新たなCO2吸収源“海の森”海洋植物に秘められた力【SDGs】(2022年4月13日)
『未来をここからプロジェクト』。13日から3日間、持続可能な社会を目指すSDGs企画をお届けします。初日は“海の豊かさを守ろう”です。
日本を囲む広大な海。この水中に脱炭素の切り札として注目されているのが、海洋植物です。
港湾空港技術研究所・桑江朝比呂氏:「気候変動、特にCO2吸収の対策の一つだと思っているので、今回、調査して、科学的裏付けが 第一歩になって行けば」
こう語るのは、長年研究を続ける桑江朝比呂さん。実は、海洋植物は光合成によって多くのCO2を吸収するとされているのですが、詳細は、できていない部分も多いといいます。
そこで、今回、大規模調査を実施。まずは、海に潜り、生息する海洋植物の種類などを調べていきます。次は、海洋植物の生息範囲を調べるため、ドローンで空から確認していきます。さらに、海水にCO2が大気と比べてどれほど入っているのかを測ります。こうして得られたデータを解析していきます。ドローンで撮影した画像などと照らし合わせることで、今回、水を採取した地点では、海洋植物が、日中1ヘクタールあたり1トンものCO2を吸収していることがわかりました。
一日あたりのデータがまだそろっていないため、単純に比較することは難しいものの、森林と比べても高い値です。
港湾空港技術研究所・桑江朝比呂氏:「海水に浸かっている場所だと、1回、泥の中に入った炭素が何百年、何千年と分解されずにとどまっているので、森林の時間よりもはるかに長く炭素をとどめておく力を持っている」
地上の植物は枯れると、炭素は再び、大気に放出され、酸素と結合することでCO2に戻ってしまいます。一方、海洋植物は枯れても、一部は、海底にとどまり続けるため、より長期にわたってCO2を吸収し続けることになるといいます。
港湾空港技術研究所・桑江朝比呂氏:「カーボンニュートラル実現には、少なくても現状の10倍、50倍は、海を活用して吸収量を増やさなければいけない。とにかく増やしていくしかない」
脱炭素社会の切り札として、可能性が明らかになった海洋植物。しかし、気候変動の影響などにより、年々、減少しています。調査が行われた小浜島沖でも海水温の上昇などにより、多くの海洋植物が消失、いわゆる“磯焼け”の状態になっていることもわかりました。
港湾空港技術研究所・桑江朝比呂氏:「磯焼けが深刻だからあきらめるのではなく、藻場(海洋植物の生息域)が残っているところもあるし、磯焼けが激しいところでも回復している場所もある。しっかり学んで、回復させなければいけないし、良い場所であれば、保全していくことが大事。カーボンニュートラルに向けて、どういう街を作るか、選択の岐路に立っている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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