【独自】観光船社長の会見前 乗客家族に説明会“音声入手”・・・怒り、悲しみ、むなしさ【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年4月28日)
北海道の知床半島沖で23日に、観光船が消息を絶ってから4日目の27日、初めて運航会社の社長が会見を行い、謝罪をしました。この会見の前には、乗客の家族への説明会が開かれましたが、社長の説明に家族からは憤りの声が上がり、涙ながらに訴える場面も見られたということです。
■社長が土下座・・・荒れる可能性も“条件付き運航”
観光船が消息を絶って4日。運航会社の「知床遊覧船」・桂田精一社長が27日、初めて公の場に姿を現しました。
桂田社長:「皆さん、この度はお騒がせしまして、大変申し訳ございませんでした」
会見の冒頭、10秒間土下座をした桂田社長。席に戻り、謝罪の言葉を読み上げた後、再び・・・。
桂田社長:「この度は、大変申し訳ございませんでした」
その後、桂田社長の口から語られたのは、ずさんな安全管理体制の実態でした。
桂田社長:「豊田氏から午後の天気が荒れる可能性があるが、あす10時からのクルーズは出航可能と報告がありました。この時点で、ウトロでは風と波も強くなかったので、海が荒れるようであれば、引き返す条件付き運航ということを豊田氏と打ち合わせ、当時の出航を決定致しました」「(Q.船長が「午後は荒れる可能性がある」と言っていて、それに対して「本当に大丈夫か?」と疑問に思わなかった?)その時は、思いませんでした」
用意した資料に目を落とし、終始うつむきながら、説明する桂田社長。出航基準について問われると、次のように答えました。
桂田社長:「(Q.通常、波が何メートル以上、風速何メートル以上であれば欠航という規定があると思いますが、どのような規定があったか?)波が1メートル以上で欠航、風速8メートル以上で欠航、視界が300メートル以上ないと出航できないという。数字で言うと、そのようになります」「(Q.波浪注意報が出ているにもかかわらず、出航をそのまま止めなかった?)現実に、ウトロ港、あと車で少し走ったところも、海も、平穏な波だったからです。風もなく」「(Q.運航基準を超える可能性があると、認識していたということでよろしいか?)そうですね。基準が超える可能性は十分あると。その前に帰ってくるのが、条件付き運転です」
■「船長判断」「要望」“責任転嫁”発言も
天候が荒れたら引き返すという条件付きで、出航することを桂田社長の判断で決めた一方で・・・。
桂田社長:「自然現象なので、天気図が常に正確に当たるわけではないんですよ。ただ細心の注意をもって、運航しなきゃいけないというのはもっともで。それは、船長は重々承知。皆さん命がかかってますので、運航してるという認識をしておりました」「(Q.これまでも通常、波浪注意報が出ていても、出港することはよくありえた?)よくというか、条件運行の時は、そういうこともありました。天気が悪くなる場合は、それを船長判断で、戻ってきて頂くようなことを長年やっております」
これまでも船長判断でやってきたと、責任を転嫁するような発言もありました。さらに・・・。
桂田社長:「お客様も、一番このような(知床という)先端まで来て、できればちょっとでも走ってほしいという要望がすごくあります。ですので、体感して頂ければ、揺れて『帰ってくれ』みたいな気持ちになって、納得して頂く方法をなるべく取っていました」「(Q.あの日の出航判断は、改めてどのように考える?)今となれば、このような事故を起こしてしまったことですので、判断的には間違ったなと感じております」
出航判断について、誤りを認めた桂田社長。危機管理に対して、どのような認識だったか問われると、次のように答えました。
桂田社長:「(Q.条件付き運航を乱用したことによって、安全のチェックが疎かになったとか、危機感が薄くなったということは?)そうですね、そう取るとそう思います。それが慣れてきて、安全管理が疎かに、感覚的に緩むような形もあったかもしれません」
■“説明会音声入手”家族の憤り 涙ながらに・・・
27日午後1時すぎ、家族が乗っている大型バスがホテルに到着。午後1時半から、社長による家族への説明会が行なわれます。
番組は、その音声を独自入手しました。
そこに収められていたのは、乗客家族の怒り、悲しみ。そして、むなしさでした。
桂田社長:「亡くなられた被害者の方々のご家族。捜索中の被害者の方々のご家族に対し、大変なご負担を掛けております」
出席した家族によりますと、桂田社長は下を見ながら、用意してきた書面のコメントを読み上げたといいます。
桂田社長:「当社として、捜索中の被害者の方々の捜査のために、でき得る限り尽くしていく所存でございます。また、当社として・・・」
被害者家族:「それ紙に書いてるのか。こっち見て言え」
桂田社長:「今後、被害者の方々の事故の原因の究明に向けて、協力を全面的にしていきたいと思います。逃げ隠れは致しませんので。申し訳ございませんでした」
被害者家族:「何で今なんだよ。何でだ!」
桂田社長:「事故が起きてから」
被害者家族:「遅いだろ!」
桂田社長:「申し訳ございません」
被害者家族:「どういう気持ちでいたんだ」
桂田社長:「あの、各ご家族の対応や、チケットの手配とか宿の手配。あと、国の監査ですね」
被害者家族:「そんなの言い訳だろ」
桂田社長:「はい、言い訳です」
被害者家族:「言い訳なんて冗談、聞きたくないです」
桂田社長:「はい、申し訳ございません」
被害者家族:「何かにつけて(言葉が)軽いね。何日経ってると思ってるんだよ」
■「海の怖さ分かっている」社長説明に家族憤り
説明会には、およそ60人の乗客家族らが出席しました。
なぜ、荒れる予報で出航したのか。事故当日、午前中は穏やかだった天候が、午後になると荒れる予報が出ていました。さらに・・・。
別の運航会社の男性:「『(出航は)やめた方がいいぞ』と言いました。(船長は)『はい』と言ったけど、そのまま・・・」
被害者家族:「漁船だって、そのために午前中で待機してるじゃないですか。そういう意見を聞かずに、あなたは船を出しているんですよ。船長とあなたが、そういう判断して、船を出しているんでしょうが。あなた達も生活がかかってるかもしれないけど、プロの漁師さんが出ない時に、なぜ船が出せるんですか!そういう認識の甘さが、今回の事故を起こしてるんですよ。そういう面を考えて下さい、あなたは。漁師が船が出せないという日に、お客さんの命を預かった船を出すということは、どういうことなんですか!どういう説明ができますか?」
桂田社長:「私の責任です。ただ、海については私のじいさんも、その前も漁師ですし、船で亡くなっております。海の怖さは重々知っているつもりです」
被害者家族:「何が分かってるんだよ。そんなの漁師が出るなって言ってるのに、出すばかはいないよ!」
■事故から4日・・・不十分な回答 憤り隠せぬ家族
乗客家族からの厳しい指摘に、しどろもどろになる社長。
被害者家族:「天候の確認は『波が何メートル』で『風速が何メートル』で。運行状況の・・・例えば、3時間のクルーズですよね?」
桂田社長:「はい」
被害者家族:「予測ができたはずですよね?そこの部分のデータはあるんですか?」
桂田社長:「データは、その、私がその」
被害者家族:「それをなぜ、開示して頂けないんですか!?」
桂田社長:「はい」
被害者家族:「それをまず、開示して下さい」
被害者家族:「(午後)1時に港に戻ってこなければいけないのに、(午後)1時13分まで連絡がなかったのに、おかしいなとは思わないんですか?」
被害者家族:「その管理者は(船と)連絡とってるんですか?その間は・・・」
桂田社長:「確認します」
被害者家族:「いや、それもう(既に)確認するべきことじゃないんですか?」
被害者家族:「最初の説明会から、何の進展も無いですよね。ずっとメモを取っているだけですよね。自分の家族が海に沈んで、寒い思いをしているのに、ずっとメモだけとって、ろくな資料も出せずに・・・。納得できると思ってるんですか?」
事故から4日が経つなかで、桂田社長の不十分な回答に、憤りを隠せない様子の家族たち。そんななか、突然・・・。
被害者家族:「笑ってませんか!?」
桂田社長:「いや、そんなことないです」
■「笑うな」家族に説明中・・・社長が笑顔?
出席者からは、桂田社長が一瞬、笑っているように見えたといい、激しい口調で詰め寄る場面もあります。
被害者家族:「何か、さっきから笑ってるように聞こえるんですけど。さっき、紙かなんか見せてる時ありましたよね、笑ってるように!ばかにしてるように!思えたんですけど!」
桂田社長:「すみません。申し訳ございません」
また、別の場面でも・・・。
桂田社長:「乗船名簿を見てですね、どちらの方が、あの。えーと電話のやり取りをして・・・」
被害者家族:「こっちは来てねえぞ、なんも」
桂田社長:「はい」
被害者家族:「笑ってんじゃねえ!」
被害者家族:「笑ってんじゃねえよ、コイツ」
被害者家族:「緊張感がないっていうか、ねえ。なんなんだろう。そうやっていられるの。不思議でたまらない・・・」
桂田社長は「笑うな」と指摘を受けた時、うなづきながら下を向いたといいます。
その後、出席者からは犠牲となった家族。いまだ安否が分からない家族への思いが語られました。
被害者家族:「どこまで子どもたち皆、楽しんでいたのか。どこから恐怖を何時間味わったのか、やっぱりそこは知りたいです!」
■家族の悲痛な叫び・・・「皆、人生、生きてきた」
被害者家族:「両親、孫が生まれてすぐだったんですよ。初孫で、すごくかわいがって」
被害者家族:「謝りましたか!我が息子は、まだ海の中。冷たい海の中に、まだおるんですよ!ただここでね、頭を下げて『すみませんでした』じゃ、すまないんです!」
被害者家族:「ご遺体は、ご自身のほうで、皆さん確認されましたか。どんな人が死んだか。亡くなったか。知らないですか」
桂田社長:「それはあの、直接は見ていないです」
被害者家族:「見た方がいいですよ」
被害者家族:「皆、人生、生きてきたんですよ。家族を待っていたんですよ」
1時間の予定だった説明会は、2時間以上に及び、その後の記者会見同様に、桂田社長は、土下座して、謝罪をしたといいます。
■無線・衛星電話使えず・・・ずさんな“安全管理”
27日運航会社の事務所前には、国土交通省の運輸安全委員会の姿がありました。屋上の無線アンテナをカメラで撮影していました。
桂田社長:「午前8時30分、他社の船長から、当社の無線のアンテナが、屋根から外れている報告があり、直ぐに私は9時10分くらいに、業者に修理を依頼致しました」
事故当日、出航前に無線アンテナが破損していることが判明したと話した桂田社長。さらに、無線アンテナが破損していたことは、船を操縦する豊田船長には知らされていませんでした。
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