「封鎖長期化で食糧不足」上海の現地記者と北京の記者に聞く“ゼロコロナ政策”(2022年4月18日)

「封鎖長期化で食糧不足」上海の現地記者と北京の記者に聞く“ゼロコロナ政策”(2022年4月18日)

「封鎖長期化で食糧不足」上海の現地記者と北京の記者に聞く“ゼロコロナ政策”(2022年4月18日)

中国・上海では、新型コロナウイルス拡大に伴い、先月28日、ロックダウンに踏み切りました。当初は、数日で解除されると思われていましたが、感染者数に改善は見られず、延長に延長を重ね、いつになったら元に戻るのか、そのめどは立っていません。

◆ロックダウンの対象となっている上海の自宅から高橋大作上海支局長の報告です。

自宅から出ることが許されている瞬間は、PCR検査のときだけです。食料を確保するのも一苦労という状況です。政府からの支給は3回あり、コメと野菜が支給されました。それでも先週半ば、食料が心もとないなという時期があり、1日2食の生活をしていました。肉が全くなかったので、野菜のみの炒め物で凌いでいました。おととい、ようやく冷凍食品、フルーツ、卵、そして肉が手に入り、ほっとしている状況です。

(Q.配給では足りないなかで、食料はどのように手に入れているのでしょうか)
実は、“団体購入”という新しい買い物の仕方が生まれました。販売店は、ほとんど個人への販売をしていません。売り方は、肉1キロ×50セット、野菜1キロ×50セットという、非常に大きな単位で販売しています。ロックダウンを機に、マンションの住人が、全員が加入するグループチャットをSNS上に作りました。代表者が「肉が欲しい人」とSNSで呼び掛けます。時間内に50人が集まれば購入が可能ですが、時間内に集まらなければ購入はできません。私自身、こういったグループチャットについていかないと、食料を手に入れることはできませんので、一日中、スマートフォンに張り付いていないといけないという状況です。

(Q.上海市民は、この事態をどう受け止めているのでしょうか)
電話やSNSで取材してみると「飲料水がなくなった」「赤ん坊にはかせるオムツが足りない」など、この大都会の上海で、あり得ない悩みを抱えている方が大勢いるという状況です。私自身、ロックダウンを体験し、空腹感と共に腹の底からわかったことがあります。中国は、14億人が暮らす大きな国です。上海市民2500万人の自由を大幅に制限したとしても、14億人の“安全と安心”を勝ち取る。こういったことが、この国のあり方なのだと感じています。

◆北京にいる千々岩森生中国総局長の報告です。

(Q.習近平国家主席は、この感染拡大をどうみているのでしょうか)
焦りは、あると思います。市民生活、経済にも影響が出ています。もう一つ、政権に重要なのが、上海のトップ・李強書記は、習主席の側近です。この人が視察したとき、市民から直接的な抗議を受けました。次の首相、中国のナンバー2といわれている超大物ですが、もしかしたら今後の人事にも影響が出る状況になってきています。ただ、色々な問題があるのはわかっていますが、“ゼロコロナ”はやめれられない。「ゼロコロナで抑え込んできた中国共産党は素晴らしいでしょう」というアピールをこの2年間続けて来たため、ジレンマを抱えてしまっています。

もう一つ、取材していて興味深かったのが、習主席が出席した人民大会堂ですが、習主席が座る席だけでなく、机もマイクも入念に消毒されていました。北京にまで緊張感が、いま、及んでいるという形です。

(Q.今年の秋には5年に一度の党大会が開かれます。現在の感染拡大は、憲法改正などまでして3期目続投が既定路線となっていた習主席にとって、揺らぎが出るのではないでしょうか)
中国共産党の人たちと意見交換しますが、何か政権が変わるとか、ザワついた感じは受けません。肌感覚では、3期目に入ると思います。99%確実だというのが、率直な思いです。

武漢のときも同じでしたが、地方で感染が拡大すると、地方が、全部、責任を取らされる。そして、中央政府には責任が及ばない形にして、体制を守ってきたのが、コロナ禍の中国の2年間でした。場合によっては、最後は上海トップを「泣いて馬謖を斬る」ということもあるかもしれませんが、責任は中央には波及しないやり方になると思います。もし、北京が、上海と同じように全面的なロックダウンに陥ったら、初めて政権が揺らぎ始めると思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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