「来てほしいけど…」震災後初の団体客も…今も観光客戻らず 金沢が抱えるジレンマ【報道ステーション】(2024年1月19日)
“日本三大菓子処”の1つとして、和菓子を楽しむのも人気な金沢市。震災後初めて、和菓子作り体験に団体客がやってきました。隣の福井県からの日帰りバスツアー、32人です。
福井県からの観光客(40代)
「うれしいです。自分の手でできると思わなかった。遊びに来ると言うと、心苦しい気持ちはあったけど、観光客がいなくなると寂しいかなと」
ただ、いつもなら50~60人集まる個人客は、1人も来ませんでした。
石川県観光物産館 林稜馬営業主任
「(Q.震災後、キャンセルは)数えられないくらい」
福井県からの観光客(70代)
「キャンセルしようかと思ったけど、旅行社の人が『大丈夫です』と。力仕事は何の役にも立てないから、(観光で)少しでも協力させて頂こうかなと」
金沢市内は最大震度5強でした。しかし、旅館からのまとまった注文なども止まり、売り上げは9割減ったままだといいます。
加藤晧陽堂 加藤晴彦さん
「来られるお客さんの分だけ作らせて頂ける。来ないと、お客さんが少ないと仕事がない。あまり大きな声で『来てほしい』とは言えない。複雑な気持ちですよね。同じ県に生まれた者として、非常に心が痛い」
◆能登の寒ぶりがつなぐ“思い”
『寒ぶり』は、能登を代表する冬の味覚。被災した港から届いたものです。
大口水産 荒木優さん(63)
「(定置網に)量はあるが、取りに行けない。漁師さんも苦渋だと思う」
19日朝の金沢港。能登の2つの港で水揚げされた、約1100本が取り引きされました。このぶりが、前日に水揚げされた能登町宇出津港は『のと寒ぶり』の拠点ですが、今は競りができず、氷も作れません。金沢から分けてもらった氷を積んで漁に出ています。
漁師50年 六谷智一さん(64)
「網が津波にさらわれて、残った網で漁をしている」
「能登の漁業は大丈夫」と全国にアピールしたいと、避難所から漁に向かう漁師もいます。
ぶりを買った人「求めていたぶりです。能登のぶり。美味しくいただきます」「(Q.今買われたのは)能登のぶり。涙が出ます。気の毒で。知り合いも家を流されましたし。なかなか行きたくても…せめてこれくらい」
大口水産 荒木優さん
「近江町市場が、金沢が一生懸命頑張って。その元気を能登にも波及していきたい。何をどう頑張ればいいのか分からない状態の中で“1本でも”の気持ちで持って来てもらえる。非常にありがたいことで。それ以上に頑張らないで、とにかくこの状態を耐えて『この状態に負けないでほしい』というのは、金沢にいる者の思い。その思いを乗せて、1本のぶりを大事に『美味しいよ』って売りたいです。(Q.期待に応えたい思いが?)何を取っても、何でもいいから取って来てくれ。頑張って売っています」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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