「職務の範疇を超えてしまった」大阪府警の警察官2人 家宅捜索中に”暴行”認める 別事件でも暴行か
大阪府警の警察官2人が家宅捜索中に男性を暴行した罪に問われている裁判が15日から始まり、2人は起訴内容を認めました。
きょう(15日)の裁判で、終始まっすぐ前を向いていた2人の男。大阪府警の警部補・時長力(51)被告と巡査部長の阪口裕介被告(33)です。
報告・福島 達朗 記者
「午後1時半です。逮捕された警察官の身柄が、検察庁に送られます」
警察官2人が問われている罪、それは家宅捜索の際の無抵抗の男性への暴行です。
2人が所属するのは「刑事部捜査4課」で、暴力団など反社会的勢力の捜査を担当する部署。
起訴状などによりますと、2人は今年7月、風俗のスカウトグループの拠点とみられる大阪市内のオフィスを家宅捜索した際、20代の男性に対し、阪口被告が腹や顔などを何度も殴るなどし、時長被告が押し倒すなどの暴行を加えたとされています。
暴行を受けた男性を含む4人は、職業安定法違反の疑いで逮捕されましたが、その後、「違法捜査」の可能性が高いことから釈放されています。
きょう(15日)から大阪地裁で始まった2人の裁判。
裁判長
「(起訴内容に)間違っているところはありませんか」
時長被告
「ありません」
阪口被告
「間違いありません。私の行為は職務の範疇を超えてしまったと思います。この件については、今後すべて正直に話そうと思います」
2人は、起訴内容を認めました。
冒頭陳述で検察側は、「差し押さえた(男性の)携帯電話のパスコードを教えるよう求めたが、拒否され、捜査に非協力な態度を見て、暴行を加えた」などと指摘しました。
捜査4課の捜査員を巡っては、別の事件の家宅捜索の際にも30代の男性に暴行を加えた疑いが出ています。
加藤 成年さん
「 もうこの状態から7人ぐらいに押し込まれて、僕はそのまま制圧されるというか胸ぐらつかまれて押し倒されるって感じです」
加藤さんによりますと、今年5月、捜査4課の複数の捜査員が監禁事件の関係先として、会社事務所兼従業員寮を家宅捜索。その際、捜査員に顔を膝蹴りされたり、殴られたりしたということです。
加藤さんは耳の一部を失ったり顔を打撲したりして、全治1か月のケガをしたと訴えています。
加藤 成年さん
「たまたま僕はここに住んでただけ。令状出されて『監禁場所がここ』と言われたんですけど、僕には関係ないんでね。それに事件関与しとったりとかしとったら、多少納得できるかなと思うんですけど、全くの無実」
加藤さんは先月、特別公務員暴行陵虐などの疑いで刑事告訴し、大阪府警が現在、捜査を進めています。
専門家は家宅捜索を妨害される場合には、対象者を押さえつけるなどの実力行使が認められることもあるとする一方、抑制的であるべきだと指摘します。
大阪大学大学院 水谷規男 教授
「特別公務員として特別の義務を負っているんだと、そういう自覚を捜査官は持たなきゃいけないはずなので、相手が半グレだから暴力団だからという理由で、もう有無を言わさず実力行使をしてもいいということになるかというと、それはならないと考えるべきだと思います」
社会悪をなくすためにいるはずの警察官。その「正義」を実現するためにも法に則った公正な捜査が求められています。
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