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元従業員「事故報告せず自ら海保に通報」業務上過失致死の疑いで運航会社を家宅捜索(2022年5月2日)
北海道・知床沖の観光船事故で、海上保安庁が業務上過失致死の疑いで、観光船の運航会社の事務所などに家宅捜索に入りました。連絡方法や事故当日の海上の天候判断など、会社の安全管理体制についても捜査するとみられます。
亡くなった乗客の一人、鈴木智也さん(22)。実家のある帯広市で2日、告別式が営まれました。会場には、智也さんの子どものころの写真などが飾られました。その中に1通の手紙があります。父親によりますと、事故があった日、智也さんは、交際していた女性にプロポーズする予定でした。この日を選んだのは、彼女の誕生日だったからです。
智也さんの手紙:『ずっとずっと大好きです。周りにどう思われたって2人で乗り越えていくって決めたし、環境が変っても俺が守るって、俺が大切にするって誓ったから、これからも一生一緒についてきてください。産まれてきてありがとう。愛しています。嫁になってくれますか?7月7日に返事待ってます』
7月7日は、智也さんの誕生日です。渡すはずの手紙は、ウトロ漁港に残されていた車の後部座席の下から見つかりました。女性の行方は、いまだわっていません。
2日の現場周辺の天候は、かなり荒れたものでした。海上保安庁の船など8隻は捜索に出ましたが、海が荒れたため、水中カメラによる捜索はできませんでした。空からの捜索でも、何も見つかっていません。
『KAZU1』は、カシュニの滝の沖、水深約120メートルの海底に沈んでいます。船首を南に向けた状態で、船体は右舷側に30度傾き、後部のスライドドアが開いているということです。今のところ、船内に行方不明者の姿は確認できていません。これまで見つかった14人の身元が判明し、死因は、全員が溺死だったことがわかりました。依然、12人の行方はわかっていません。
去年、『KAZU1』は、2回事故を起こしています。6月の事故の写真を見ると、方向舵を支えるアームの部分が大きく損傷しています。この写真を提供したのは、去年まで従業員だった男性で、豊田船長とは、今も付き合いがあり、事故当日の朝も、連絡を取り合っていたといいます。
元従業員:「本日から営業開始って言って。まだ後ほど船長さんたちが来るんで、主役はそろったみたいなメールが来た。頑張ってみたいな、拍手のスタンプを返した。(Q.それが最後)最後ですね」
6月の事故の傷は、造船会社で修理され、船舶検査で合格しています。ただ、もう一つ、5月に起きた漂流物との衝突事故に関してですが、このときの船長は、豊田氏ではありませんでした。この事故直後、豊田氏と元従業員の男性は連絡を取り合っていました。2人のやり取りです。
豊田船長:「GPSプロッター通り航路航行してたら、ぶっといロープに乗り上げて、急制動状態になって、客が前に飛んでケガした。(ロープを)巻きはしなかった」
元従業員:「やば・・・巻いていたら、とんでもない事に」
豊田船長:「知床は攻めるの禁止。この事案、海保もんじゃない?」
元従業員:「ヤバい・・・(通報しないと)報告義務違反。後から出る方が大問題」
豊田船長:「そうなんだよね。それ皆、懸念してる」
船舶は、海上で事故を起こした場合、原則、海上保安庁へ通報しなければなりません。ところが、元従業員の男性が海上保安庁に確認したところ、事故を把握していなかったので通報したといいます。
元従業員:「事故をして客がけがをしてしまった。そこに登録していない甲板員がいた。違法。それがばれると保安庁から指示が来るので。(Q.だから通報をしなかった)だと思う」
今後の捜索態勢について、対策本部会議を開いた国土交通省。斉藤国土交通大臣は、こう述べました。
斉藤国土交通大臣:「船体については、行方不明者の捜索、事故原因の究明、再発防止策の検討といった観点から、民間事業者の専門的な技術を活用しつつ、国交省の総力をあげて、引き上げに向けた準備を開始してください」
『KAZU1』の船体が沈む水深約120メートルは、通常の装備では、人間は潜れない深さです。そのため、飽和潜水という技術の活用も含め、捜索や事故原因の究明などを行う方針です。飽和潜水とは、ダイバーが潜水装置に入り、水圧に体を慣れさせてから、外に出て作業する方法で、国内でも限られた事業者しかできません。
※「1(ワン)」は正しくはローマ数字
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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