方で給料は上がらず、財布のひもは堅いようです。
店に来た客:「結構皆、値段が上がっているから、どうしても家で食べることが多くなった」
天ぷら店では新型コロナの感染拡大で夜の客が激減。猛暑にぴったりの冷やし天丼など夏メニューを提供するなど、客の減少をくい止めようと必死です。
止まらない物価高は卸売り業にも影響。
日栄商事では食用油や冷凍食品などをおよそ8000の飲食店に配送しています。ところが…。
日栄商事・坂本敦彦常務:「ここ1年で7割ぐらいの商品が値上げになった。多分、もう1年のうちには100%すべてのものが値上げになる」
取引先の飲食店が相次いで廃業に追い込まれているといいます。
日栄商事・坂本敦彦常務:「協力金が出ないような状況になると、小さな飲食店や高齢者が経営する店は『ここで閉めようか』と。もしくは倒産のような状態になる店がかなりある」
ただでさえ感染拡大で飲食店からの注文が極端に減っているなか、飲食業全体の停滞は免れないという懸念が出ています。
小宮商店・小宮隆社長:「店がなくなれば、それだけ売り上げが落ちてくるので影響が出る。非常に難しい時代になってきた」
物価高倒産は今後、さらに増える恐れが。
帝国データバンク・上西伴浩情報統括部長:「まだまだ序章に過ぎない。実際には秋から年末にかけて原材料コストや原油高の問題はこれから来る」
政府は小麦などの原材料を輸入品から国産品に切り替える支援や食用油を長持ちさせるためにろ過装置を導入するなど、費用コストを抑える対策を行っています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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