フィンランド、NATO加盟申請へ 国境の町の今を取材“80年以上前の悪夢 よみがえる”|TBS NEWS DIG

フィンランド、NATO加盟申請へ 国境の町の今を取材“80年以上前の悪夢 よみがえる”|TBS NEWS DIG

フィンランド、NATO加盟申請へ 国境の町の今を取材“80年以上前の悪夢 よみがえる”|TBS NEWS DIG

上空から降り注ぐ無数の光。

ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタリ製鉄所とされる映像です。

映像を投稿したマリウポリ市長顧問はきわめて高温で燃焼が止められず、深刻なやけどをもたらすため、非人道的とされる「白リン弾」か「焼夷弾」をロシア軍が使用した可能性があると指摘しています。

製鉄所の内部には、負傷者を含む多くの戦闘員が残っているとされていますが、被害の状況はまだ分かっていません。

こうした中、ロシア軍が完全制圧を目指すウクライナ東部の戦況についてイギリス国防省は。

イギリス国防省分析
「ウクライナ侵攻以降、地上戦力の3分の1を失った」

ロシア軍が「勢いを失い、作戦の予定が大幅に遅れている」と指摘。さらに、この1か月で実質的な領土の獲得はできていないと分析しています。

北東部ハルキウでもロシア軍が「撤退している」との分析があり、ウクライナ軍が反転攻勢に出ている模様です。

こうしたなか、ヨーロッパは安全保障上の大きな転換点を迎えています。

フィンランド マリン首相
「ロシアによるウクライナ侵攻が始まってから、すべてが変化した。私は個人的にロシアの隣国として、平和な将来があると確信することはできない」

15日、NATOへの加盟申請を正式に表明したフィンランドのマリン首相。加盟申請について、議会で審議が始まる見通しで、与党を含む大半の議員が賛成するとみられます。

ロシアと1300キロにわたり国境を接するフィンランド。JNNは国境に近い町の今を、取材しました。

記者
「ここからおよそ700メートル先がロシアの領土です。ウクライナ侵攻前にあった車両の通行は9割ほど減ったということです」

国境検問所の所長
「(ウクライナ侵攻前は)1日300台の車が通過しましたが、今は30台ほどに減りました」

東部の町・イマトラの検問所。

地元経済を支えていた外国人観光客のうち大半がロシア人でしたが、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁を受け姿を消しました。衣料品店などでも、売り上げは激減したということです。

衣料品店 店主
「経済的に大きな影響がありました。売り上げの40%以上はロシア人の客でしたから」

ただ、自国のNATOへの加盟には理解を示しています。

衣料品店 店主
「それでもNATO加盟は一番の選択肢だと思います」

ロシアによるウクライナ侵攻により、過去の戦争の記憶が呼び起こされた人も。

エスコ・マルッキさん(93)
「私の母です。とても陽気な人でした。母の歌声は低くて美しい声でした。今でもよく覚えています」

93歳のエスコ・マルッキさん。1939年、ソ連がフィンランドに侵攻した「冬戦争」で母親を失いました。

戦争では、当時10歳だったマルッキさんが住んでいた村もソ連の攻撃の対象に。ともに避難した妊娠中の母は、その後、出産に伴い大量の出血で亡くなりました。

エスコ・マルッキさん(93)
「人生が終わったような、全てが崩れ去ったような気持ちになりました」

その後、フィンランドは独立を守った一方で、領土の10分の1をソ連に割譲することになり、マルッキさんの故郷も戻ってくることはありませんでした。

地質学者となったマルッキさんは現在、2人の子どもも独立し、首都ヘルシンキの郊外で一人、暮らしていました。

しかし・・・。

ロシアによるウクライナ侵攻が80年以上前の悪夢を呼び起こすことになったのです。

エスコ・マルッキさん(93)
「冬戦争と同じような状況です。こんな侵攻が始まり、大国が小国を攻めました」

一刻も早いNATOへの加盟を望んでいます。

エスコ・マルッキさん(93)
「未来を予測することは難しいけど、フィンランドにも戦争の脅威は近づいています。正しい選択はNATOに加盟することです。一国だけでは生き残れません」

先週公表された世論調査では、フィンランド国民の7割以上がNATO加盟を支持していて、侵攻以前と比べ、世論は大きく変化しています。

15日には、隣国スウェーデンの与党もNATO加盟への支持を表明。両国は今週中にも申請を行う見通しで、これまでの軍事的中立の立場を大きく転換することになります。

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