『戦争を止めるつもりは全くない』グレンコ・アンドリー氏が読み解く“プーチン演説”(2022年5月9日)

『戦争を止めるつもりは全くない』グレンコ・アンドリー氏が読み解く“プーチン演説”(2022年5月9日)

『戦争を止めるつもりは全くない』グレンコ・アンドリー氏が読み解く“プーチン演説”(2022年5月9日)

5月9日、ロシアの戦勝記念日の式典で行われたプーチン大統領の約10分間の演説。ウクライナ人の国際政治学者グレンコ・アンドリーさんは今回の演説をどう見たのでしょうか。

 (ロシア プーチン大統領)
 「第二次世界大戦時にナチスを倒した世代は勝利の世代です。私たちは彼らに並べるように、そして勇敢にロシアのために戦っていく。万歳!」

 兵士たちの『万歳』の声が響く首都・モスクワの「赤の広場」。5月9日、ロシアでは第二次世界大戦での「対ドイツ戦勝記念日」を迎え、式典が行われました。『勝利』と記された赤い旗がはためく中、1万人以上の兵士が参加する軍事パレードが行われ、ICBM(大陸間弾道ミサイル)「ヤルス」も登場しました。

 パレード冒頭に行われた演説で、プーチン大統領は『ウクライナでの軍事作戦は欧米の脅威が原因だ』と繰り返し述べました。

 (ロシア プーチン大統領)
 「ロシア国境のすぐ近くに大きな脅威があった。ネオナチとの衝突が目に見えていました。軍事インフラが整っていることを目にしていた。NATO諸国から武器がたくさん供給されてきた。脅威がどんどん大きくなっていた。ロシアは常に侵略者と戦っていた。それが唯一の正しい主権国家としての選択だった」

 ウクライナ出身の国際政治学者・グレンコ・アンドリーさんは、プーチン大統領の焦りを感じたと言います。

 (国際政治学者 グレンコ・アンドリーさん)
 「なんとしてでも今回の戦争に勝ちたいんだけれどもなかなかうまくいっていない、唯一可能な選択肢だったと。つまり、ほかに選択肢がない。この戦争は不可避だったということを改めて強調するんですね。あとは、そういった発言でロシア国民に『この戦争は正しいんだ』と思わせるための1つの発信ですね」

 また今回の演説の中には兵士たちを鼓舞する言葉もちりばめられていました。

 (ロシア プーチン大統領)
 「きょう、赤の広場で肩を並べて多くの地域から兵士が集まってくれている。私たちロシアを弱体化しようとした人たちがいる。それはうまくいかなかった、全てが失敗に終わりました。色んな国籍の人たちが兄弟のように一緒に戦っている。それがロシアの強さです。多民族のロシアの力です」

 (国際政治学者 グレンコ・アンドリーさん)
 「ロシア国内でも『なんでこういうたくさんの戦死者が出ているような戦争に乗り出したんだ』という不満があると思うんですね。戦況とか作戦とか、どのような形の勝利を目指しているとか、そういう詳しい事は言っていないんですけれども、この戦争で戦っている人たちはとにかく素晴らしくて、ロシアの安全保障と平和のために戦っているんだと」

 そして今回の演説で改めてプーチン大統領の固い意思が見えたといいます。

 (国際政治学者 グレンコ・アンドリーさん)
 「彼はウクライナとの戦争をいま止めるつもりは全くなくて、戦争どころか停戦の意図すらなくて。とにかく征服するまで戦争をやり続けると言う意図が、今回の演説から、元々わかりきっていたことなんだけれども、改めて見えたんですね」

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