賞状ならぬ「症状」手渡し・・・社員自殺 パワハラで勤務先提訴 遺族「家族どう思うか」(2022年6月23日)
職場の新年会で、病気の「症状」と書かれた「賞状」を渡されるなどのパワハラを受け男性が自殺したとして、遺族が損害賠償を求める訴えを起こしました。
■「症状」手渡し・・・社員自殺
「賞状」を「症状」。「最近」を「細菌」。これは、青森県八戸市の住宅建設会社「ハシモトホーム」が、2018年に会社の新年会で男性社員に渡したものです。
男性は40代で、青森支店の営業を担当していました。中を読み進めると、「症状」や「細菌」が決して変換ミスではないことが分かります。
男性社員に渡された「症状」:「貴方は今まで大した成績を残さず、あーあって感じでしたが、ここ細菌は前職の事務職で大成功した職歴を生かし、現在でも変わらず事務的営業を貫き、悪気は無いがお客様にも機械的な対応にも関わらず、見事おったまげーの三位です」
営業成績第3位の男性に対して、たたえるどころか馬鹿にしたような文章が続きます。そして、「症状」の締めくくりは次のようなものでした。
男性社員に渡された「症状」:「陰で努力し、あまり頑張っていない様に見えて、やはり頑張ってない様ですが、機械的営業スタイルを今年も貫き、一発屋にならない様に日々努力して下さい」
男性はこの翌月、命を絶ちました。
「症状」を渡すという余興と文面は、上司である男性課長が考えたものでした。この課長は他にもショートメールで「おまえバカか?」「なんぼ頭わりのや」「相変わらずダメポンだな!」と、男性を罵倒する内容を複数回送っていました。
■パワハラで提訴・・・遺族「家族がどう思うか」
青森労働基準監督署はおととし12月、上司によるパワハラで精神障害を発症し、自殺の原因になったとして労災認定しています。
しかし、会社側から遺族に対して謝罪などはなかったといいます。
今月20日、男性の遺族は社員の適切な労務管理や安全配慮義務を怠ったとして、会社と社長に対しておよそ8000万円の損害賠償を求めて提訴しました。
遺族の代理人弁護士:「先方(会社側)は、こういったことについて『自分たちが法的な責任を負わない』という態度での対応だったので。自分たちに法的な責任・問題があったことを認めて頂いて、謝罪と償いをという話をしたところ、その根本的な部分で折り合いがつかなかった」
男性の遺族は、文書で次のようにコメントを発表しています。
男性の妻のコメント:「『症状』は、夫の死後、夫がいた部屋から見つかりました。会社の会合でもらった紙袋の中に入ったままでした。夫はきっと、家族に見せられなかったんだと思います。こんな『症状』を渡して、家族が見たらどう思うのか、何も想像しなかったのかと不思議でなりません。お客さんであっても、社員であっても、誰かの大切な家族です。そんな当たり前のことが忘れられているのではないかと、腹立たしくてなりません」
一方、ハシモトホームは「訴状が届いていないので、社としてコメントできない」としています。
ただ、橋本吉徳社長はテレビ朝日の取材に対し、次のように答えています。
ハシモトホーム・橋本社長:「事態を大変重く受け止めております。毎年の懇親会で、表彰の一環として渡していたもの。行き過ぎた表現だったかもしれないが、他の人にも渡していた」
(「グッド!モーニング」2022年6月23日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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