「不信感」再審無罪の母親の訴え…国の違法性は認められず 27年前の女児死亡火災(2022年3月15日)
1995年に大阪市東住吉区で小学6年の女の子が死亡した火災。無期懲役の判決を受け、その後無罪となった母親の青木惠子さん(58)が、国(検察)と大阪府(警察)を相手に損害賠償を求めた裁判の判決が、3月15日に言い渡されました。
青木惠子さんは1995年7月、大阪市東住吉区の自宅で、当時11歳で小学6年だった長女を亡くしました。原因は入浴中の火事でした。
(青木惠子さん)
「娘を亡くした気持ちは何年経とうが変わらないし悲しみも消えない。お風呂も入れなかったんですよ、私。お風呂場で(娘が)亡くなっているから。15分だけ辛抱してぱっと(シャワー)浴びたらっていうので。それはもう本当にやっと入れるっていう大きな成果。私にしたらね。今年の話ですよ」
娘を失った悲しみに追い打ちをかけたのが2か月後の逮捕でした。青木さんは家に火をつけて娘を殺害した罪に問われることになったのです。青木さんは警察の苛烈な取り調べを受けることになります。
【警察の当時の取り調べメモより】
「めぐみちゃんに謝る気持ちはないのか」
「真実は1つやぞ」
「いくらメッキしても鉄は鉄や。金にはならんのや」
取り調べは10時間以上続き、時には長女の写真を見せながら大声で自白を迫ったのです。
裁判の結果は無期懲役。しかし青木さんは無罪を訴え続けました。そして2016年、再審=やり直しの裁判で、「火事は自然発火の可能性があり、警察などが虚偽の自白をさせた」として、無罪が確定しました。
冤罪はなぜ起きたのか。青木さんは「違法な取り調べで自白を強要された」「火災の十分な検証がないまま逮捕・起訴され20年以上身柄を拘束された」などとして、国と大阪府に対して約1億4600万円の賠償を求めました。
裁判では青木さんを取り調べた元警察官が証人として出廷。青木さんが「私を犯人だと思いますか?」と尋ねると、元警察官は「思います。あなたが書いた自供書は真実です」と述べました。
(青木惠子さん)
「東住吉事件を教訓に、二度とえん罪を作らない、ひどい取り調べをしないということを言えば、私はわざわざ国賠(訴訟)なんかしません。自分たちが間違った取り調べをしたということが全くわかっていない」
国と大阪府側は「違法な捜査はなかった」と終始反論し続け、裁判所からの和解勧告にも応じませんでした。
そして3月15日の判決。大阪地裁は警察官の取り調べについて「娘の写真を見せて助けられなかったことを責め続け、長時間大声を出して厳しく取り調べた結果、虚偽の自白をさせられた。母親としての情愛を利用して偽りの事実を述べながら行った取り調べは違法」だとして、大阪府に対して約1200万円の賠償を命じました。一方で「検察官の起訴は違法とは言えない」などとして、国への訴えを退けました。
(判決後に会見した青木惠子さん)
「まさかの国の違法を認めないと。本当に許せないというか、また人間不信。裁判所というよりも1人の人間としての不信感を抱いています」
青木さんは判決後の会見で「控訴する」と話しています。
一方、大阪府警は判決を受けて、「内容を精査したうえで今後の対応を決めたい」とコメントしています。
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