ロシア 5月9日に合わせ“勝利宣言”か・・・生物化学兵器使用の可能性は?専門家に聞く(2022年4月7日)

ロシア 5月9日に合わせ“勝利宣言”か・・・生物化学兵器使用の可能性は?専門家に聞く(2022年4月7日)

ロシア 5月9日に合わせ“勝利宣言”か・・・生物化学兵器使用の可能性は?専門家に聞く(2022年4月7日)

ロシアでは毎年5月9日、旧ソ連が第二次世界大戦でナチスドイツに勝利したことを祝う軍事パレードが行われます。プーチン大統領はこの日までに、侵攻を続けるウクライナでの勝利を宣言するとの見方が出ています。

◆防衛省防衛研究所の兵頭慎治さんに聞きます。

(Q.5月9日の戦勝記念日は、ロシアにとってどういう意味を持ちますか)

兵頭慎治さん:「ロシアにとって年に1度の愛国心を高めながら、国威発揚を図る重要なイベントです。ロシアは今年の5月9日も軍事パレードをやると予告していて、例年通り力の入った行事を行うと思います。第二次世界大戦でナチスドイツをソ連が打ち破ったことと、今のウクライナのゼレンスキー政権をナチスドイツになぞらえたことを重ねる形で、プーチン大統領は『ロシアが今直面している脅威から解放された』と勝利宣言を行うだろうとみられます。

戦闘が続いているなか、軍事パレードはどのような形になるのか、プーチン大統領がどのような演説を行うかに注目したいと思います」

(Q.5月9日のプーチン大統領のスピーチはどうなりそうですか)

兵頭慎治さん:「東部2州の完全制圧を最低限の成果として、ロシア国内にアピールしたいんだろうと思います。ただ、5月9日までに東部2州の完全制圧ができるかどうかが微妙な状況になっています。ドネツク州はまだ半分少ししか制圧できていませんし、2州を制圧するためにはマリウポリを完全に抑える必要があります。マリウポリに関して、以前は、かなり早い段階でロシア軍が陥落させるのではないかという見方が優勢でしたが、欧米諸国の見方も修正されてきています。

5月9日までに東部2州の制圧ができないと、プーチン大統領のスピーチは難しいものにならざるを得ません。そうならないためにも、手段を選ばずに攻撃を続けるのではないかと予想しています」

ロシア国防省は、国連本部の会合で「アメリカがウクライナで生物兵器の開発を進めている」と発言しました。また、中国外務省の調査をもとに「アメリカが国外で336の生物兵器の研究所を管理していて、中国とロシア国境近くに60の施設がある」と主張しました。

(Q.この発言の狙いはなんですか)
兵頭慎治さん:「欧米諸国は、ロシアが生物化学兵器の使用に踏み切るのではないかと懸念し続けていますが、ロシア側が生物兵器に言及し始めている点が気になるところです。欧米諸国の見方からすると、いわゆる偽旗作戦で、ウクライナ側が生物兵器の開発をしていて、使用に踏み切ったと言ったうえで、ロシアが使用するのではないかという懸念が高まっています。

実際に3月中旬、化学兵器を取り扱う専門部隊が東部2州に投入されたというイギリスの情報筋の報道もありました。今後、東部2州で攻防戦が続くなか、ロシア側の戦況が悪化した時に、生物科学兵器の使用に踏み切る可能性があると予想されます」

(Q.生物化学兵器は条約で保有が禁じられていますが、ロシアは実際に保有しているのでしょうか)

兵頭慎治さん:「表向きは保有していないことになっていますが、生物化学兵器を取り扱う専門部隊はロシアに存在しています。5月9日が近付くにつれて、東部2州の制圧がままならないなか、ロシア側が追い詰められる形になった場合、ウクライナ軍の戦意喪失を図るために、生物化学兵器の使用に踏み切る可能性があります」

(Q.そういう事態に進まないために、今できることはなんですか)

兵頭慎治さん:「ヨーロッパは天然ガスの輸入禁止という次の切り札を持っていますが、これを行使してロシアの生物化学兵器使用を抑止できるかというと、必ずしもそうとは言えません。5月9日の勝利宣言に向けて、ロシアは何のためらいもなく実行せざるを得ない状況があります。欧米諸国が圧力をかけて生物化学兵器の使用を止めることは難しいのではないかと思います。プーチン大統領自身もこの戦いにおいて、自らの権力の存続をかけて行っていくと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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