増え続ける民間人の犠牲 “人道回廊”機能せず 地雷？退避先？不信感募る(2022年3月8日)
ロシア国防省は日本時間の8日午後4時から3度目の「人道回廊」を設置し、一時停戦すると発表しています。ただ、この人道回廊とされた道路には、地雷が埋没されていたとの指摘もあり、不信感も膨れ上がっています。
黒海沿岸の街、ミコライウです。
通りには真っすぐ走れないようバリケードが置かれ、路上には激しく損傷した軍用車が放置されていました。
その車体にあったのは、ロシア軍の所属を示すとみられる「Z」の文字。ほとんど無傷に見えるロシア軍の戦車も放置されています。
記者：「ロシア軍は戦車を置いて行った？」
ウクライナ軍兵士：「そうするしかなかったのさ」
ミコライウは、ロシアが制圧した地域のギリギリ外側に位置しています。
ただ、日々、負傷者が病院に運び込まれ、民間人の死者は増え続けています。
ここで13日間働いている医療従事者の男性。2014年にロシアが一方的に併合したクリミアから来たと言います。
医療従事者：「昔の友人に言いたい。君らは私を裏切った。君たちはプーチンを支持している。本物のファシストの。私の家族は、君たちの怪物のせいで地下室に隠れている」
ウクライナ第2の都市、北東部のハリコフの病院にも次々と負傷した民間人が運び込まれています。
患者が横たわるベッドが置かれているのは病室ではなく廊下です。
負傷した女性：「砲撃された時ガレージに隠れていました。頭を負傷しました」
7日、ウクライナとロシアは3回目の停戦協議に臨みましたが、停戦の実現につながる具体的な成果は得られませんでした。
ロシア、メジンスキー大統領補佐官：「あすは人道回廊が機能することを期待する」
民間人を避難させるために一時的に停戦する人道回廊。ロシア側は日本時間の8日午後4時からキエフやハリコフ、スムイなど5つの都市に人道回廊を設置すると発表しました。
ただ、ロシア、7日にも4つの都市で人道回廊を設置したとしていましたが、避難先に指定したのはロシア国内やロシア軍の拠点となっているベラルーシでした。
ウクライナ、ベレシュチェク副首相：「この人道回廊のシナリオは容認できない。（キエフ州の）イヴァンキウ、ディメル、ブイシュホロド、キエフの住民は、最終的にロシアに連れていかれるためにベラルーシに行くことはない」
ただ、今回はウクライナのベレシュチェク副首相も北東部スムイから中部ポルタワの区間で停戦し、避難ルートを設置すると発表しました。
ロシア国防省と支援にあたる赤十字も正式に合意したルートだといいます。
ただ、以前、国際赤十字委員会はマリウポリに入っている職員が民間人の退避を準備していたものの、人道回廊とされた道路に地雷が埋められていたため、避難ができなかったと明らかにしています。
米国防総省・カービー報道官：「ここ数日、ロシア軍の侵攻は遅延が続いていて、目立った進展を見せていない」
ロシア軍の侵攻が計画通りに進んでいない一因に、兵士の多くが訓練の足りない徴兵された兵士だからという指摘があります。
プーチン大統領もこの指摘を意識しているようです。
プーチン大統領：「徴兵された兵士は軍事作戦に投入されていないし、されることもないと強調する」
国防総省は、地上部隊の進展がないなか、ロシア軍が長距離からの攻撃を増やしていると指摘しました。
米国防総省・カービー報道官：「長距離から攻撃に頼るようになれ、それだけ損害を出し、より多くの人を殺し、傷付ける。それが今、起きていることだ」
また、カービー報道官はロシア軍がシリアで兵士を募集しているという見解を明らかにしています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカ当局の関係者の話として、集めているのは市街戦を得意とする兵士だと伝えています。
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
