ニュース放送中「戦争反対」 ロシア政府系テレビ“生抗議”

ニュース放送中「戦争反対」 ロシア政府系テレビ“生抗議”

ニュース放送中「戦争反対」 ロシア政府系テレビ“生抗議”

日本時間午後3時過ぎのウクライナの首都、キエフの映像。ロシア軍による攻撃で集合住宅が燃えています。消火活動が行われましたが、AP通信によりますと、この建物で少なくとも1人が死亡。また、中には複数の人が取り残されているということです。国連によると一般市民の死者は13日までで子どもも含め、636人にのぼるということですがロシアが攻撃の手を緩める気配はありません。

一方、軍事侵攻を正当化する国の方針を“代弁”するはずのロシアの政府系テレビ局で信じられない出来事が・・・

キャスター
「ロシアの首相はベラルーシ側との会談で、連合国間の協力を強化する必要性を・・・」
「戦争反対!戦争をやめろ!」

突然、女性スタッフがプラカードを掲げ“乱入”したのです。そこには・・・

「プロパガンダを信じないで。あなたはだまされている」

ロシアメディアなどによりますと、戦争反対を訴え生放送に映り込んだのは政府系テレビ「第1チャンネル」職員、マリーナ・オブシャンニコワさん。この後、警察当局に拘束されたということです。

マリーナ・オブシャンニコワさん
「残念ながら私はここ数年『第1チャンネル』でプロパガンダを作りながら働いてきました。とても恥ずかしく思います」

父はウクライナ人、母はロシア人だという彼女はビデオメッセージを事前にSNSに投稿。
 
ロシア国内では現在、ウクライナをめぐる反戦の動きは厳しく取り締まられていて、覚悟の上での行動とみられます。

こうした中、国境周辺に集結していたロシア軍の全部隊はすでにウクライナ国内に侵入。しかし、アメリカ国防総省の高官によると首都キエフの▼北西15キロ地点と▼北東20キロから30キロ地点に迫っている部隊も、この週末の間、ほぼ止まったままだということで、ウクライナ軍の激しい応戦が大きな要因だと分析しています。ただロシア国防省は南部のヘルソン州全域を制圧したと発表。南部の要衝オデッサにも近く、北には首都キエフが位置しています。

そのキエフの自宅に残るある男性が日本時間の昨夜、オンラインで取材に応じました。キエフの交響楽団で指揮者をつとめるマカレンコ氏です。

楽団のメンバーとともに9日には、市内中心部の独立広場で国歌「ウクライナは滅びず」を演奏しました。

マカレンコ氏
「自分にできることはすべてやりたいと思っています」

70人近くいた楽団のメンバーの大半がすでにキエフから避難しましたが、自らは残るといいます。

マカレンコ氏
「戦争が終わったら再び平和のための演奏を行います。戦争の前よりもさらにコンサートは増えるでしょう」

一方、外交で注目されるのが中国をめぐる動きです。

欧米メディアが中国がロシアへの軍事支援などに前向きな姿勢を示していると報道する中、米中の政府高官が7時間にわたり会談。

国家安全保障問題を担当するサリバン大統領補佐官は、中国の外交トップ、楊潔チ氏に対し中ロ連携への深い懸念を示すとともに、中国側の行動がどのような結果をもたらしうるか直接伝えたということです。

これに対し中国政府は「ロシア側は中国側への支援の要請を否定した」と強調アメリカ側の虚偽の情報だとけん制しています。中国では政府系シンクタンクの副理事長などを務める政治学者が11日、国外のウェブサイトに「ロシアによる電撃的な侵攻は失敗した」「プーチン氏との関係を一刻も早く断つべきだ」と習近平指導部の方針とは異なる内容を寄稿しました。しかし「アメリカに土下座するのか」などと批判の声があがり、国内のSNS上で相次いで削除されています。
(15日16:30)

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