“戦闘激化”地下室に「手りゅう弾」・・・「人道回廊」設置も“守られぬ停戦合意”【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年3月11日)
10日、ウクライナとロシアの外相が、トルコ政府の仲介で、侵攻後初めて会談しました。ウクライナ側は、改めて停戦を求めましたが、ロシア側のラブロフ外相は、会談後の会見で「ロシアはウクライナを攻撃していない」と語るなど、両国の主張に大きな隔たりがありました。
■ロシア外相「ウクライナ攻撃していない」
1時間半に及んだ話し合い。その結果は・・・。
ウクライナ・クレバ外相:「印象では、ロシア側は停戦を成立させる気がない。ラブロフ外相は、意見を聞きにきただけと言っていた」
徒労感をにじませた、ウクライナのクレバ外相。一方ロシア側は、次のように話しました。
ロシア・ラブロフ外相:「我々は、ウクライナを攻撃していない。ロシアの安全が、脅威にさらされているのだ。これは、ウクライナという実験室で行われている、アメリカ国防総省の実験だ」
首都キエフへの総攻撃の可能性も指摘されるなか、ウクライナでは小児病院が空爆されるなど、各地の戦闘は激化しています。
■戦車同士交戦・・・生々しい“被害報告”
10日、ウクライナ軍は、戦車部隊同士の激しい戦闘を公開。場所は、首都キエフから北東に30キロほどの街・ブロバルイです。
北側から、10台以上の車列で進軍するロシア軍の戦車。街では、ウクライナ軍の戦車が待ち構えます。
両軍の戦車部隊が向かい合い、激しい打ち合いになった後、ロシア軍の戦車が撤退していく様子が映されていました。
映像では、ロシア軍の兵士とみられる人物の音声も公開されています。
兵士:「大きな被害が発生しています。敵の待ち伏せにあい、連隊長が死亡。他は確認中です」
通信相手:「確認が取れたら、私に報告しろ。分かったか!」
被害の報告を行う生々しいやり取りです。
兵士:「空爆や戦車による攻撃があり、確認した限り、バイラクタル(ウクライナ軍の無人攻撃機)が飛んでいます。被害状況は確認中」
一方、ウクライナ西部の街・ジトーミルでは、ロシア軍が市街地を空爆しました。上空を軍用機が通過、その数秒後・・・。
撮影者:「クソ・・・橋を攻撃したんだ」
10日、市長が被害の様子をSNSに投稿。火力発電所や、民間の施設が狙われたといい、さらに2カ所の病院にも爆弾が落ちたといいます。
ジトーミル市長:「第一病院と小児病院の、ほぼすべての窓が吹き飛びました。幸い病院では、負傷者は出ていません。我々は、生き残って頑張りましょう」
■地下室に10日間・・・「すごく怖かった」
首都キエフへの包囲が迫るなか、10日も7つの「人道回廊」が設置され、住民の避難が続いています。
首都キエフは、人道回廊を使い、他の街から非難してきた住民たちであふれていました。
CNN記者:「どこから来たんですか?」
避難する女性:「(キエフ近郊の)ボルツェルからです」
CNN記者:「それは、あそこの街ですね?」
避難する女性:「はい。ロシア兵に占領されていて、とても危ない場所でした。10日間、地下で過ごしていました」
CNN記者:「10日、地下にいたんですか?」
避難する女性:「大変な恐怖でした。すごく怖かったです」
すでに、街はロシア軍により占領されたといい、電気も食べ物もない極限の状態のなか、地下室で10日以上避難を続けていたといいます。
■極限状態・・・地下室に「手りゅう弾」
住民たちから聞かれたのは、ロシア軍から受けたという恐怖の数々です。
避難する女性:「家にロシア兵が入ってきて、射殺しようとしました。私ではなく、夫が先に出ていたら、殺されていたでしょう。すべてを取り上げられました。家も、車も・・・。やつらは庭に戦車7台を置いて、家を盾にして撃っていたのです」
避難する男性:「同じ地下室にいた仲間は、ロシア人に殺されました。 人がいた所に、手りゅう弾が投げこまれて。外へ逃げようとしたら、機関銃で射殺されました」
住民によると、ロシア軍は避難する住民の携帯電話を気にしていたといいます。
避難する男性:「ロシア軍の検問所では、男は上半身、服を脱がされて、携帯電話を没収されました」
CNN マシュー・チャンス記者:「砲撃の下で、避難するのは脅威では?」
キエフ市副市長:「それは本当に脅威ですが、私たちには、選択の余地がありません。何千人もの人々が実際に、地下で1週間以上過ごしています。医療支援も受けられず、食べ物も電気もなく、住民は私たちに助けを求めているのです」
CNNによれば、この避難の間も砲撃が続いていて、停戦協定は守られていないといいます。
取材中にも、バスの後ろで、鳴り響く砲撃音。車内の住民は、心配そうに後ろを振り返っていました。
■首都キエフ・・・一日10回“空襲警報”
ロシア軍に包囲され、大規模な戦闘が懸念されるのが、キエフです。
キエフで避難生活をするユーリア・クリメンコさん:「私は、次に何が起こるか、不安を抱いていますが、キエフに残ります。明かりをロシアの飛行機に見られないように、電気を消して、地下や暗闇の中で暮らしています」
日本時間の11日未明、番組の取材に応じたのは、家族でキエフにとどまっているユーリア・クリメンコさんです。
夫と子ども、両親の合わせて5人で空襲警報が鳴る度に、自宅の地下室に避難する生活を続けています。
ユーリアさん:「もし、ミサイルが家に当たった時、電気がつかなくなるのは想像できるので。その時のために、ろうそくもたくさん用意しています。ジャガイモもたっぷりあるから、長期間ここで生活していけるでしょう」
空襲警報が、一日に10回から12回ほど鳴るというキエフ。ユーリアさんが、今一番気掛かりだというのは、キエフ近郊のイルピンに住む友人のことです。
イルピンでは、ロシア軍による民間人への攻撃が後を絶たないといいます。
ユーリアさん:「イルピンの人たちは、ロシア兵に殺されるので、逃げられません。食糧や水を運ぼうとするボランティアも殺されています。ボランティアが乗った市民の車に対して発砲するし、最低なんです」
ユーリアさんは、ロシア軍が撤退するまで、キエフにとどまる決意です。
ユーリアさん:「キエフは面積が広いし、川などもあって、地理的に守られています。ロシア軍は、キエフを制圧するのには、不十分な軍事力で攻めてきているので。私は、キエフが防衛しきれることを信じています」
■避難者に希望「戦場のバイオリニスト」
連日、ロシア軍の激しい砲撃にさらされているウクライナ第2の都市・ハリコフでも、ほぼ一日中ロシア軍の砲撃が続いているといいます。
地下室に避難しているヴェラ・リトフチェンコさん:「朝の1、2時間ほど砲撃が止む時があります。彼らにも、休憩が必要なのかもしれません。きょうは30分ほどでした。今は、まだ危ない状況なので、この地下室にいます」
ハリコフの地下室で避難生活を送るヴェラ・リトフチェンコさん。不自由な避難生活が続くなか、ウクライナの人たちを勇気付けようと“あること”を始めました。
ハリコフでは、有名なバイオリン奏者のヴェラさん。舞台衣装のドレスを身にまとい、毎晩、バイオリンコンサートを行っています。
地下室からヴェラさんが投稿した演奏の動画は、「戦場のバイオリニスト」として、SNSでまたたく間に拡散。世界中から、激励や賞賛のコメントが寄せられています。
ヴェラさん:「戦争をやめてほしい。ウクライナ人は、平和を望んでいます。ハリコフは、ロシア語の街です。ロシア人やロシア文化を嫌うことはありません。この戦争が終わることを願い、この街を立て直し、平和に暮らしたいだけです。世界中がそうあってほしい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年3月11日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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