「予断許さない状況続く」火力発電再稼働で改善は?“電力需給ひっ迫”専門家解説(2022年6月27日)

「予断許さない状況続く」火力発電再稼働で改善は?“電力需給ひっ迫”専門家解説(2022年6月27日)

「予断許さない状況続く」火力発電再稼働で改善は?“電力需給ひっ迫”専門家解説(2022年6月27日)

政府は、電力の需給がひっ迫するおそれがあるとして、『電力需給ひっ迫注意報』を初めて出しました。電力需給ひっ迫注意報は、電力供給の余力、いわゆる予備率が5%を下回る見通しで発令されます。

都庁では27日午後2時、執務室の照明が、一斉に消されました。エレベータも止めて、節電です。

スーパーの食品売り場では、急きょ、『節電中』という張り紙が貼られていました。
イトーヨーカ堂CSR・SDGs推進部・小山遊子統括マネジャー:「政府からの電力需給ひっ迫の注意報を受け、店内の照明ダウンと商品陳列棚の消灯を実施している」

家庭より、たくさんの電力を使う工場も節電には限界があります。冷やし中華が人気の工場。例年よりも早く、繁忙期に。
岩崎食品工業・神田広人社長:「梅雨明け宣言が出るとどっと注文が来る。残業する。(エアコン設定は)19度)

約50年前に建てられた工場では、年々厳しくなる暑さに工夫を重ねてきました。
岩崎食品工業・神田広人社長:「どうしても上の屋根が、古いきゃしゃな屋根なので、断熱効果がないというか、冷房がどうしても効かない。屋根に打ち水をした。アイデアです」

工場の蛍光灯をすべてLEDに変えるなど、節電のために800万円以上の投資をしてきました。電気の使用量を把握するため、最新の監視システムを導入しています。
岩崎食品工業・神田広人社長:「警報が鳴ると、どこか止めないといけない。(Q.節電の難しさを感じるか)なるべく使わないようにするとしても、電気がないと動かないので現実なので」

それぞれが、できる範囲で行った節電の効果はあったのでしょうか。27日、最も需給がひっ迫するとしていた夕方を迎え、経済産業省は「かなり危ない状況というのは、なくなりつつある」としました。
資源エネルギー庁電力基盤整備課・小川要課長:「節電効果がどれくらいかは、振り返らなければわからないが、ご協力いただいた効果が需給状況の改善につながった」
ただ、東京電力管内では、28日も厳しい暑さが続くため、政府は、電力需給ひっ迫注意報を継続することにしています。

27日の電力の使用状況です。

午前10時の時点では、午後4時半~午後5時にかけ、電力使用率が99%に上昇する見通しでしたが、実際には、93%でした。

その理由として、資源エネルギー庁と東京電力は27日の会見で、日差しが強く、太陽光発電での供給が増加したこと、ほかの電力会社からの融通、そして、節電効果を挙げています。しかし、7月1日までのピーク時の電力使用率を見てみると、94%と高い使用率が続くことが予想されています。

なぜ『電力需給ひっ迫注意報』を出すほどの状況になっているのか。それは、火力発電所の供給力の低下があります。供給力が減っているのは、脱炭素や老朽化で火力発電所の減少していること。また、3月に福島沖地震で新地発電所が損傷しました。再開の見通しは、1号機が12月末、2号機は来年3月末ということで、夏までに再稼働が間に合いません。ほかの火力発電所も、いまの暑さには間に合いません。

電力需給のひっ迫を改善すべく、東京電力と中部電力の合弁会社は、千葉県の姉崎火力発電所と愛知県の知多火力発電所を、当初、7月1日から再稼働する方針でしたが、姉崎火力発電所については、6月29日に前倒しで再稼働すると発表しました。

経済部・延増惇記者によりますと、「姉崎火力発電所の再稼働だけで、電力供給の改善はわずか1%強。“綱渡りの綱が少し太くなった”程度。気温が1度上がると、電力使用率は2%上昇。引き続き予断は許さない状況は続く」としています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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