感染症“2類相当”変更すべき?新型コロナの“変化”臨床医に聞く(2022年6月15日)

感染症“2類相当”変更すべき?新型コロナの“変化”臨床医に聞く(2022年6月15日)

感染症“2類相当”変更すべき?新型コロナの“変化”臨床医に聞く(2022年6月15日)

全国で15日に確認された新型コロナ感染者は、東京は2015人、沖縄は1414人、大阪は1320人となっていますが、ゴールデンウイーク明けにみられた増加は収まっています。重症者も53人と減少傾向です。

東京の重症者数は、去年8月には297人と過去最多となっていましたが、第6波以降減少を続け、14日に初めて0人となり、15日は1人でした。

こうしたなか、岸田総理は新たな感染症の危機に対応するため、司令塔となる新組織の設置を表明しました。

岸田総理:「まず内閣官房に、新たに内閣感染症危機管理庁を設置。企画立案・総合調整の機能を強化・一体化する」

総理直轄の『内閣感染症危機管理庁』とは、例えばこれまで、緊急事態宣言など行動制限を伴う措置は、内閣官房の対策推進室が、医療の提供体制や保健所の支援などは、厚労省の『対策推進本部』が担当してきました。

感染症危機管理庁は、省庁をまたぐそれぞれの機能を一元化するものです。有事の際は、すぐに関係省庁から人員を集め、対応にあたるといいます。

そして、次なる感染症の危機に対応するためのもう1つの目玉は・・・・・・。

岸田総理:「さらに科学的知見の基盤となる専門家組織も一元化。厚労省のもとに、いわゆる日本版CDCを創設する」

これまで日本では、基礎研究などは『国立感染症研究所』が、そして臨床医療は『国立国際医療研究センター』が担ってきました。これを統合することで、研究の成果を迅速に治療法の開発へとつなげる狙いです。

先立って行われた有識者会議では、これまでの政府の対応を検証した報告書が取りまとめられました。

報告書は、医療機関の役割分担が不明確なうえ、病床確保の協力を得るための措置もなく、医療ひっ迫を招いたと指摘しています。

岸田総理:「法的根拠を与えることで、さらに強化する。地域の拠点病院に協定締結義務を課すなど、平時から必要な医療提供体制を確保し、有事に確実に回ることを担保する」

◆埼玉医科大学総合医療センターの感染症専門医、岡秀昭教授に聞きます。

(Q.患者の症状に以前との違いはありますか?)

岡秀昭教授:「病気の概念が大きく変わるくらい、印象が変わっています。当初は、一定数の患者が両方の肺が真っ白になる重い肺炎を起こして、呼吸が悪くなり、一部の方は人工呼吸器になり、治療を一生懸命やっても、闘病の末に亡くなる病気でした。

しかし今は、後遺症を残す方もいますが、大部分の方は軽症で治癒します。亡くなる方もいますが、高齢者や持病のある人が衰弱した状態で静かに亡くなってしまう形になって、だいぶ病気の印象が変わってきました」

新型コロナの感染症法に基づく分類について、東京都医師会の尾崎会長は14日、「そろそろ今の“2類相当”からは脱却したほうがいい。現状に即した“2類と5類の間”のような分類を作ってもいい」と話しました。

2類では、入院勧告や就業制限、保健所への届け出も直ちにとなっています。5類になると、インフルエンザと同じカテゴリになり、医療機関や保健所の負担は減りますが、医療費の公費負担はなくなります。

(Q.現場の医師としてどう見ますか?)

岡秀昭教授:「私どもの病院は比較的、重い患者を診てきました。そういう医療機関にとって、正直、現時点で5類相当に変わったとしても、あまり大きな影響はありません。速やかに医療ひっ迫が解消されることはないと思います。現時点で、すでに2類相当であったとしても、ひっ迫は起きていない状況です。

一方で、慎重にやらないとデメリットも大きいです。治療薬『レムデシビル』は40万円近い医療費がかかります。今は公費で負担していますが、一部を患者に負担して頂かなくてはいけません。

私どもの病院は今、ベッドを空けて新しい患者を待っています。しかし、病院経営を考えれば、患者を入れなければいけません。空床確保費という国からの補助を受けて、空けて置くことができています。5類相当になった時に、そういった保証は続くのか。こういったことを解消していかないと、患者にデメリットが出てくる可能性もあります。そのため、2類と5類の間を取るのは重要だと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事