アメリカ「期待と不安」中国「警戒」韓国・新大統領就任式で見えた“思惑”(2022年5月10日)

アメリカ「期待と不安」中国「警戒」韓国・新大統領就任式で見えた“思惑”(2022年5月10日)

アメリカ「期待と不安」中国「警戒」韓国・新大統領就任式で見えた“思惑”(2022年5月10日)

韓国では10日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が就任し、5年ぶりの保守政権が発足しました。新政権の誕生は、日韓関係にとどまらず、東アジアのパワーバランスにも大きな変化をもたらす可能性があるとして、各国が注目しています。

約4万人が出席した尹新大統領の就任演説。その様子をサングラス越しに見守っていたのが、中国から出席した王岐山国家副主席です。韓国の大統領就任式に、副主席クラスが来るのは初めてです。

王氏は2018年、最高指導部を引退していながらも、異例の人事で副主席となった人物で、習近平国家主席の盟友、右腕とも言われています。副主席に就任した後、すぐに初の外遊に臨み、ロシアやベラルーシを訪問。プーチン大統領とも会談しました。

習主席はなぜ、王氏を就任式に送ったのでしょうか。

中国総局、千々岩森生総局長:「王副主席はコロナ発生以降、外遊をずっと控えてきた。2年半ぶりとなる外遊先にあえて韓国を選んだ形。中国メディアは韓国に対する『大きな誠意だ』と表現している。習近平政権は尹新大統領を明らかに警戒している。今回の派遣には、こちらは韓国を重視しているんだから、そちらも中国との関係を重視してくださいよと、けん制の意味も込められているとみられる」

韓国新政権には、どう向き合うのでしょうか。

中国総局、千々岩森生総局長:「中国としてはアメリカと距離があった文在寅(ムン・ジェイン)大統領は非常に都合が良かった。新大統領もそうしてほしいのが本音だが、それが難しいのも分かっている。いきなり圧力をかけるとアメリカ側に追いやってしまう。当面は『太陽政策』で良好な関係構築を図ると思う。尹大統領が日米側に寄り添うなら、来年以降は『北風政策』プレッシャーを強めていくとみている」

中国が気にするアメリカから参加したのは、初の女性アメリカ副大統領、カマラ・ハリス氏の夫で、弁護士のダグラス・エムホフ氏です。妻の就任直後は、副大統領の夫「セカンドジェントルマン」と呼ばれ、注目されました。

なぜ副大統領の夫が選ばれたのでしょうか。

ワシントン支局、布施哲支局長:「アメリカ政府は、国務長官ではなくセカンドジェントルマンと呼ばれるハリス副大統領の夫を派遣しています。いわば“格下”の派遣となった背景には、20日にバイデン大統領の韓国訪問を控えていることにあります。韓国訪問では、挑発行動を繰り返している北朝鮮問題だけでなく、インド太平洋地域の最大の課題である中国との向き合い方に関する新政権の方針を確認したい考えです」

日韓関係について、アメリカは何を望んでいるのでしょうか。

ワシントン支局、布施哲支局長:「アメリカ国務省の北東アジア関連のプレスリリースを見ても、必ず最後に日米韓の連携というフレーズが出てきます。それだけアメリカ政府としては、まずは日韓関係が改善をして、それによって日米韓の連携が進むことに強い期待感があります。対中国でも連携を進めたいところですが、一方で韓国が経済的に中国に強く依存していることも確かです。韓国の新政権が中国とアメリカそれぞれに対して、どのような距離感を作ってくるのか期待と不安を持って見守っています」

米中に対して、韓国はどう向き合うのでしょうか。

ソウル支局・井上敦支局長:「文大統領が中国・北朝鮮を重視したのと対照的に、尹大統領は“伝統的な保守外交”。つまり米韓同盟を基軸にアメリカとの関係を強化し、同じ民主主義の日本を重視するスタンスを示しています。北朝鮮・中国・さらにロシアにも対抗するため、日韓・日米韓の連携がますます重要になっています。一方で、韓国は文政権の5年間で、南北関係改善のために中国を重視してきた過去があります。経済的依存度もますます高まっています。尹大統領も中国が経済的な影響力を使って、韓国に圧をかけてくることは十分に分かっています。米韓同盟を基軸にして、民主主義国家として日米・日米韓の連携を強め、自国の安全保障を確保しつつも、経済的依存度の高い中国との関係性も維持するという、難しいバランス外交を迫られることになります」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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