「お金じゃない」「けじめを」父失った家族の思い 福島原発事故の「国の責任」 17日に最高裁が初判断|TBS NEWS DIG

「お金じゃない」「けじめを」父失った家族の思い 福島原発事故の「国の責任」 17日に最高裁が初判断|TBS NEWS DIG

「お金じゃない」「けじめを」父失った家族の思い 福島原発事故の「国の責任」 17日に最高裁が初判断|TBS NEWS DIG

「福島第一原発事故の責任は国にもある」と事故で人生を狂わされた住民ら3800人が訴えた裁判。最高裁があす、初めて事故の国の責任について判断を示します。事故の影響を苦に父親が自殺した原告男性が求めるものとは?

たる川和也さん(46)、福島県須賀川市で農業を営んでいます。場所は、福島第一原発から直線距離で60キロあまり。30歳の時に、勤め先をやめて実家の農業を継ぎました。

たる川和也さん
「根本的に農業で生計立てるって、大変な事なんですよね」

土づくりに厳しく取り組んでいた父。その背中を追い、5年間、必死に学んでいたとき、あの原発事故が起きました。

たる川和也さん
「もうやめて勤めようかなって思いました」

事故後、たる川さんの父は放射能の農業への影響をひどく気にしていたといいます。事故から10日あまり、農産物の出荷停止を通知されるとたる川さんにこう言いました。

父 久志さん
「お前を間違った道に進めてしまった」

たる川さんが最後に聞いた父親の言葉でした。

たる川和也さん
「それを乗り越えられたのはもう、意地しかなかったっすね。意地というか…。親父が死んで、仕事も何もできないと思われたくなかったから」

東京電力は、事故と自殺の因果関係を認めて賠償金を支払いましたが、ほしかった「謝罪」の言葉はありませんでした。

畑や水田は仲間と除染し、農作物から放射性物質は検出されなくなりましたが。

たる川和也さん
「今でもあれですよ。県外と比べたら安いですもん。言葉がおかしい『風評』って。実害なんだよ、俺ら」

たる川さん一家を狂わせた原発事故に、誰からも謝罪はないのか。たる川さんは、国と東電に賠償を求める集団訴訟に参加しました。

たる川和也さん
「原発事故がなかったら、親父は死ななくても良かったって。道理で言ったら、国に責任がないなんてことはないでしょう、この事故」

たる川さんらが原告になっている4つの集団訴訟では、長い争いの末、東電の賠償責任は確定し、およそ3800人に総額14億円が支払われることになりました。

ただ、国にも賠償責任があるかについては、3件の高裁判決が国の責任を認めたものの、1件は認めず、最高裁で4件まとめて争われることになりました。

たる川和也さん
「賠償金取りにかかって裁判してんじゃねかとか思われるのも俺は嫌なんだけど、けじめをつけてもらいたいって俺は思ってたんで、 ずっと」

判決はあす、言い渡され、最高裁が原発事故の国の責任について初めて判断を示します。原発の事故のけじめを父に報告するため、たる川さんは、判決を待ちます。

※たる川和也さんの「たる」の字は、「きへん」に右側が「尊」の字です。

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