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ウクライナ“EU加盟”に前進も・・・ロシアは楽観視か(2022年6月17日)
ウクライナがEU(ヨーロッパ連合)加盟“候補国”になることで、戦況は変わるのでしょうか。逆に、プーチン大統領を刺激することにはならないのでしょうか。専門家に話を伺いました。
フランス、ドイツ、イタリアの首相がキーウを訪問し、ウクライナのEU加盟が現実味を帯びてきました。この動きがウクライナ情勢にどのような動きをもたらすのでしょうか。EUの対外政策を研究している筑波大学の東野篤子教授に聞きました。
筑波大学・東野篤子教授:「(Q.ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)加盟はできず、EU加盟は前進。違いは何?)もともとヨーロッパの国には同盟選択の自由という原則があって、ウクライナはNATOに入るも入らないもEUに入るも入らないも自分の意思で選べるはず。ウクライナとしては、EUもNATOも入りたかったかもしれないけど、戦争まで起きている状態ではNATO加盟は無理。ということはEU加盟に全力を傾けるしかないという状況」
NATOは、外部からの攻撃に対してお互いに守り合おうという軍事同盟です。一方で、EUにも有事があった際に軍事支援をする規則はあるものの、主な目的は経済活動の結び付きとなっています。
加盟国内の移動にパスポートが必要なく、貿易でも関税が撤廃されるなど人、モノ、お金が自由に行き来できることが特長です。
しかし、ウクライナがEUへの加盟に前進する目的は“経済の結び付き”と別のところにあると東野教授は話します。
筑波大学・東野篤子教授:「(Q.ウクライナ側はなぜEU加盟を目指し、何を得ようとしている?)EUに加盟することによって、第一に“ヨーロッパの秩序の一員”であることを内外にアピールすることが重要になってきます。ウクライナというのは残念ながら、ロシアの意向を意識しないといけない。ロシアという隣国がいる以上、自分の国の運命を自由に得られる状況ではなくなった。その大きな証拠がNATOの加盟を断念せざるを得なかったこと。物質的な利益を得ること以上に、象徴的な意味でロシアの属国的な立場ではなく“ヨーロッパ秩序の一員”になることはウクライナにとって象徴的な意味がある。自分たちの将来への方向性はロシア側にはなくてヨーロッパ側にある」
ただ、今回各国が賛同したのはウクライナがEUへの「加盟候補国」となること。これはあくまで加盟するための入口に立ったという段階です。
プーチン大統領はそれを理解したうえで、今回は冷静な対応を取ると東野教授は予測しています。
筑波大学・東野篤子教授:「ロシアにとって驚異ではないし、今回はあくまでも加盟候補国としての地位を与えられたにすぎません。そこからものすごく長いプロセスが必要なことはロシアもよく分かっている。今回、加盟候補国の地位を与えられてもロシアとしては全く何も変わらないと理解していると思う。将来的にウクライナがEUの加盟国になるにしても、それはものすごく長い時間がかかるし、NATOのような軍事同盟に入るわけではないということは、ロシアとしてはNATOに比べるとEUの方が『加盟するんだったらまだまし』と考えている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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