経済効果4兆円超!?熊本“台湾半導体工場バブル”…地価高騰の“影” 地元密着店は閉店【もっと知りたい!】(2023年10月18日)

経済効果4兆円超!?熊本“台湾半導体工場バブル”…地価高騰の“影” 地元密着店は閉店【もっと知りたい!】(2023年10月18日)

経済効果4兆円超!?熊本“台湾半導体工場バブル”…地価高騰の“影” 地元密着店は閉店【もっと知りたい!】(2023年10月18日)

 台湾の世界的な半導体メーカー「TSMC」が熊本に進出し、巨大工場の工事が急ピッチで進んでいます。この影響で、周辺の地価は急上昇。半導体バブルに沸く現場を取材しました。

■経済波及効果 “10年で4兆3000億円”

 インド料理店がある熊本県大津町は今年、地価が32.4%も上昇。公示地価の調査では全国で上昇率が1位になりました。

 名物はインド出身のシェフが、独自にブレンドしたスパイスが効いたカレーです。お昼時になると駐車場は満車。店内は家族連れなどでにぎわいます。

 インド料理店スリャ アヒイル・ブパトオーナー:「(周辺に)店も増えているし、ホテルも増えている、建築も。“TSMC”できるから、(地価)上がるでしょ。もうちょっと。これからも」

 地価が上昇している理由は、台湾の世界的半導体メーカー「TSMC」の工場進出です。

 工場の投資額はなんと、およそ1兆円。熊本での経済波及効果は10年で4兆3000億円にも上るという試算もあり、地元では大きな変化を生んでいます。

■工場周辺“家だらけ”も…賃貸「足りない」

 TSMCの工場がある菊陽町やその周辺では、青やグレーのシートで覆われたマンションがあちらこちらに。TSMCで働く人たちが次々に移り住み、条件の良い物件はすぐに埋まってしまいます。

 不動産業界ではマンション用地の獲得競争が激化しています。

 コスギ不動産HD 小杉竜三取締役:「約1年前に仕入れた土地になります。この辺りに2、3カ所仕入れています」

 周辺の取引価格は、かつて1坪10万円程度だったものが、40万円程度となり数年でおよそ4倍にまで上昇。

 小杉取締役:「熊本市内よりも(地価が)高い。ちょうど、ここからTSMCの工場がちょっと見えたんですけど…」

 新築マンションの建設ラッシュで、町の風景は激変しています。

 小杉取締役:「あー…見えない。建築ラッシュが続いているからですね。まだまだマンションの建築が進んでいくと思う」

 コスギ不動産HDがTSMC周辺で管理している賃貸物件は、すでに98%が埋まっていて全く足りない状態だといいます。

 地元の人はこう話します。

 菊陽町民:「自宅の周囲が“家だらけ”になった。3軒くらいしかなかったんだけど、近所が」「(Q.今何軒くらいになった?)今いっぱいありすぎて、数えきれないよ」「今の中学3年生は1クラスですけど、1年生は4クラス。若い方、だいぶ増えてますね」

 地元に住む子ども:「(Q.お友達増えてどう?)うれしい」

■「期待しかない」人気ラーメン店も引っ越し

 人口の急増にビジネスチャンスを見いだしたのが、熊本ラーメンの人気店「天外天」。豚骨と鶏ガラであっさりと仕上げた、飲みの後の“シメのラーメン”として親しまれてきた店です。

 熊本市内で30年以上営業してきた本店を閉めて、8月に菊陽町に引っ越してきました。

 ラーメン天外天 小田圭太郎代表取締役:「これはチャンスだと。工場もできて、昼間の客もどんどん増えると思うので、期待しかない」

■“TSMCバブル”バイト時給「破格待遇」

 さらに、地元の求人にも信じられない変化が起きています。8月に掲載されたTSMC工場の清掃アルバイトの求人広告です。時給は1400円。別途交通費支給という地元では破格の待遇でした。

 求人会社 あつまるHD 坂本光治熊本支店長:「熊本市中心部でも時給1000円くらい。時給1400円は、破格の金額ではないかと思う」

 TSMCに関連した警備や周辺ホテルのフロントスタッフなどの求人も増加。人材の奪い合いで、県全体の時給も上がっていると感じるといいます。

 坂本熊本支店長:「単純にいうと“TSMCバブル”。バブルで終わらせないように、地元の求人会社として、人材マッチングの仕事をしていきたい」

■バブルの影で…閉店決意 創業23年青果店

 TSMCバブルで空前の好景気に沸く一方、大きな決断をした夫婦がいます。

 ダイコン1本42円、タマネギが3個で108円。新鮮な野菜を格安で購入でき、地元の人に愛されてきた青果店「フレッシュパーク」。

 常連客:「この子が小さい時からだから10年以上(通っている)。さみしさもありますし、一番は困ったなと。もうちょっと続いててほしかった」

 社長・森田賢一さんと、妻・友花さん。23年間ほとんど休みなく営業を続けてきましたが、周辺の土地が高騰。将来的に家賃が高くなることを予想し、先月末で店を閉める決断をしました。

 営業最終日、なじみの客が続々とやってきました。

 常連客:「毎週のように来店させてもらって、ファンだったので少し悲しいですけど、どこかで再会できることを祈っています」

 常連客のねぎらいに対して、社長はお礼に激安タイムセールをいくつも企画。

 森田社長:「ただいまからキャベツが1玉39円になります。サンキュー(39)価格です!」

 そんななか、花束を持った男性が現れました。

 長男 帝さん(22):「お疲れさまでした。恥ずかしいな…」

 森田夫妻の長男・帝さんです。

 帝さん:「自分が物心つくころから、(両親は)忙しいと働いていたので、コロナの大変な時期も自分は知っているので、長い間お疲れさまでしたという気持ちを伝えたい」

 店は午後6時に閉店しました。

 森田社長:「終わりました。本当にやりきった感と、感謝でいっぱいです」

 地価高騰によるバブルの一方で、長年地元に愛された店が閉店となる現実…。

 森田社長:「今後TSMC第2工場の計画など、色んなことが言われていますが、地域のコミュニティーが失われるなど、こういった事案は増えてきますので、その辺りも踏まえて誘致して頂けたらと切に願います」

(「グッド!モーニング」2023年10月18日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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