「街はすでに臨戦態勢」包囲網狭まる首都キエフ 日本人ジャーナリストが緊急取材【報道特集】

「街はすでに臨戦態勢」包囲網狭まる首都キエフ 日本人ジャーナリストが緊急取材【報道特集】

「街はすでに臨戦態勢」包囲網狭まる首都キエフ 日本人ジャーナリストが緊急取材【報道特集】

ロシア軍が包囲網を狭めるウクライナの首都キエフを、日本人ジャーナリストの遠藤正雄氏と新田義貴氏が緊急取材した。静かな町と、市街戦に備え結束する市民たちの姿…キエフの今を報告する。

■ミサイル着弾の“テレビ塔” 警備するのは25歳の元大学生

キエフをめぐる激しい攻防戦が続いている。米政府高官によると、3月11日時点でロシア軍は中心部から15キロの地点に到達。さらに、別ルートから向かっている部隊も20キロから30キロの地点まで進んでいた。

ジャーナリスト・遠藤正雄氏
「(キエフを脱出する)車の数もかなり多くなってきました。この先どうなっているのか予測がつきません」

街を脱出する車の流れに逆らって、日本人ジャーナリスト・遠藤正雄氏がキエフに向かった。

遠藤氏
「キエフ市内に入りました。街並みが見えてきました」

大きな集合住宅が目に飛び込んでくる。人は見当たらない。街の中心部には3月1日にミサイルが着弾した、あのテレビ塔がそびえたっていた。着弾の際、隣の建物も攻撃され、周囲は煙に包まれた。火の粉が舞い、市民が命を落とした。その現場は今どうなっているのか。テレビ塔の周辺を警備していたウクライナ兵士がインタビューに応じた。

ウクライナ兵士
「2022年2月24日にウクライナへの全面侵略が始まり、ロシアとウクライナとの戦争になりました。彼らは我々の町をめちゃくちゃに破壊しました。無差別の大量虐殺です」

ウクライナ兵士の男性は25歳で、最近まで大学生だったという。

ウクライナ兵士
「ここは我々の祖国だから。必ず勝ちます」

■土のう積みから兵士への食料提供まで キエフ市民たちの結束

市民はロシア軍と戦う兵士を支えるために結束していた。通りに盛られた大量の土を袋いっぱいに詰め、大勢の市民が土のうを作っていた。そして病院の建物の前に積んでいく。

キエフ市民(男性)
「病院を守るための壁です。軍隊のため、国のためにやっています。ひとりひとりのために大切なんです」

キエフ市民(女性)
「全員がウクライナを守る準備ができています」

キエフ市内のいたるところに、銃弾を避けるための土のうが積み上げられていた。市民が中心となり、攻撃から身を守ろうとしているのだ。

遠藤氏
「市街戦が始まってもおかしくない状態ですが、街はすでに臨戦態勢を整えています。土のうが積んであって、一か所(隙間が)開いている。兵隊が銃を置いて市街戦に備えるためです」

軍に入隊する市民も多く、国民一丸となってロシア軍の侵入に対抗しようとしている。市内のステーキレストランでは…

ボランティアの男性
「レストランを改造して、寝る場所を作りました」
「ここで8人~9人が、1週間ほどボランティアとして働いています」

ウクライナ各地からボランティアにやってきた人々。キエフでは、大半の飲食店が営業を停止しているため、住み込みで働いている人もいる。作っているのは兵士のための食事。しかし、彼らは調理の仕事の経験はない。

ボランティアの男性
「ミュージックビデオのディレクターをやっています」
「PR会社でクリエイターとして働いています」

慣れない作業の中、毎日700人分以上の料理を作り続けている。食材はウクライナ全土から集まり、調達に困ることはないという。

ボランティアの男性
「田舎からはドライフルーツが送られてきました。見て下さい。野菜ジュースのボトルに、牛乳を搾って入れてくれているんです」
「皆で勝利に向かわなければなりません。軍隊、兵士、全てのウクライナ人、
病院や様々な場所をサポートしなければなりません」

侵攻を止めないロシア軍。キエフ包囲網は日を追うごとに狭まっている。

(報道特集 3月12日放送より抜粋・編集)
※情報提供は番組ホームページまで
(16日11:00)

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