「親ロシア」か「反ロシア」か“選別キャンプ”設置でウクライナ住民行方不明に(2022年5月4日)

「親ロシア」か「反ロシア」か“選別キャンプ”設置でウクライナ住民行方不明に(2022年5月4日)

「親ロシア」か「反ロシア」か“選別キャンプ”設置でウクライナ住民行方不明に(2022年5月4日)

 ウクライナ情勢について、ゼレンスキー大統領はマリウポリの製鉄所から156人が避難したと明らかにしました。一方で、アメリカの高官は市民の一部が選別キャンプと呼ばれる収容施設に連行され、行方が分からなくなっていると懸念を示しています。

 ウクライナ中南部のザポリージャに数台のバスが到着しました。

 南部のマリウポリにあるアゾフスタリ製鉄所から抜け出せた人たちを乗せたバスです。

 降りてくるのは高齢者や女性、子どもたち。

 長ければ2カ月以上に及んだ地下での避難生活の恐怖を語りました。

 製鉄所からの避難者:「濡れて湿っていて、グラグラと揺れる地下で過ごすことが、どれだけ怖いか想像できないでしょう。外に出られて、この2カ月で2度目の太陽を見ました」「街への砲撃が始まって製鉄所に連れて行かれました。安全だからと言われました。確かにしばらくは安全でした。その後、包囲されて砲撃され続け、外に出られなくなりました」

 約100人の市民がアゾフスタリ製鉄所から出られたのは、国連と国際赤十字の調整で2日間の停戦が実現したからです。

 その後、ロシア軍は再び製鉄所に対する攻撃を始め、予定されていたさらなる避難は実現していません。

 ただ、ロシア国防省が公開した映像では、住民の話すことは変わってきます。

 撮影された場所は、製鉄所を出た市民がいったん連れて行かれたロシア側が制圧した村のベジメンネです。

 製鉄所から避難したとされる女性:「ウクライナ軍が私たちを解放してくれませんでした。私たちを誰かと交換することを期待していました。私たちを脅迫して『我々がここで殺されればあなたたちも一緒に死ぬ』と言われました」

 「ウクライナ側が民間人の避難を妨害している」。ロシア側の主張に沿った証言です。

 一方、ロシアに制圧されていないザポリージャでAP通信の取材に応じた住民は「ウクライナ軍に強制されてはいない」と話します。

 製鉄所からの避難者:「ウクライナ軍に拘束されたと話す人もいますが、私たちは拘束されていません。ただ、外に出たら命の危険があると言われました。私たちもあのような殺人的な兵器にさらされている外に出て生き残れないことは分かっていました。だから、どこにも行きませんでした」

 なぜ侵略して街を破壊したロシア側に沿った話をするのか、その訳の一端が見えてきました。

 “選別キャンプ”と呼ばれる収容施設です。

 アメリカのカーペンター駐OSCE(ヨーロッパ安全保協力機構)大使は、そのキャンプが複数あるとの見方を示しました。

 駐ヨーロッパ安全保協力機構(OSCE)・カーペンター大使:「マリウポリの市長執務室によると、マリウポリや周辺に4つの『選別キャンプ』があります。南部や東部にはもっとある可能性があります」

 キャンプの目的は住民を「親ロシア」か「反ロシア」に選別することだとみられます。

 駐ヨーロッパ安全保協力機構(OSCE)、カーペンター大使:「証言者の話は非常に恐ろしい。『選別キャンプ』で合格しなければ何が起こるか分かりません。行方不明の人も多くいて何が起きたか分かりません。拷問を受けたと主張する人もいます」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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