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懸念示す自治体も・・・『ふるさと納税』年末で駆け込み(2021年12月23日)
今年もあとわずかとなり、駆け込み需要が高まっている『ふるさと納税』。ふるさと納税の返礼品は、これまでイクラやカニをはじめ、“モノ”に注目されていましたが、ラジオ番組に自分のコーナーを作ってレギュラー出演できるプランや、無人島を1日貸し切ることができる宿泊券もあります。今年はこうした“体験型”の返礼品がもらえる寄付額が、去年の1.8倍に増えているそうです。
ふるさと納税の寄付総額は、昨年度、過去最大を記録。10年で65倍に増えました。大手通販サイトを通して寄付すれば、ポイントが還元されるようになったこともブームの一因とされています。
千葉県南房総市にある会社では、海の幸を生かした返礼品の発送がピークを迎えています。市内にある水産加工会社では、飲食店や地元の土産物店に卸す魚の加工を行っていますが、新型コロナウイルスの影響で飲食店などの需要が回復せず、今年の売り上げは、例年の半分ほどだといいます。
そこで力を入れているのが、ふるさと納税です。苦しい状況を呼び掛けたところ、申し込みが増えたといいます。人気は、地元でとれたアジのフライです。
ハクダイ・大川浩司社長:「『頑張ってね』という声が聞こえるのは、ありがたいなと思っているし、できれば、もっともっとふるさと納税を頑張ってみたい」
ただ、ふるさと納税制度に、懸念を示している自治体もあります。東京都世田谷区では、区民が別の自治体にふるさと納税したことで、今年度の区の税収が70億円減りました。
世田谷区『ふるさと納税』担当・高井浩幸課長:「区の財政全体へのダメージは、とても大きい。今回、70億円が流出して、大変、影響が大きいということをお知らせ。いろんなものの財源が不足してくる可能性がある』
2020年度の受入額が多かった自治体のトップは宮崎県都城市。お肉や焼酎など、人気の返礼品を揃え、約130億円に上りました。トップ20の自治体で、全国の受入額の2割ほどを占めているといいます。
(Q.上位20位に2割も集まっているということは、逆に減っていてダメージを受ける自治体もあるのではないでしょうか)
特に大きな都市では、そういう傾向が強いようです。東京23区の控除額、つまり、本来、支払われるはずの税が流出した額の推移を見ますと年々増加し、2021年度は約531億円になっています。
(Q.世田谷区では、減収額が約70億円。区民税のどれくらいを占めているのでしょうか)
70億円は、区民税収入の約5.8%にあたるといいます。これがどれくらいの金額かというと、学校、2校分の改築費用にあたるということです。今後も減少に歯止めがかからないと、高齢者施設の改修の遅れ、インフラ工事の遅れなどの影響が出てくると、世田谷区は話していました。
23区の区長から構成される『特別区長会』は、「一部の限られた自治体に寄附が集中する一方で、多くの自治体で返礼品の経費負担や減収に苦しんでいる」と先月、総務省に要望書を提出。控除額に上限を設けるなど、制度の抜本的な見直しを求めています。
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