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自宅療養“病状急変” 救急隊“100件電話”も搬送先なし…“感染から半日”男性死亡【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年8月1日)
先月31日は、全国で確認された新規感染者は19万人を超えました。日曜日としては、過去最多です。感染者の増加に伴って、医療の現場は逼迫(ひっぱく)しています。救急隊が100件電話しても、搬送先の病院が見つからず、自宅で亡くなるという患者も出ています。
■持病持ち患者 コロナで急変…足先紫色に
医師のもとには、1週間前と比べて3倍以上もの往診依頼が殺到しているといいます。
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬医師:「往診する患者さんの重症度が、明らかに重症化している」
この日、在宅診療を行う医師が向かったのは、83歳、末期の大腸がんを患う男性の自宅です。
田代医師:「ちょっとぐったりしているな。元気ないね。うわっ冷や汗かいている」
妻:「元気なかったんです」
田代医師:「分かる僕のこと?分かります?」
患者:「う、うん」
看護師:「はっきり調子悪いのはきのう、きのうですよね」
妻:「そうなんです」
抗原検査を行うと、陽性。持病のがんは、すぐさま命にかかわる状態ではなかったといいます。
田代医師:「意識がちょっともうろうとしていて。コロナのせいで、急変しているから」
足先は、紫色に変色。血中の酸素が不足しているサインだといいます。急いで血中酸素濃度を測ってみると、数値は90%。命に関わるレベルです。
田代医師:「今でも肺炎起こしてコロナが悪さしてて、状態が悪化してて。治療したら良くなるかもしれないわけね。だから、ちょっと病院行ってみる?」
患者:「うん」
■救急隊“100件以上”電話も…搬送先なし
早急に入院の必要があると判断し、救急車を呼ぶことになりました。
妻:「お父さん頑張って」
田代医師:「奥様ね、ちょっとね。救急隊につながるまで待っててね」
消防庁:「消防庁です。火事ですか?救急ですか?」
妻:「救急です」
田代医師:「コロナウイルスで、意識障害を伴う呼吸不全がみられています」
消防庁:「年齢はおいくつですか?」
妻:「83歳です」
一刻も早く、病院で処置する必要があるのですが、返ってきた言葉は…。
消防庁:「分かりました。救急車が向かいますが、今、非常に救急要請が多いので。到着までですね、1時間近くかかるかもしれないです。(救急車が)全くいないので」
妻:「先生1時間…」
田代医師:「あの早く」
妻:「できるだけ早く、お願い致します」
コロナの急激な感染拡大の影響もあり、救急車はすべて出払っていました。幸いにも、救急車は20分後に到着したものの、今度は搬送先の病院が見つかりません。
田代医師:「何件ぐらいでしたっけ?」
救急隊:「今、トータルで100件というか」
田代医師:「100件ぐらいですよね」
救急隊:「100件以上(問い合わせた)かもしれない」
田代医師:「本当ありがとうございました。これが現実というところで」
妻:「そうです。もう本当に頭が下がります」
田代医師:「去年の夏(第5波)と同じような感じですかね」
救急隊:「あの夏以上な気がします」
田代医師:「どこも電話掛けるところ(病院)がないってことですよね」
救急隊:「難しい」
救急隊が到着してから、1時間半かけて100件以上の病院に連絡するも、男性が入院できる病院は見つかりません。
医師も、救急隊員も悔しさをにじませます。
救急隊:「大変申し訳ないんですが、奥さん、救急隊で病院見つけられなくて」「力になれなかったんですけど」
妻:「そんなことないです」
田代医師:「今後どうなるかは分からないけど、僕らができることをするとしか言いようがなくて。ただ、この悔しさは僕もそうだけど、救急隊の方も、ものすごく悔しさを感じるんです」
救急隊:「申し訳ないけど、我々ね、いったん、これでまた別の患者さんの所に行くので。申し訳ないです」「お力になれず申し訳ないです」
妻:「ありがとうございます。一生忘れません」
■深夜まで懸命処置も…感染から半日で死亡
医師は、自宅でできる処置を行います。
田代医師:「ちょっと厳しいな、これ。苦しい?」
患者:「(うなずく)」
田代医師:「ちょっと何とか息苦しさを取る治療を」
酸素投与など、懸命の処置は深夜にまで及びました。しかし、翌朝。再び男性の自宅を訪ねると…。
田代医師:「朝4時だよね、4時に呼吸が止まっていたんだね」
妻:「止まっていたと思います」
田代医師:「ご愁傷様です」
妻:「本当にお世話になりました」
死亡診断書の死亡原因の欄に書かれていたのは、「新型コロナウイルス感染症」。感染が確認されてからわずか半日、男性は息を引き取りました。
妻:「私を置いていかないでねって、しょっちゅう言っていたんですけど。『そうはいかんよ』って言ってはったからね。本当に穏やかな人間でした」
ひなた在宅クリニック山王・田代和馬医師:「治療の可能性があって、通常であれば、救急搬送して、救命処置を行う。救命率が上がるような状態だったけど、そもそも病院にすらたどり着けず、(患者の残された)時間を一方的に奪われてしまった。コロナの恐ろしさを痛感するとともに、医療を提供できなかったことに申し訳なさと悔しさ。速やかに入院できるような医療体制がなければ、ウィズコロナは夢物語」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年8月1日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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