【独自】「ブラックシャインマスカット」1房1万8000円“奇跡のブドウ”…プロ開発秘話(2022年7月8日)

【独自】「ブラックシャインマスカット」1房1万8000円“奇跡のブドウ”…プロ開発秘話(2022年7月8日)

【独自】「ブラックシャインマスカット」1房1万8000円“奇跡のブドウ”…プロ開発秘話(2022年7月8日)

 フルーツ王国・山梨県で生まれた「ブラックシャインマスカット」と呼ばれる最高級のブドウが話題となっています。超希少品種のため、1房およそ2万円です。ブドウ作りのプロが作り出したブラックシャインマスカット。開発秘話を取材しました。

■“次世代”日本一とれるよう「富士の輝」

 山梨県笛吹市は、辺り一面にブドウ畑が広がっていて、まさにフルーツ王国です。

 ブドウ生産量日本一の山梨県。現在、最も多く出荷されているのが、甘みが強く、皮ごと食べられることで人気の「シャインマスカット」です。

 笛吹市にある、ブドウの栽培や開発を専門に手掛ける「志村葡萄(ぶどう)研究所」。ここに、希少ゆえ、入手困難なぶどうとして知られる、次世代のシャインマスカットがあります。

 その名も、「ブラックシャインマスカット 富士の輝」です。どんな品種なのか、研究所の人に案内してもらいました。

 志村葡萄研究所・志村晃生代表:「(Q.シャインマスカットなのに、色は黒い?)黒いシャインマスカットを受け継いだブドウになりますね。富士山をイメージして、日本一をとれるように、富士の輝となっています」

 このブラックシャインマスカットは、普通のシャインマスカットよりも病気に強く、栽培も比較的、手間が掛からないのが特徴だといいます。

 志村晃生代表:「(開発できたのは)奇跡みたいなものですよ。ブドウの品種改良は、これを作りたくて作れるものじゃない。モモやイチゴはすぐできるが、ブドウは1種類できるのが、奇跡といわれている。それぐらい、品種改良が難しくて」

■“奇跡のブドウ”1房1キロ 1粒あたり500円

 実は、この研究所は、これまでに30種類以上のオリジナル品種を生み出してきたブドウ開発にかけてはプロ中のプロ。そんなブドウの第一人者が、奇跡的にできた「最高傑作」と呼ぶのが、ブラックシャインマスカットなのです。

 出荷される直前のブラックシャインマスカット。ずっしりと、腕に重みを感じます。実も本当に大きく、丸々としています。シャインマスカットで感じたことのない重量感です。

 重さは、通常の2倍の1キロ超え!気になるお値段は、1房1万8000円。1粒あたり、なんと500円です。

 志村晃生代表:「(Q.従来のシャインマスカットとは違う?)次世代のシャインマスカットになります。山梨もずっと、シャインマスカット、シャインマスカットというふうに、どうしても次を求められるのが、今の時代なので。次に対応できているところが良かった」

■ブドウ王国・山梨 「巨砲の丘」に異変

 シャインマスカットが登場したのは、今からおよそ15年前。種が無く、大粒の実を付け、皮をむかずにそのまま食べられることから爆発的な人気になりました。

 当時、全国でわずか2ヘクタールしかなかった栽培面積は、2019年には、およそ900倍の1840ヘクタールに急拡大しました。

 一方で、農林水産省によりますと、2016年ごろに苗木が海外へ流出。中国での栽培面積は、今や日本の30倍にも及びます。

 試算では、中国への流出で、日本は年間100億円以上の損失が生じているといいます。

 東京理科大学大学院・生越由美教授:「日本の農産物はとてもおいしいので。外貨を稼ぐ手段であると認識して、それに対して、権利を取るということが大事。とりわけ、気候の近い国、アジアとかは日本の作物を育てやすいということになるので。そういう国では、必ず権利を取っておくことが大事だと思います」

 山梨県ではおととしには、ブドウの王様・巨峰の生産量を上回りました。「巨峰の丘」と呼ばれる牧丘町でも、巨峰からシャインマスカットに転向する農家が相次いでいます。

■「父は先見の明」苗木3本から全体7割に…

 その農家の一つを取材しました。

 ぶどう屋 まる鉄・廣瀬真一さん:「この子と、一番端にあるやつが、一番最初に植えたシャインマスカットですね」「(Q.範囲としては、この辺りだけ?)そうですね。最初は、父と意見が合わないこともありました」「(Q.お父さんはどんなふうに?)『これからは、シャインマスカットだ』と」

 栽培を始めた10年ほど前は、それほど期待をしていませんでした。廣瀬さんも、巨峰畑のうち、たったの3本の苗木からシャインマスカットの栽培を始めたといいます。しかし…。

 廣瀬真一さん:「父は先見の明があったんですかね。どんどんシャインにしていって。ここと隣はシャインマスカットになっていて。他の畑もどんどん。今は、全体の7割ぐらいは、シャインマスカットになっています」

 “シャインマスカット特需”で売り上げも増加。さらに、増えた売り上げを、お客さんに還元するため、新たな施設を作ったといいます。その施設とは…?

■“シャインマスカット特需”で新施設

 10年ほど前までは巨峰をメインに栽培していた農家も、シャインマスカット人気に目を付け、転身。その売り上げで、施設も新しくなりました。

 廣瀬真一さん:「お手伝いさんも休憩の時に、良い環境でお茶飲んだり、休んだりできるようにガレージを整備したり、駐車場を作ったり。あとは、外トイレなんかも作ったりしています。ブドウといえば、シャインマスカットとなってきた印象があるなかで、ニーズがあるものをしっかり作れたうえで、地元の巨峰農家という部分を、伝統も守っていきたいなと思っている」

(「グッド!モーニング」2022年7月8日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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