【独自】“150人追放”FSB元諜報員が語る異変(2022年4月17日)

【独自】“150人追放”FSB元諜報員が語る異変(2022年4月17日)

【独自】“150人追放”FSB元諜報員が語る異変(2022年4月17日)

時折、笑顔を見せながら、私たちの単独取材に答える男性。
彼はロシアの情報機関FSBの元諜報員です。プーチン大統領が職員150人を追放したと報じられたFSB。
内部で今、何が起きているのでしょうか?

▽独自 FSB元諜報員語る“内部の異変”
(FSBの元諜報員 ミハイル・トレパシキン氏)「私はソ連のKGBだった時からプーチン大統領のことを見てきました。KGBを継いだFSBは、今でもロシア社会に大きな影響力を持っています。プーチンはそれをすべて知った上でFSBを自分の配下に置き、友人たちとともに自分の個人的な目的のために利用しているのです。」
旧ソ連の諜報機関KGBそして、FSB=ロシア連邦保安局の諜報員だったミハイル・トレパシキン氏。政権内部やFSBの内情を詳しく知る人物です。

11日、プーチン大統領に虚偽の報告をしたとしてFSBの職員150人が追放されたと報じられました。一体、何が起きているのでしょうか?
(ミハイル・トレパシキン氏)「不確かな情報を提供したことで(FSBの職員が)追放されたというのは本当です。彼は自分にとって心地よい情報が好きなのです。そのため(FSBは)彼をいら立たせないような情報を提供していたのです。」
プーチン大統領は側近をKGBやFSBの出身者で固めています。FSBの影響力は「軍」よりも上とされ政治や企業など様々なところに及んでいるといいます。
1998年、FSB長官の座についたプーチン氏。虚偽報告が起きる原因を作ったのはプーチン氏自身だと指摘します。
(ミハイル・トレパシキン氏)「90年代後半からそのようなこと(虚偽報告)が始まったと思います。当時FSBには多くの別の組織から職員が入ってくるようになりました。つまりFSBの組織の中で下から出世したのではない人たちです。プーチンは自分に近い人間を配置し、国のためにきちんと働く職員は出ていきました。」

そしてFSBには不正や腐敗が蔓延。トレパシキン氏はその実態を、当時のエリツィン大統領に告発したといいます。
(ミハイル・トレパシキン氏)「わたしは、組織ぐるみの不正と隠蔽、偽情報などについてエリツィン大統領に手紙を書きました。しかし適切な措置は講じられませんでした。残念ながら残ったのは、不確かな情報を提供したり、状況を誇張したりする職員でした。そして、それが現在にも影響を与えています」

▽“過去の爆破事件”に侵攻読み解くカギ?
FSBを辞め、弁護士としてプーチン政権の不正を追及してきたトレパシキン氏。今回のウクライナ侵攻を読み解くカギは、90年代後半に起きた“ある事件”にあると話します。それが・・・
(1999年 モスクワ 武隈喜一 記者)「アパートの真ん中が高さ30m幅30mに渡って完全に崩れ落ちています。」
1999年に起きたアパート連続爆破事件。モスクワなど3都市で発生し住民ら300人以上が死亡、1700人以上が負傷しました。
当時、首相になったばかりのプーチン氏は、チェチェン独立派のテロだと断定。
「テロリストはどこまでも追いつめます。便所にいたら便所でぶちのめします」
「対テロ戦争」の名のもと、すぐさま、チェチェンへと侵攻したのです。
こうしたプーチン氏の強硬姿勢は、国民から絶大な支持を集め、翌年、大統領に就任します。しかし・・・
(ミハイル・トレパシキン氏)「アパート爆破事件はFSBの秘密諜報員によって実施されました。というのも、すべての痕跡が彼らにつながるものだったからです。指示を出せるのはただ一人、リーダーだけです。彼がすべてをコントロールしているからです。」
アパート爆破事件は、プーチン氏の指示による“FSBの自作自演”だというのです。これが事実なら、チェチェン侵攻の口実作りのために多くの国民が殺害されたことになります。
当時、遺族側の弁護士としてこの事件を調査していたトレパシキン氏によれば・・・
不発に終わった爆弾からFSBが厳しく管理していたはずの軍用爆薬とみられる「白い粉」が発見されています。すると当時のFSB長官は突然、「あれは訓練で、爆薬ではなく砂糖だった」と言い出したのです。現在でもこれがロシア政府の公式見解となっています。

▽関係者“不審死”も・・・爆破事件めぐる懸念
(ミハイル・トレパシキン氏)「調査しようとした人たちのほとんどがこの世を去りました。調べようとすると攻撃されたり 殺されたり、毒を盛られるなどして消されてしまいます。」
(FSBの元諜報員 アレクサンドル・リトビネンコ氏)「ロシアのFSBがアパート爆破を画策したという証拠があります」
FSBの犯行だと告発したリトビネンコ氏は、亡命先のロンドンで毒を盛られて死亡。
さらに野党議員のシェコチーヒン氏やユシェンコフ氏、ジャーナリストのポリトコフスカヤ氏など真相を追っていた人物が次々と不審な死を遂げていったのです。
トレパシキン氏も機密情報の漏洩や武器の不法所持など身に覚えのない罪で逮捕、収監されました。

(ロシア国営放送)「民家の敷地で炎が上がっています。明らかに狙った攻撃です。
ロシアは15日、ウクライナ軍のヘリによる攻撃で、妊婦を含む8人がケガをしたと主張しましたが、ウクライナ政府は、国内で反ウクライナ感情を高めるための“ロシアの自作自演”だとして否定しました。
アメリカは首都モスクワなどの主要都市で多くの人が集まる場所が攻撃対象になる可能性を警告しています。

▽プーチン氏“原点”はチェチェン侵攻?
トレパシキン氏は、プーチン大統領の原点にはチェチェン侵攻の成功があり、ウクライナでも同じことを実現しようとしたとみています。
(ミハイル・トレパシキン氏)「ウクライナをチェチェンと同様にロシアの領土に出来ると思っていたのです。現在、ロシア連邦に属するチェチェン共和国のカディロフ首長は、プーチン大統領の忠実な配下として、激戦が続くマリウポリに自身の部隊を送り込んでいます。

▽プーチン政権“クーデター”の可能性は?
150人に上るFSB職員を追放したプーチン大統領。FSBによるクーデターもささやかれていますが、トレパシキン氏はクーデターは起きないと話します。
(ミハイル・トレパシキン氏)
「クーデターの要因は見当たりません。要因というよりは、むしろクーデターを行う力が見当たりません。それは周囲に忠実な者だけを置いているからです下々に至るまで、自分の居場所を失うことを恐れています。一度失えば(金や権力など)二度と手にいれることができないことを知っているから、プーチンを離れようとしないのです。」

4月17日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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