上皇さま「右心不全」その症状は?専門医が解説(2022年7月26日)
宮内庁は26日、上皇さま(88)が病院での検査の結果、『心不全』と診断されたと発表しました。
宮内庁によりますと、上皇さまは、4月から6月にかけて、体重がやや増加していたそうです。先月から、数回にわたり行った健康診断で、胸に水がたまるなど「心不全の所見」が見られたため、薬を服用し、水分の摂取を減らすなど、治療を続けてこられました。
症状はなく、普段通りお過ごしですが、朝夕の散策の時間は短くしたそうです。
内科的治療の結果、所見は改善しつつありますが、24日、東大病院で受けたMRI検査で『右心不全』と診断されました。心不全の診断は初めてです。ただ、上皇さまは、10年前、心臓冠動脈のバイパス手術を受けられています。
上皇さま(2012年):「手術の後はその影響があり、テニスをしても走って球を打つという何でもない動作がうまくいきませんでしたが、最近は以前のように球を打てるようになったような気がしています。心臓の病気は検査で知りました。手術を受けることを決めたのは、心筋梗塞の危険を指摘されたからでした。時期については、東日本大震災一周年追悼式に出席したいという希望をお話しし、それに間に合うように手術を行っていただきました。手術が成功したことを聞いた時は本当にうれしく感じました」
『平成』の時代、公務のため、体調を整えられてきた上皇さま。『令和』になってからは、ハゼの研究を続けているほか、日本各地の祭りや暮らしを紹介するテレビ番組をご夫妻でご覧になるなどして過ごされています。
4月からは、エレベーターや手すりを設置するなど、バリアフリー化された仙洞御所に移られています。年齢のため、記憶が不確かになる時には、上皇后さまに尋ねて確認し、「そうだったね」と笑い合って過ごされているということです。
◆『心不全』とは、一体、どんな症状なのでしょうか。心臓呼吸器病院・循環器内科の佐藤直樹部長に聞きました。
心不全とは、「心臓のポンプ機能が低下して、全身に十分な血液を送り出すことが出来なくなった状態」のことです。心臓の仕組みですが、『右心』は血液を肺に送り出し、『左心』は肺から体へ送り出します。佐藤部長によりますと、『右心』『左心』の両方で機能が低下で引き起こされると重症度が高くなるといいます。
上皇さまの場合、右心室と右心房の間にある『三尖弁(さんせんべん)』が上手く閉じないということがわかりました。三尖弁は、右心房に血液が逆流しないようにする役目を持っています。
佐藤部長によりますと、一方向に流れていた血液が逆流すると、血液が正常に流れず、血管から血液の水分が漏れ出てしまうため、胸などにたまっていってしまうといいます。
体液が体内にたまると、足のむくみ、体重の増加などの症状がみられます。上皇さまの場合は、自覚症状はありませんでした。少しずつ体重の増加が見られたため検査を行い、「胸に水がたまっている(胸水貯留)」ことなどがわかりました。
あくまで一般論として、むくみがあり、1週間で2キロ以上増えたら、心不全を考えるべきだといいます。
そのため上皇さまは、体内から水分を抜いていくために、利尿作用のある薬の服用・水分摂取を制限。右心不全の症状は改善しつつあるといいます。また、宮内庁は、「今回の右心不全と10年前のバイパス手術との関係は見られない」としています。
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