ウクライナ軍、反転攻勢のカギ「M777りゅう弾砲」とは(2022年5月16日)

ウクライナ軍、反転攻勢のカギ「M777りゅう弾砲」とは(2022年5月16日)

ウクライナ軍、反転攻勢のカギ「M777りゅう弾砲」とは(2022年5月16日)

 ロシアによるウクライナへの攻撃はやむ気配がありません。反転攻勢へアメリカなどから提供された秘密兵器とも言える「りゅう弾砲」の特性を専門家に聞きました。

 「地獄が地上に降りてきた」。SNSに映像を投稿し、“白リン弾”の可能性を指摘したのはマリウポリの市長顧問です。

 映像にはアゾフスタリ製鉄所の上空で爆発が起き無数の火の玉が降り注ぐ様子が映っています。

 製鉄所には抵抗を続けるアゾフ大隊、そして600人ほどの負傷兵が残っているとみられます。

 マリウポリ市長顧問:「ロシアは焼夷(しょうい)弾もしくは白リン弾を使用した。燃焼温度は2000度から2500度。消し止めることはほぼ不可能」

 “白リン弾”は化学兵器禁止条約では規制されていませんが「非人道的」として国際的に批判されている兵器です。

 これは“白リン弾”なのでしょうか。防衛研究所の高橋杉雄さんは・・・。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「あれは白リン弾ではないと思う。マグネシウム、またはアルミニウムが混ざったものが燃えているもの。消火が難しいし、温度が非常に高い。そういう意味で殺傷能力の高い兵器。白リン弾が有名で、ウクライナが言う時は“白リン弾”だと言っている形になっている。地下を攻撃する場合に地上の建物が邪魔で(壊すために)高温の焼夷弾を使ったのでは」

 “手段を選ばない”ロシア軍の攻撃が続く一方で、戦局のカギを握るとされた東部での戦いには“変化”が起き始めています。

 これはウクライナ軍が公開した映像。映っているのはロシア軍の戦車の残骸です。ウクライナ軍は東部のドネツ川を渡ろうとした戦車など70台以上を破壊したといいます。

 ロシア軍の前進を阻止したとみられるのがアメリカなど西側諸国から提供された“りゅう弾砲”です。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄さん:「いわゆる大砲。射程20キロから30キロで前線で戦う戦車や歩兵の後ろから撃つ。前線で戦っている兵士にとっては後ろからりゅう弾砲の支援があると敵に対して優位に立てる、撃破できる。自分たちの守り神みたいな意味で“戦場の女神”と言われたことがある」

 なかでも注目なのがアメリカから提供された「M777りゅう弾砲」。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄さん:「そもそもM777、軽量りゅう弾砲と呼ばれているくらいの砲なので、標準と比べると軽い。極端な例はヘリコプターで空輸できる。同じ場所から撃ち続けてると相手に見つかる。場所を変える時にヘリコプターの空輸が使えるというのが一つのポイント」

 ウクライナの兵士もM777りゅう弾砲に全幅の信頼を寄せています。

 ウクライナ兵:「りゅう弾砲は非常に離れた場所にいる敵の車両や軍事施設を破壊するために使っています」

 高橋さんはりゅう弾砲に使用される“砲弾”の性能もロシア軍に勝っていると指摘します。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄さん:「エクスカリバーはGPSを積んでいて、設定した座標に正確に落ちる。誤差数メートルといわれている」

 「エクスカリバー」はアメリカの企業などが開発した精密誘導が可能な「砲弾」です。高橋さんによると、エクスカリバーの価格は1発およそ1000万円ほど。ドネツ川周辺のロシア軍の戦車に対してもエクスカリバーが使用された可能性があるといいます。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄さん:「橋を渡ろうとしたロシア軍に対して半分ほど渡ったところでエクスカリバーで攻撃した。川の両側に戦車部隊や装甲車が置かれているので、りゅう弾砲とかドローンからの攻撃、対戦車ミサイルなどで、一両ずつ攻撃したと思う」

 今後の戦況について高橋さんは・・・。

 防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「今のハルキウの戦いでロシア側がどれくらい損害を出しているかがポイント。ここで大きな損害を出すことになると、ウクライナはドンバス地方の占領された地域を奪回。北部のルハンシクを奪回していく。ただしロシアはある段階で守備的な戦略にシフトする。守備的な態勢に変えるとウクライナも簡単に攻められないから長期化する」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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