【証言】水深120mの世界とは? 元海上自衛官「飽和潜水員」が語る“過酷な現場”(2022年5月4日)

【証言】水深120mの世界とは? 元海上自衛官「飽和潜水員」が語る“過酷な現場”(2022年5月4日)

【証言】水深120mの世界とは? 元海上自衛官「飽和潜水員」が語る“過酷な現場”(2022年5月4日)

 今後、鍵を握るのは「水深120メートル」に沈没している船の引き揚げになります。その「水深120メートル」とは一体どんな世界なのでしょうか。番組では「飽和潜水員」として実際に海上自衛隊で活動した男性を取材しました。すると、深海ならではの過酷かつ特殊な状況が見えてきました。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「実際の海で100メートルの飽和潜水を訓練で潜ったことがあります」

 2005年から5年間、海上自衛隊で飽和潜水員として活動していたという男性。

 知床半島で起きた遭難事故で行方不明者捜索の鍵を握る「飽和潜水」。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「すごい力がいる、体力がいる、忍耐力がいるっていうような作業になりますね」

 果たして、飽和潜水の過酷な現場とは・・・。

 「KAZU1」の船体が沈む水深約120メートル。そこで今回、捜索などに活用されるのが飽和潜水という技術です。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「飽和潜水の特徴としては、いくらでも潜っていられる。私が100メートル潜っていた時の自衛隊のなかのルールでは水の中で作業できる最大時間は2時間」

 そう話すのは2005年から5年間、海上自衛隊で飽和潜水員として活動していたという男性です。潜水艦などの遭難事故が起こった場合、飽和潜水員として任務にあたるためび従事していました。

 そもそも飽和潜水とは、ダイバーが「チャンバー」と呼ばれる潜水装置に入って水圧に体を慣れさせてから外に出て作業する方法です。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「座ってひざが突き合うぐらいの距離で生活する、隣とも距離をとっても手を伸ばせば届く。それぐらいの狭いところですね。体大きな人が6人くらい入ってるんで」

 元飽和潜水員の男性によりますと、その狭い空間で半日ほどかけて水圧に体を慣らし、深海で作業をするといいます。反対に、地上に戻るための「減圧」は4日ほどかけて行っていたそうです。

 ただ、圧力が掛かることで体になんらかの症状が出るといいます。

 水圧の実験映像では、500ミリリットルのペットボトルが水深100メートルを超えるとつぶれるほどの水圧が掛かります。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「圧力が掛かってくる時は、つぶされるような感覚はそんなにない。体の動きが悪くなるような圧力が掛かってるな、関節、軟骨組織がつぶれているな、動きづらいなとか、痛みが出るなとかはあります」

 さらに地上に戻る時も・・・。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「ゆっくり上がっていくと自然に耳がぷつぷつとガスが抜けていく。耳抜きがされていく感じで全身がかゆくなるそうよう感。毛穴からガスが抜けていくような体のかゆみが出る」

 水深100メートルでの作業もうまくはいかないようです。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「(Q.100メートル潜った時、どんな作業を?)太い金属製の鋼線、ワイヤを切る作業。水の中で電気とか使えないので、自力で人間の原始的な方法で切る。金属のノミで金属のワイヤを切る、すごくアナログな方法。すごい力がいる、体力がいる、忍耐力がいるっていうような作業になる」

 行方不明者捜索の鍵を握る飽和潜水。今回の事故でポイントとなるのが「潮の流れ」だと話します。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「海底で作業するのに何が一番、大変かは潮流がすごい関係がある。潮流が速い、潮流が流れていれば、ほぼ作業が無理な状況になる」

 船の引き揚げ、サルベージをする場合も「飽和潜水士」の協力が必要だといいます。

 元海上自衛官・飽和潜水員:「真下の船が壊れないように前と後ろにつり上げるベルトを着けて、クレーンと接続するなど、飽和潜水であればそういう作業がある」

※「KAZU1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事