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「僕は命のスペシャリスト、必要とされて行かない理由はない」国境なき医師団ウクライナへ初派遣の日本人医師
過酷を極めるウクライナの医療現場を支援するため、日本から現地に派遣された医師がJNNの取材に応じました。「扉一枚向こう側に戦争がある」という現場で、日本人医師が見たものとは?
ロシアによる特に激しい攻撃が続くマリウポリから逃げてきたという男性。足を痛めていました。
マリウポリから逃げてきた男性
「1週間、地下シェルターにいて、靴が脱げなかったんです」
国境なき医師団 救命救急医 門馬秀介医師
「水で洗ってきれいにしてください」
門馬秀介医師(48)。「国境なき医師団」のスタッフとして、先月19日から激戦が続くウクライナ東部へ入りました。「ヨーロッパで最も恐ろしい街」と言われるマリウポリなど無差別攻撃が続く地域に隣接するドニプロに拠点をおいて医療支援に当たりました。
マリウポリにいる国境なき医師団のスタッフ
「1週間以上もしかしたら10日間、飲料水も薬もない状態です」
マリウポリにいるスタッフのなかには、連絡が途絶えた人もいるといいます。
国境なき医師団 救命救急医 門馬秀介医師
「今、だんだんいろんな団体が入っているが、そこ(ドニプロ)から先には入れていない。戦地に行って最前線で仕事をして、一人でも救うことが中々しづらい」
こちらは、原発をロシア軍が攻撃した街、「ザポリージャ」。
トレーニングの様子
「担架を!車いすはどこにある?」
いつ激しい戦闘に巻き込まれてもおかしくないこの街では、現地の医療スタッフに対し、“命の選別”をしなければならないケースを想定した訓練を行ったといいます。
国境なき医師団 救命救急医 門馬秀介医師
「何をしても亡くなってしまうという方は手をほどこせないが、治療が必要な重傷の人をいち早く100人200人の中から見つけて治療する。防げる死を防ぐというのが一番の目的」
これまでに、イスラエル攻撃下のパレスチナ自治区ガザなど、世界の過酷な紛争地や災害現場で医療支援に当たってきた門馬医師。今回のウクライナで医療従事者の置かれた状況の厳しさをこう語ります。
国境なき医師団 救命救急医 門馬秀介医師
「患者さんだけではなく医療スタッフもいて、ぎりぎりのところで暮らしていて、感情的にかなりきついところにある。淡々と仕事をしていても泣いちゃうスタッフがいる。扉一枚向こう側には戦争。逃げられた人は『自分が逃げられてよかった』とは思っていなくて、残った人の心配もある。家族を残してきたとかの不安や心配が、僕たちに読み切れないものをたくさん抱えている」
門馬医師には日本に残してきた妻と生後5か月の息子がいます。なぜ、自ら危険な現場に赴くのでしょうか。
国境なき医師団の救命救急医 門馬秀介医師
「僕は命のスペシャリストだと思っていて、役に立つことがあるなら、僕が行かない理由はない。何が正しいのか、何が正しくないのか、全くわからないが、命が失われていることは間違いなかった。彼らの戦争というものは、まだまだ目の前にありますから、達成感を感じたことは一回もない」
いったん任務を終え、まもなく帰国する予定ですが、必要とされればいつでもまた世界中の紛争地で医療支援に当たる覚悟だといいます。
(05日17:39)
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