「人としての力」期待…元理事の金銭授受問題 組織委への捜索の狙いは?記者解説(2022年7月27日)
東京オリンピック・パラリンピックをめぐる金銭授受問題で、東京地検特捜部は、組織委員会の元理事の自宅への家宅捜索に続き、27日は、紳士服大手『AOKIホールディングス』・青木拡憲前会長の自宅などへ捜索に入りました。
東京都庁にある組織委員会の清算法人にも捜索が入りました。
小池都知事:「家宅捜索が入ったということについては承知しております。とても残念なことです。そして、都は組織委員会に対して捜査に全面的に協力するよう伝えております。これからの推移を注視していきたいと思います」
今回、浮上しているのは、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事・高橋治之氏に対する受託収賄の疑いです。関係者によりますと、AOKIホールディングスは、2017年秋ごろ、高橋元理事が代表を務めるコンサルタント会社『コモンズ』と契約を結び、月100万円程度、総額にして、約4500万円を支払ったということです。翌年、AOKIホールディングスは、スポンサー契約を結び、五輪エンブレム入りのスーツなど、公式ライセンス商品を販売しました。
高橋元理事は、大手広告会社『電通』の出身。組織委員会のスポンサー募集の部署には、電通からの出向社員が多数いました。関係者の話では、青木前会長は、特捜部の任意聴取に「人としての力に期待した」と答えたといいます。また、周囲に対して「元理事のおかげで」と話していたのが、聖火リレー。青木前会長は、去年4月、長野で聖火を手に走っています。
組織委員会の理事は“みなし公務員”と規定されているため、職務に関する金品の受け取りは禁じられています。高橋元理事は、取材に対し「コンサルタント契約は、AOKI側から持ち掛けられ、受け取ったお金は、オリンピックとは関係のない正当な報酬だ」と話しています。
高橋元理事は、電通でスポーツ文化事業局の部長を務め、その後、海外の部署や常務、専務などを歴任し、業界では実力者として知られています。高橋元理事を知る人は、その影響力の大きさについて、こう話します。
組織委の元職員(電通出身):「日本におけるというか、世界でもだと思うが、スポーツをビジネス化する仕組みを作りあげたのが高橋さん。競技団体のトップというよりは、それを束ねているIOCと、世界のスポーツ団体の中では、圧倒的に予算と力があるFIFAの上層部とも過去からつながりを持っていて、個人的な人脈もある。高橋さんをおいて、IOC幹部と直接コンタクトできて、話ができる人間は、正直言っていないと思う」
◆テレビ朝日社会部・岩下耀司記者に聞きます。
(Q.捜査のポイントを教えてください)
今回、関係者に取材したところ、高橋氏への家宅捜索の疑いは、受託収賄であることがわかっています。そのうえで、受託収賄が成立するには、まず、お願いをされてお金を受け取って、実際に権限を行使して、便宜を図ったかどうかということが重要となってきます。
今回のケースに当てはめてみますと、AOKI側とのコンサルタント契約に基づく正当な報酬として金銭を受け取ったことを高橋氏は認めています。今後の一番の焦点は、高橋氏が承諾したうえで便宜を図っていたのかということです。これを解明するために、東京地検特捜部は、例えば、高橋氏が現場に指示をしたメールや資料などの明確な証拠があるかどうか。こういったものがあるかどうか調べるために、2日間にわたって捜索をしているとみられます。今後、立件されるかどうかは、動かぬ証拠を積み重ねることができるかどうかがポイントになってくると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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