ロシア経済「秋ごろ」限界説も 物価高騰でモスクワ“万引き急増”イモの値段も3倍に(2022年6月5日)

ロシア経済「秋ごろ」限界説も 物価高騰でモスクワ“万引き急増”イモの値段も3倍に(2022年6月5日)

ロシア経済「秋ごろ」限界説も 物価高騰でモスクワ“万引き急増”イモの値段も3倍に(2022年6月5日)

ロシアでは経済制裁の影響が広がっているのでしょうか。
首都モスクワで万引きが急増するなど異変が起きています

▽モスクワで”万引き急増”バターも厳重警戒
一見すると、ウクライナ侵攻前と変わらないモスクワ市内。しかし・・・
「スターバックス、販売はしているんですが、賞味期限を見てみますと6月14日となっています。もうまもなく切れてしまいます。作られたのは2021年11月16日。戦争の前の物ですね。」
スーパーで品不足は起きていないものの・・・
「“万引き”はお菓子などが多いということです」
急増しているという“万引き被害”。経済制裁下のモスクワで今、何が起きているのでしょうか?
(ロシア人YouTuber コンスタンティン・サモイロフさん)「このビデオでは私自身が経済制裁下でどのように感じているかをお伝えします」
制裁下での市民の暮らしをYouTubeで配信しているサモイロフさん。
(サモイロフさん) 「皆さんをロシアのごく一般的なスーパーにお連れしたいと思います」
「これは異常な光景です。かつてこのようなものを見たことがありません。普通のバターが“盗難防止のプラスチックケース”に入れられています」
3割ほど値上がりしたというバターは、店員しか開けられないケースの中に。
(サモイロフさん)「店員に話を聞いたら、ここ数カ月でバターの万引きがかなり増えたので、ケースに入れて守ることにしたそうです」
物価が高騰する中、今年2月から4月の3カ月間に1店舗平均130件の万引きが発生。去年の同時期に比べ18%増えたといいます。

▽「イモの値段3倍に」ロシアでも値上げ
友人のYouTuber ラッセルさんと店内を回ります。
(ラッセルさん)「(大きなカートに)5個から10個ぐらいしか入れていません。みんな慎重になっているからです。以前より価格を確認するようになり、主食しか買っていません」
(サモイロフさん)「あまりお金がないからだと思う」
(ラッセルさん)「イモを見てください。1個89ルーブル(約180円)ですよ」
(サモイロフさん)「クソ高いじゃん。前は25~35ルーブルだったよ」
(ラッセルさん)「イモが89ルーブルですよ。ロシアの主食なのに、およそ3倍」
政府のデータによると、1年前に比べ砂糖は6割以上、果物や野菜は約3割値上がりしているといいます。

ハリウッド映画などの新たな配給が止まった映画館では・・・
(サモイロフさん) 「何を上映してる?」
(ラッセルさん)「ロシア映画、ロシア映画、ロシア、ロシア、ロシア・・・」
(サモイロフさん)「少ししか映画は上映していないね?」
(ラッセルさん)「僕が見たいのはないね。残念だ」

そして、車の修理工場でも・・・
(サモイロフさん)「車を手入れしにきました。私はいつもここに車を持ってきます」
日本車に乗っているサモイロフさん。3月初めから海外メーカーの撤退が相次ぎ、新たな部品が入って来なくなったことで在庫が高騰しているといいます。
「オイルとオイルフィルターを買います」
メーカーから推奨されているという日本製オイルの値段は制裁前のおよそ4倍に。
(サモイロフさん)「なんとか買うことができました。もうこれで品切れです。近いうちに入荷する予定はありません」

5人の子どもを育てるサモイロフさん。エネルギー関連企業に勤めていますが、制裁後、給料が減ったといいます。
(サモイロフさん)「正直言って、この後に何が起こるかわかりませんが、ロシアが『普通』に戻ることはないでしょう。我々は今、この大きな『経済的津波』の中にいます。これは長い間続くもので、ロシアはどん底まで落ちるでしょう。私はそう感じています」

▽従業員へ支援は「イモ菜園割り当て」
制裁の影響は、ロシアの“飛び地”でも・・・
バルチック艦隊が配備されている重要な軍事拠点「カリーニングラード」。
「カリーニングラードに3店舗あるマクドナルドの1つです。最近までドライブスルーに並んでいる自動車の列が見られましたが、きょうは誰もいません。」
ウクライナ侵攻後に失業者が急増。1カ月でおよそ20%増加したと現地メディアが報じています。
(住民)「どうにか仕事には行っていますが、70%くらい仕事はなくなってしまいました」
こうした中、ドイツや韓国の自動車メーカーから組み立てを受注するアフトトル社は先月、従業員にある支援策を打ち出しました。
「すべての希望者に対して、無償で菜園用の土地を割り当てることを決定しました」
ジャガイモ栽培のために、敷地を貸し与えるというのです。
希望者を対象に抽選が行われ、168区画(1人1000平方メートル)が割り当てられました。
ロシアの4月の自動車生産台数は去年4月に比べ85.4%も減少。
ロシア政府は先月12日、エアバックなどの安全対策を施していない車も販売できるように規制を緩和しています。

▽航空機”解体”も?海外企業撤退の余波
制裁の影響は飛行機でも・・・
「ロシアの航空機は深刻な部品不足に直面しています。2025年までにロシアの航空機の半分以上が解体されるとも指摘されています」
ロシア航空最大手「アエロフロート」が保有する350機以上の航空機がボーイング製やエアバス製で、深刻な部品不足に直面しているとアメリカメディアは報じています。

「ロシア版新幹線」と呼ばれる高速鉄道も・・・
製造したドイツ企業「シーメンス」が先月12日、ロシアからの撤退を決定。列車や部品が確保できないため運行停止に陥る可能性も指摘されています。
欧米企業の撤退が相次ぐ状況についてプーチン大統領は強気の発言を繰り返しています。
(ロシア プーチン大統領)
「一部の企業は撤退して良かった。私たちが補填できるからです。特にハイテク産業は今後間違いなく強力になります」

▽ロシア経済「秋ごろ」限界に?
しかし、メドベージェフ前大統領の経済顧問だったセルゲイ・グリエフ氏はこう指摘します。
(メドベージェフ前大統領の経済顧問 セルゲイ・グリエフ氏)
「今後の予測は極めて悲惨なものになるでしょう。今年ロシア経済は、1990年代初め以降もっとも大きな景気後退に見舞われるかもしれません」
グリエフ氏はソ連崩壊以降もっとも経済が後退すると分析。そして「秋ごろ」ロシア経済は限界を迎える可能性があるといいます。
(メドベージェフ前大統領の経済顧問 セルゲイ・グリエフ氏)
「製品を生産したくても部品がないため、今は在庫部品でしのいでいます。しかし遅かれ早かれ在庫部品は尽きます。数年先までの在庫は抱えていませんから」

6月5日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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