「運命決まる」東部“最後の砦”で激戦・・・マリウポリ“コレラ流行”の恐れ(2022年6月9日)

「運命決まる」東部“最後の砦”で激戦・・・マリウポリ“コレラ流行”の恐れ(2022年6月9日)

「運命決まる」東部“最後の砦”で激戦・・・マリウポリ“コレラ流行”の恐れ(2022年6月9日)

 ウクライナの東部セベロドネツクでゼレンスキー大統領は「ここでドンバス地方の運命が決まる」と徹底抗戦を訴えました。一方、ロシア軍に制圧されたマリウポリでは、残された遺体やゴミなどの影響で河川や地下水が汚染され、住民が伝染病の危険にさらされているといいます。

 スーパーマーケットの店内では突然、商品が吹っ飛び、煙が充満しました。7日、ウクライナ北東部ハルキウにミサイルが飛来し、複数の住宅やスーパーマーケットが破壊されました。この攻撃で5人が死亡し、12人が負傷しました。

 ハルキウへの攻撃も継続する一方、ロシア側が戦力を集中させるのが東部ドンバス地方です。

 ゼレンスキー大統領:「戦争が105日を迎えるなか、セベロドネツクはドンバスで戦いの中心地であり続けている。ドンバスの運命はそこで決まる」

 ドンバス地方の運命を握る町、セベロドネツク。ルハンシク州に残るウクライナ側、最後の砦(とりで)です。

 ルハンシク州の知事は一時、市の半分をウクライナ軍が奪還したとしていましたが、8日にはほとんどがロシア側に占領されているとSNSに投稿しました。まさに一進一退の攻防が続いている模様です。

 ウクライナ国防省・モツヤニク報道官:「状況は非常に流動的です。町の何%が私たちの手にあり、何%がロシアの手にあるか聞くのは適切ではありません。形勢は数時間で劇的に変わります」

 ロシアでは今月12日、「ロシアの日」と呼ばれる祝日を迎えます。プーチン大統領が演説をする見通しで、この日を前に戦果を急いでいるとの観測も浮上しています。

 ロシアが制圧しているマリウポリで今、深刻な問題が起こっています。

 マリウポリ市長顧問、ペトロ・アンドリュシチェンコさん:「新型コロナウイルスのようにマリウポリ市民が感染した『コレラ』が世界に拡大し、パンデミックになる可能性がある。専門家の計算によると、少なくともマリウポリでは今年だけで『1万人の死者』が出ます」

 「コレラ」とは、コレラ菌で汚染された水や食べ物を摂取することによって感染し、何度もパンデミック(世界的大流行)が起こっている感染症です。WHOも警告・・・。

 WHO:「コレラを含めた感染症のパンデミックが起こる可能性が高いです」

 ウクライナ保健省がSNSで「井戸水の煮沸」などを呼び掛けていますが、なぜ今、コレラなどの感染症拡大の危険性が。

 マリウポリ市長顧問、ペトロ・アンドリュシチェンコさん:「まずは、『遺体から細菌が広がる可能性』。深く掘っていない『手作りの墓』はどこにでもあります。ごみも3月からずっと処分されていません」

 ロシアの制圧下で多くの遺体の処理作業が追い付かず、細菌などが発生しやすい状況に・・・。

 細菌は雨で流れ、土壌や地下水、河川を汚染。水道や下水のインフラが破壊されているため、市民は汚染された水を使うという悪循環です。加えてこんな心配も・・・。

 マリウポリ市長顧問、ペトロ・アンドリュシチェンコさん:「食べ物や水質を考えれば、市民に『免疫力』が全くないことが分かります。3月中旬からちゃんとした食事をしていませんから・・・」

 コレラ感染の危険性を市民に広く伝えたいそうですが、今度はこんな問題が・・・。

 マリウポリ市長顧問・ペトロ・アンドリュシチェンコさん:「きのう、占領者から初めてこの問題に関して反応がありましたが、当たり前のように『全部、フェイクニュースだ』と言っていました」

 マリウポリ発の「コレラ・パンデミック」を絶対に避けたいアンドリュシチェンコさんですが、進まない遺体搬送や復興、インフラの復旧、そしてロシア側の情報統制になすすべもない状況だそうです。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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