プーチン大統領 10分間演説も「勝利」「戦争」宣言なし・・・“式典の目玉”は急きょ中止(2022年5月10日)

プーチン大統領 10分間演説も「勝利」「戦争」宣言なし・・・“式典の目玉”は急きょ中止(2022年5月10日)

プーチン大統領 10分間演説も「勝利」「戦争」宣言なし・・・“式典の目玉”は急きょ中止(2022年5月10日)

 ロシアのプーチン大統領が対ドイツ戦勝記念式典で演説し、ウクライナ侵攻を「唯一の正しい判断」と正当化しました。

 一方、激戦地・マリウポリでは、ロシア軍が化学兵器を使うという情報があり、地元住民に対して「外に出るな」と呼び掛けているといいます。

■勝利&戦争宣言“なし”

 国威発揚の軍事パレードが始まったモスクワ。

 ショイグ国防相:「同志諸君。戦争勝利77周年、おめでとう」

 全世界が注目するなか、プーチン大統領は何を語るのか。およそ10分間にわたる演説が始まりました。

 プーチン大統領:「ロシアはドンバス地方の人々のため、祖国の平和のために戦っている。ナチズムを打ち負かした人々を記憶し、世界大戦の恐怖を繰り返さぬことが、我々の義務である」

 ウクライナ侵略について、戦争の恐怖を繰り返さないためだという、一方的な主張を続けます。

 プーチン大統領:「ロシアは西側と対話し、合理的な解決策を求めていた。NATO(北大西洋条約機構)は、我々に耳を貸さなかった。つまり、彼らには、全く別の計画があったということ。ドンバス、クリミアを含む我々の領土への侵略準備が、公然と進められていた。危険は、日ごとに増していた。ロシアは侵略に対して、先手を打つことにした。それはやむを得ず、唯一の正しい判断だった」

 欧米の脅威を理由に、ウクライナ侵攻を正当化。結局、勝利宣言も戦争宣言もなく、従来の主張を繰り返しただけでした。

■“式典の目玉”急きょ中止

 演説の後、再開された軍事パレード。ナチス・ドイツを打ち負かした戦車の他、アメリカ本土を標的にする大陸間弾道弾「ヤルス」。ウクライナへの攻撃でも使われている、短距離弾道ミサイル「イスカンデル」が登場し、ロシア人の愛国心に訴えました。

 しかし、式典の目玉である航空ショーは急きょ中止されました。

■「終末の飛行機」登場せず

 リハーサルでは、ウクライナ侵攻の象徴となっている「Z」の文字を描いていた戦闘機。

 そして、「終末の日の飛行機」とも呼ばれる、「イリューシン80」。核戦争の時に、大統領らが乗り込み、指揮を執る、この飛行機も登場する予定でした。

 ロシア大統領府は、「悪天候のため」戦闘機などの上空飛行は中止したと発表しました。

■「制圧都市」にロシア国歌

 大部分が制圧されたウクライナ東部のマリウポリでは、ロシアの国歌が鳴り響きました。

 親ロシア派勢力のパレードには、地元住民も強制的に動員されたとみられます。

■ロシア軍“化学兵器”準備か

 そのマリウポリを、ロシアの副首相が視察。攻撃に備えて、防弾ベストに身を包んでいます。

 侵攻以来、最高位の政治家の訪問で、実効支配を進める姿勢を示した形です。

 不穏な情報も、飛び込んできました。

 マリウポリ市の地元議員によると、ロシア軍が化学兵器を使用する計画があるというのです。

 マリウポリ市議会 アレクサンドル・ラシン議員:「11日に、ロシア軍が化学兵器を使う準備をしているという情報が入りました。マリウポリでは、『明日から外に出るな』と地元の人に警告しています。製鉄所にいる我々の兵士を一掃したいようです。攻めあぐねて、うまくいかないから、大量殺戮(さつりく)的な手段に出ようとしているんです」

 最後の砦(とりで)となった製鉄所を、ロシア軍は化学兵器で攻め落とすつもりなのでしょうか。

 この情報は、マリウポリの市長顧問も把握していて、現在、真偽を確認中だとしています。

■東部の衛星写真に“異変”

 戦禍の実態を画像解析する研究も進んでいます。

 東京大学の渡邉英徳教授らの研究チームは、衛星写真やドローン映像などを活用し、ウクライナで何が起きているのかを明らかにしました。

 東京大学大学院・渡邉英徳教授:「集中的に、東部ドンバス地方に兵力を集めて、制圧しているのが分かる」

 地上に感知した熱を赤く反映し、戦闘による火災を視覚化したデジタル地図を作成したところ、要所となる都市を巡り、その周辺で、ロシア軍とウクライナ軍の攻防が頻発。むしろ郊外の方が、甚大な被害が出ているはずだというのです。

 渡邉英徳教授:「セベロッドネツクという東部の街。今回のウクライナ侵攻で、要所となる場所です。セベロドネツクの中では、火災は検出されていないが、その周りで、たくさんの火事が起きています」

 同じような現象は、2カ月前、首都キーウ周辺でも起きていました。

 郊外には、虐殺の報告もあったブチャなど、小さな町が無数にあります。

 渡邉英徳教授:「本来の主目的であるキーウには、火災はあまり発生していなくて、ここに攻め入っていく(ルート上の)イルピンやブチャに大規模火災が発生。報道されていないが、壊滅的な被害を受けていたり、虐殺が行われたかもしれない集落が、キーウ周辺に無数にある」

 現在の激戦地・ウクライナ東部で何が起きているのか、その実態が明らかになるのは、まだ先のことです。

(「グッド!モーニング」2022年5月10日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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