相次ぐ奪還・・・東部戦線に「変化」 見えてきたウクライナ“反転攻勢”の実態(2022年5月10日)

相次ぐ奪還・・・東部戦線に「変化」 見えてきたウクライナ“反転攻勢”の実態(2022年5月10日)

相次ぐ奪還・・・東部戦線に「変化」 見えてきたウクライナ“反転攻勢”の実態(2022年5月10日)

 華やかな軍事パレードの一方で、ウクライナ国内では「ある変化」が起きていました。プーチン大統領が制圧を目指す東部地域では、一度占領されたものの、ウクライナ側が再び奪還する街が出ています。番組では、東部の要衝「イジューム」の副市長を取材、反転攻勢の実像が見えてきました。

 ウクライナの軍人:「これはロシア軍がウクライナ侵攻に来た時に使った『ファシスト』のシンボルです」

 ロシア軍から奪還した地域でウクライナ側は、その後処理に追われていました。

 東部戦線が今、大きく動いています。ウクライナ政府は、4月の最終週にハルキウ州内で、ロシア軍に占領されていた少なくとも11の村を奪還したと発表しました。

 一体なぜ、ウクライナ軍が攻勢に出て、ロシア軍が苦戦を強いられているのか。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「平地であるため我々に対して大きなメリットになっています。ロシア軍の戦車などを狙いやすいのは間違いない」

 番組は、今後の鍵となるいまだロシア軍に制圧されている街、イジュームの副市長に話を聞きました。

 ウクライナ語で「干しブドウ」を意味する4万5000人ほどの小さな街、イジューム。第2の都市ハルキウからは約90キロと近い位置にあります。

 イジュームが制圧され西側のマスコミが入れず、状況が分からないなかで、番組は副市長を取材しました。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「市内の約8割が破壊されています。インフラも約8割の破壊が確認されています」

 まだ、1万5000人の市民が避難できていないなかで、日に日にロシア軍が増えていくと語っていた当時のマツォキン副市長。このところ、近郊のハルキウ周辺でウクライナ軍が攻勢に出るなか、番組では再び話を聞きました。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ハルキウ州とイジューム市の近くに反撃を行いました。その反撃がけっこう強いです。ほぼ毎日のように、占領されていた村が解放されています」

 ただ、マツォキン副市長によりますと、イジュームはいまだにロシア軍の制圧が続いていて、街やインフラが破壊されている状況は変わらないそうです。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ウクライナ軍参謀本部の情報だと、現在22部隊で約2万人から2万2000人のロシア軍がいます。イジューム市内は約1万5000人の民間人に対して2万人の占領者がいます」

 しかし、大きく変わったところが・・・。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ハルキウ州では攻撃はまだ続いていますが、以前より静かになっています」

 マツォキン副市長から提供された映像では、地上に出て、自宅周辺を歩き回る住民も・・・。

 イジューム市の住民:「地下室を出たところです」

 街には、至る所に爆撃や銃撃の跡が・・・。

 イジューム市の住民:「地面には爆撃でくぼみが残っています。あそこの破壊されたところはサロンでした・・・」

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ロシア軍はイジューム市内に『刑務所』のようなものを作って、そこに連行された人はどうなっているのか分かりません」

 このような状況ですが、なぜウクライナ軍が攻勢に出ることができたのでしょうか。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ここ最近、海外から頂いた武器が届きました。オーストラリア、スロベニア、チェコ、ポーランドなどから色々と頂きました」

 ウクライナ陸軍が公開した映像では平原にある森の中に、よく見ると戦車の姿が・・・。ウクライナ軍が攻撃し、爆破しました。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「彼らがいる所は見やすくて平地であるため、我々に対してメリットになっています。ロシア軍の戦車などを狙いやすいのは間違いない。反撃の成功を期待しています」

 2万人のロシア軍がいるイジュームには、ロシアのベルゴロド州からの補給ルートがあると言われています。

 現在、ハルキウ周辺のウクライナ軍が攻勢に出ているため、その補給ルートを絶てば、ロシア軍がますます劣勢になり、イジュームの解放につながる可能性があるわけです。

 マツォキン副市長は、こんな話も・・・。

 イジューム市、ボロディミル・マツォキン副市長:「ロシア軍は兵士が着るものも足りないようで、普通の靴を履いている兵士までいました。軍隊には燃料や弾薬だけではなく、服装や食料も提供する必要がありますが、現在ロシア軍には届いてない状態です。食べ物さえ足りない人がこんなに大勢いることで、ますます危険性が高くなってくる」

 約2万人の兵隊がいるというイジューム周辺のロシア軍は、すでに物資不足の状態・・・。このため、現地ではさらなる略奪を心配しているそうです。

 防衛研究所の高橋室長は、ロシア軍の攻勢もあり、まだ予断を許さない状況としながらも・・・。

 防衛研究所・防衛政策研究室、高橋杉雄氏:「イジュームのロシア軍部隊の補給線を完全に断てた場合には、イジューム周辺の部隊は壊滅的な打撃を受ける可能性があります。そうなるとウクライナ側としてはそこを起点に、占領されたドンバス地域の反撃、奪回というものが可能性としては見えてくる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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