「対策で命守れる」重症で『認知症』『歩行障害』の恐れも…現場医師に聞く熱中症対策(2022年6月30日)
30日に猛暑日を記録したのは、全国で179地点と今年最多となり、熱中症も相次ぎました。
厚生労働省の資料によりますと、熱中症は「高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かず、体内に熱がこもった状態。屋外だけでなく屋内でも発症し、救急搬送や死亡する場合もある」ということです。
重症度は重症・中等症・軽症とあり、症状は多岐にわたります。
軽症:めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、こむら返りなど
中等症:頭痛、嘔吐(おうと)、倦怠感(けんたいかん)、虚脱感、判断力低下など
重症:意識障害、けいれん発作、肝・腎機能障害、血液凝固異常など
◆熱中症などに詳しい帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長の三宅康史医師に聞きます。
(Q.熱中症で搬送されている人は例年に比べて多いですか?)
我々は重症患者を診る医療機関ですが、6月中に重症患者が複数運ばれてくるのは経験がありません。
重症患者がこれだけ来ているということは、中等症・軽症の患者はもっと多いはずです。
暑い中で色んな症状を訴えてやってくるので、これは熱中症かもしれないと疑うことがまず必要だと思います。
(Q.足をつるなども熱中症を疑う必要がありますか?)
暑くなってそういった症状が出始めるということは、暑さの影響でそういうことが起こっているのは間違いないと思います。
搬送されている方でも、いつもの頭痛・体調不良かと思う方がいますが、暑さのなかでそういった症状が起こった場合には、熱中症を疑って水分を取る、体を冷やすといったことをやる必要があると思います。
(Q.熱中症は症状が軽いうちに対応すれば回復しますか?)
軽症・中等症の場合は、病院に来てもその日のうちに良くなって、入院しても翌日に帰れます。
しかし、重症の場合は、命にかかわることもあります。また、良くなったとしても中枢神経障害が起こり、認知症・歩行障害・言語障害などの後遺症が出る恐れもあります。
特に持病がある方や高齢者、乳幼児は周りが配慮してあげる必要があります。
(Q.急に暑くなったことが熱中症が増えている原因と考えても良いですか?)
6月中に梅雨が明けてしまったということは、体の準備・暑さに慣れる『暑熱順化』ができていません。
通常2週間ほどかけて徐々に体が暑さに慣れてきます。
本来であれば体の表面の血管が拡張して、大量の熱を持った血液が体の表面で冷やされて戻ってきます。
血管を開いたり、大量に汗をかく能力などが準備できる前に真夏になってしまったので、重症患者も多いし、軽症患者もたくさん出ています。
これからまだまだ暑い日が続きますので、今が一番気を付けなければいけない危険な時期だと言えます。
(Q.どんな対策が必要になりますか?)
基本的には『エアコンをつける』『水分・塩分をとる』『朝食をとる』。3食大事ですが、夜の間に飲んだり食べたりできていない時に、朝しっかり食事をとって水分・塩分を補給することが大事です。
また『手のひらを冷やす』こと。冷たい飲み物を持ったり、手を洗って冷やすと、体を冷やす効果があります。
環境省と気象庁が熱中症警戒アラートを出した時には、その日の行動を控える、暑い中に無理に飛び込むことを避けることも検討して頂きたいです。
熱中症の特徴は、軽症・中等症はすぐ良くなりますが、重症になると命の危険をはらんできます。
早く手をうって、例えかかったとしても軽症で済ませる。早い対策・対応で命を守れますので気を付けて頂きたいと思います。
(Q.高齢者の中には『エアコンはなくても大丈夫』という方もいます。周りの目も大事になりますか?)
周りの方がエアコンのスイッチを入れてあげる。そこまでやらないと、高齢者は守れないと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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