【独自】社員に“侮辱”賞状…会社が謝罪「余興の域超えた」「パワハラがあった」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年6月23日)

【独自】社員に“侮辱”賞状…会社が謝罪「余興の域超えた」「パワハラがあった」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年6月23日)

【独自】社員に“侮辱”賞状…会社が謝罪「余興の域超えた」「パワハラがあった」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年6月23日)

 社員の男性には「症状」と書かれた「賞状」が青森県の住宅建築会社から渡されていました。男性は、これを渡された翌月に自ら命を絶っています。この住宅建築会社が22日夜に番組の取材に対し、「パワハラがあった」と認めました。

■“侮辱”賞状「ここ細菌」

 遺族の弁護士:「注文住宅の営業社員として働いていた労働者の40代の男性の方が、パワーハラスメントや過重労働により、精神障害を発症して、自死した。こういった労災事故であります」

 4年前、妻と2人の子どもを残して、自ら命を絶った当時40代の男性。20日、遺族は損害賠償を求め、青森地裁に提訴しました。

 訴えられたのは、青森県内に本社がある住宅建築会社「ハシモトホーム」です。男性は7年間、勤務していました。

 遺族の弁護士:「こちらの『症状』という書面が(会社から)交付されました」

 会見した遺族側の弁護士が見せたのは、会社の新年会で男性が表彰された際に渡されたものだといいますが、「賞状」の文字が変えられ、さらには「症状 第三位」「貴方は、今まで大した成績を残さず、あーあって感じでしたが、ここ細菌は、前職の事務職で大成功した職歴を生かし…」

 「最近」の文字も、悪意ある形に変更されています。

 「現在でも変わらず事務的営業を貫き、悪気は無いがお客様にも機械的な対応にも関わらず、見事おったまげーの三位です」「陰で努力し、あまり頑張ってない様に見えてやはり頑張ってない様ですが、機械的営業スタイルを今年も貫き、一発屋にならない様に日々努力して下さい」

 遺族の弁護士:「ハッキリしているのは、一定の人間の前で、こういうものを渡されているということは労働基準監督署の調査のなかで認定されている」

 新年会には社員だけでなく、関係会社も参加していたといいます。

■上司が日常的にパワハラ

 亡くなった男性の妻:「労基署の調査の結果、『症状』の文面を考えたのが誰か分かりました。日頃から『あほ』『ばか』と夫のことを叱責していた課長でした」

 遺族の弁護士:「一番大きかったのが、上司からのパワーハラスメント。上司のA、日頃から被災者(男性)に対して、乱暴な口調で叱責等があった」

 男性は、日常的に上司からパワハラを受けていたといいます。

 上司とのメールのやり取りです。業務上のことで男性が質問すると、「おまえバカか?」「なんぼ頭わりのや」「最終資金計画提出せじゃ、おめだげわがっててどうするのや!相変わらずダメポンだな!」

 弁護士によりますと、こうした叱責は日常的にあったといいます。

■売り上げ増…長年努力が実を結び

 注文住宅の設計の際に、客から遊具設置のオーダーを受けるも、構造上の問題などを理由に上司は突っぱねたといいます。

 板挟みにあった男性は、会社には黙って、顧客のためにおよそ8万円の遊具の材料を自腹で購入しました。

 遺族の弁護士:「ちょくちょく、しんどいとか、愚痴は家庭内で聞いていたと」

 見かねた妻は何回も「辞めたら?」と声を掛けましたが、男性は、こう答えたといいます。

 男性:「家が完成して、お客さんに鍵を渡す時が一番うれしいから続けたい」

 男性は会社を辞めることなく、働き続ける選択をしました。

 遺族の弁護士:「入社して7年、努力されたと思うんですけど、亡くなる少し前、新規契約の受注件数が増えました」

 亡くなった男性の妻:「夫の受注件数が増えたのは、急なことではなく、長年積み上げてきた努力やお客さんからの信頼が実った結果でした」

■交渉は決裂…遺族提訴「大切な家族です」

 男性が売り上げを伸ばしていくにつれ、勤務時間もかさんでいき、残業時間は1カ月で70時間を超える状況に…。そんな時でした。

 遺族の弁護士:「営業成績が第3位ということで、表彰するという名目で実際に配られたのが、こういう書面。この直後の平成30年(2018年)2月に精神疾患を発病し、自死に至りました」

 おととし12月、青森労働基準監督署は、上司からのパワーハラスメントや時間外労働時間の増加によって、精神障害を発症し、自殺に至ったと労災を認定しました。

 そして、去年12月に遺族側は会社と「法的責任」を巡り、交渉を開始しました。しかし…。

 遺族の弁護士:「折り合いがつかないというか、先方さんは『自分たちに法的な責任はない』という対応でしたので…」

 交渉は決裂し、20日、遺族側は提訴に踏み切ったのです。

 亡くなった男性の妻:「注文住宅は、お客さん一家の幸せや夢が詰まった場所です。そういう商品を販売している会社なのに、自分たちの社員に対して長年パワハラを続けていたことがとても残念です。お客さんであっても、社員であっても、誰かの大切な家族です。そんな当たり前のことが忘れられてしまっているのではないかと、腹立たしくてなりません」

■会社「パワハラと認定される行為存在」

 今回の件について番組は、会社側に取材を申し込みました。すると、午後10時22分に会社側から「お問い合わせの件につきまして」とメールが届きました。

 そこにはパワハラを認め、遺族に対して、謝罪の意思があることが記されていました。

 ハシモトホーム・橋本社長:「事態を大変重く受け止めております。大変遺憾ではございますが、パワハラと認定される行為が実際に存在したと認識しております。ご遺族の方には直接おわびをし、できる限りご要望を受け入れたく思っております」

 男性に手渡された「症状」については、こう説明しました。

 ハシモトホーム・橋本社長:「10年ほど前より、支店にて開催される年始の行事の余興の一環として実施しておりました。今となっては余興の域を超えていたと深く反省しております。同席した社員からは『特段、普段と変わった様子はなかった』と報告を受けております。余興の発案は課長によるものでしたが、主催者側でも承知し、コンテンツに組み込んでおりました」

 亡くなった男性の妻:「結婚してから愛して尽くした年月が長くありましたので、突然あのような形で失ってしまったことはショックで、立ち直れないほどの悲しみは今でも続いています。子どもたちのためにも生きていてほしかったと思っています」

■「できる限り要望受け入れる」会社謝罪へ

 男性は亡くなる前の月に、「症状」と書かれたものを勤務していた住宅建築会社・橋本ホームから渡されていました。

 そして22日夜、番組の取材に、橋本ホームの橋本社長からメールで回答がありました。

 社内調査について、「自死されたと報告を受けた際に、当該支店にての就労状況や、自死される前後の様子などを聞き取りしましたが、普段と変わりはなかったとのことで、仕事と自死の相関性はないと判断してしまっておりました。今、振り返りますと、社内調査が不十分だったと反省しております」ということです。

 また、今回の件について、「正確なことは、訴状を確認してからと思っておりますが、今回の件は大変重く受け止めております。ご遺族の方には直接おわびをし、できる限りご要望を受け入れたく思っております」としています。

 厚生労働省の総合労働相談コーナーに寄せられる、いじめ・嫌がらせの相談件数は年々増えています。平成23年には4万5939件でしたが、令和2年には7万9190件と、10年でおよそ1.8倍になりました。

 労働問題に詳しい高橋寛弁護士によりますと、「パワハラを感じたら、まずは弁護士や労働基準監督署などに相談してほしい」としています。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年6月23日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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