「人道回廊」初実現 ウクライナ市民が5000人避難・・・一時停戦もロシア軍砲撃(2022年3月9日)

「人道回廊」初実現 ウクライナ市民が5000人避難・・・一時停戦もロシア軍砲撃(2022年3月9日)

「人道回廊」初実現 ウクライナ市民が5000人避難・・・一時停戦もロシア軍砲撃(2022年3月9日)

 ウクライナの一部で、市民が避難するためのルート「人道回廊」が初めて実現しました。ただ、ロシア軍による攻撃は続いていて、本当に安全に避難できるかは不透明です。

■国内ルートで合意 5000人が避難

 ウクライナ中部の都市ポルタワに、ずらりと並んだバス。北東部スムイの一般市民を避難させるためのものです。

 一時停戦し、民間人を避難させる、いわゆる人道回廊。これまで停戦協議でも話し合われてきましたが、実現には至っていませんでした。

 そんななか、初めて避難する市民を移送する様子が伝えられたのです。ウクライナ政府は、スムイから5000人が避難したと発表しています。

 今回、ロシア側が設定した人道回廊は、首都キエフや南部マリウポリなど5つの都市からのルート。しかし、ほとんどが、戦争を仕掛けてきたロシアやベラルーシ側に避難するというものでした。

 一方、ウクライナ側は、スムイからポルタワまでの国内ルートの設置で合意したと発表しました。

 ウクライナ・ベレシュチュク副首相:「市民を避難させる『人道回廊』のルートは1つしかない。他のルートは認めない。ロシア側は、人道回廊の爆撃を計画しており、避難者を別ルートに誘導する工作が準備されている情報がある」

 ウクライナ側は、これまで人道回廊を設置し、移送の準備をしたものの、ロシア側の攻撃で避難できなかったと主張しました。

■釘刺し「攻撃すれば全世界目撃」

 ゼレンスキー大統領は8日、南部のマリウポリにも、避難車両や支援物資を送ると発表。その際、ロシアに対して釘を刺しました。

 ゼレンスキー大統領:「車両や人々に攻撃をするのであれば、全世界が目撃することになる」

 この言葉もむなしく、ウクライナ外務省は8日、マリウポリからザポリージャの間に、避難ルートとして設置された人道回廊に向けて、ロシア軍が砲撃。一時停戦が破られていると伝えました。

 また、赤十字国際委員会の事務局長は、「マリウポリの“人道回廊”に地雷が埋まっていた」と明かしています。

 ウクライナのクレバ外相は、「ロシアが赤十字国際委員会との合意にもかかわらず、マリウポリの30万人を人質に取って、人道的な避難を阻止している」と批判しました。

 一方、プーチン大統領は「ロシア軍は、市民を避難させるため、何度も停戦を宣言した。しかし、ウクライナ側が、住民に対する暴力や挑発行為で阻止した」と主張しています。

■協議で・・・ロシア側“退陣”要求か

 ゼレンスキー大統領:「春なのに雪が降っています。こんな戦争で、こんな春で、厳しいです。でも大丈夫!私たちは勝利します」

 ゼレンスキー大統領は、日本時間の8日午後7時半ごろ、新たな動画を公開しました。

 あえて屋外に出て天気に触れたのは、健在ぶりをアピールするためでしょうか。動画の最後は、ウインクで終わっていました。

 ゼレンスキー大統領を巡っては、停戦協議でロシア側が退陣を要求。さらに、親ロシア派の後継就任を求めたとウクライナ紙が伝えています。

■砲撃に泣き避難「プーチンは怪物」

 人道回廊が設置されたスムイですが、7日の夜に空襲で大きな被害を受け、子ども2人を含む18人が死亡しました。

 雪の降るなか、倒壊した建物からの救出が夜通し続けられました。

 キエフ近郊のイルピンでは、砲撃の音が鳴り響くなか、多くの市民が避難していました。

 どれくらい歩いたのでしょうか。杖をついた女性は、疲れ切った様子で休んでいます。泣きながら歩く人の姿もあります。

 避難者:「プーチンは犯罪者です。プーチンは怪物です」「どうして助けてくれないの?アメリカ人、イギリス人は。飛行機はどこにあるの?」

 国連人権高等弁務官事務所は、ロシアの攻撃によって、民間人474人が死亡し、861人が負傷したと発表しています。

■ジャーナリストも・・・ロシア軍銃撃

 ロシア軍の攻撃は、取材を続けるジャーナリストにも及んでいます。

 記者:「何が起こっているんだ!」「銃撃をやめろ!」「ジャーナリスト!私たちはジャーナリストよ!」

 国際条約などでは、ジャーナリストへの武力攻撃は許されていません。記者は身分を叫び、銃撃をやめるよう訴えますが、銃撃は続きます。

 取材クルーは、車内から必死に脱出。CNNによると記者が負傷し、カメラマンが防弾チョッキに2発被弾しました。

■戦力“100%近く”投入か・・・米分析

 侵攻開始の時点で、20万人近くが国境付近に集結していたロシア軍。アメリカ国防省の高官は、すでにその100%近くがウクライナ国内に投入されたと分析しています。

 また、ロシア政府が、市街戦の経験が豊富なシリア兵を募集しているとの情報も明らかにしました。

 カービー報道官:「ロシアがウクライナでの戦力増強に向け、シリア兵を求めているのは事実だろう。プーチン氏が、外国人部隊に頼らざるを得ないというのは、注意を引く動きだ」

 プーチン大統領は、作戦に参加するロシア兵について、次のように語っています。

 プーチン大統領:「軍事作戦には、徴兵期間を終えた兵士たちは、参加していませんし、これからも参加しないことを強調致します。また、予備兵の徴集は行いません。立てられた課題の遂行は、プロフェッショナルな軍人のみが解決します」

(「グッド!モーニング」2022年3月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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