「クロスワードパズルを」「ドアをばんばんと殴る」 元衛生係が明かす秋葉原無差別殺傷事件・加藤死刑囚の拘置所内での様子|TBS NEWS DIG
2008年に東京・秋葉原で無差別殺傷事件を起こした加藤智大死刑囚に、死刑が執行されました。拘置所で加藤死刑囚の身の回りの世話を担当した男性が私たちの取材に応じ、拘置所での死刑囚の様子を明かしました。
■「ドアをバンバンと殴る」「刺激させちゃダメだ」拘置所での加藤死刑囚の“素顔”
加藤智大死刑囚を間近に見てきたという受刑者の男性。最近まで東京拘置所で加藤死刑囚の衛生係を務め、週6回接してきたといいます。
元衛生係(加藤大死刑囚を担当)
「報道で見るよりは痩せていた。かなりやつれた感じはあった。非常に警戒心が強くて、ふさぎ込んでいるようなイメージ。(加藤死刑囚は)もうずっとクロスワードを解いているイメージしかない。よく好んで食べていたのがピーナッツ。1回で10袋ぐらい買って食べていた」
普段は黙々とクロスワードパズルをやっていたという加藤死刑囚。時々激高するときがあったといいます。
元衛生係
「(加藤死刑囚の)部屋の前で食器を落としてしまったことがあって、そしたら、暴れるじゃないけど、ドアをバンバンと殴るようなことがあった」
どれぐらい殴り続けてた?
元衛生係
「4~5回、バンバンバンバンって感じ。必ず決まった所作を取らないと嫌がる人だった。例えばお茶の取っ手の角度や向き。それを誤ると暴れる行為につながってしまうので刑務官もすごく警戒していたし、『刺激させちゃダメだ』と周りも思っていた」
■仕事ぶりは優秀も「アスファルトに体重をかける形で押し倒して…」
高校を卒業するまで、青森市内で生まれ育った加藤死刑囚。中学時代はテニス部で汗を流し、トップクラスの成績だったといいます。しかし…
中学の同級生
「自分を馬鹿にされたような言い方をされると多分プライドが高いからすぐ怒ったり激高するかのように声を荒げたりとか」
中学の卒業アルバムには、加藤死刑囚の似顔絵と「キレたキレた!!あの加藤が…」と書かれていました。
岐阜県の短大を卒業後、2003年から2年間ほど仙台市の警備会社で働いていた加藤死刑囚。会社の同僚として付き合いがあったのが、大友秀逸さんです。
元同僚 大友秀逸さん
「非常に頭の回転が速い、気が利くタイプで。常に冗談を言ったりとか、自虐的な話をして受けを取ったりとか」
仕事ぶりは優秀だったといいますが、やはり感情が抑えられない面があったといいます。
元同僚 大友秀逸さん
「自分から考えて先回りして『こうしたらいいんじゃないか』とやる人だったんで、職場では優秀だなという評価。ただ、その反面感情が抑えられなくなって、ミスを繰り返す高齢男性をアスファルトに体重をかける形で押し倒してしまった」
職場では加藤死刑囚の先輩だったという大友さん。知人としてもう少しできることがあったのではないかと考えています。
元同僚 大友秀逸さん
「弟の話を楽しそうにしてくれたんだけど、やっぱり父親母親ってなると、もう完全に顔色が変わるというか表情が曇っちゃって。あの時にちょっと勇気を持って、僕も実はこういう家庭環境でいろいろあるんだよと話がもしできたら、彼自身が『いや実は僕の母親が』とかそういう話ができたら…」
■「解明の機会がなくなるというのが一番悲しい」残された被害者の思い
加藤死刑囚に刺され、一時意識不明の重体となった湯浅洋さんです。加藤死刑囚から届いた手紙にはこう綴られていました。
加藤死刑囚
「死刑は5分間の締首だと聞いています。皆様に与えた苦痛と比べると、あまりに釣り合いませんが、それでも皆様から奪った命、人生、幸せの重さを感じながら刑を受けようと思っています」
湯浅さんは死刑判決を望んでいましたが、動機の解明には至らなかったと感じています。
湯浅洋さん
「なんで全然関係ない17の人を殺傷したのか。それはやはり知りたいなと。解明の機会がなくなるというのが一番悲しい」
■「一番の原因は、そもそもの私の“考え方”」
凶悪な犯行に駆り立てた動機は何だったのか。裁判が始まると、加藤死刑囚は自らこう分析していました。
加藤死刑囚
「原因は三つあると思っています。自身の考え方。掲示板での嫌がらせ。そして、掲示板に依存していた生活のあり方です。
加藤死刑囚は、現実は建前で、ネット上の掲示板が本音で、唯一の場所だったと語りました。その掲示板で嫌がらせをされたことが動機の一つだと明かしました。そしてこうも語っています。
加藤死刑囚
「一番の原因は、そもそもの私の“考え方”です。私の“考え方”がまともだったら、事件は起こることがなかったと思います。」
“考え方”とは、自分の言いたいことを言葉で伝えられずに行動で直接訴えてしまうことだといいます。
そうなった背景について、母親の育てかたの影響を挙げています。犯行後、自ら書いた本の中でこう記述しています。
加藤死刑囚
「私にできるのは、泣くことだけでしたが、泣いたら泣いたで、母親は私を屋根裏に閉じ込め、口にタオルを詰めてガムテープを貼りましたから、そのうち泣くことすらなくなりました。何かを考えるのやめてしまったように思います。…(https://newsdig.tbs.co.jp/list/article?id=jnn-20220727-6031263)
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