「2000年耐震基準」・揺れの“周期”の違いか…調査で見えてきた住宅倒壊の原因【報道ステーション】(2024年1月17日)

「2000年耐震基準」・揺れの“周期”の違いか…調査で見えてきた住宅倒壊の原因【報道ステーション】(2024年1月17日)

「2000年耐震基準」・揺れの“周期”の違いか…調査で見えてきた住宅倒壊の原因【報道ステーション】(2024年1月17日)

能登半島地震から17日目になります。

いまだ、全容が見えない建物被害。1つの特徴として目につくのが、震度6以上を観測した地域で相次いだ木造家屋の倒壊です。

ただ、そのなかでも状況が異なる場所があります。
最大震度7を記録した石川県志賀町。住宅地を見てみると、強い揺れに見舞われたにもかかわらず、建物自体が倒壊するまでには至っていません。

一体、なぜなのでしょうか。
現地で調査をした京都大学防災研究所・境教授は、地震計が記録した“揺れの周期”に注目しています。
京都大学防災研究所・境有紀教授:「震度7を記録したK‐NET富来という所ですけど、ここは非常に短周期の0.2秒なので、1秒間に5往復、非常に早くというか、ガタガタガタというような揺れ。そういう揺れ方は、震度が大きくなるが、建物の大きな被害には結びつかないような揺れ方」

局所的に起きた“短い周期の振動”。
1月1日、能登の4地点で観測された波形をもとに揺れを再現した実験を見ると、輪島市・珠洲市・穴水町の3地点が前後左右に大きく揺れるのに対し、志賀町は小刻みに揺れています。

今回の地震、輪島市や穴水町など、各地で1秒~2秒の周期の振動が観測されています。木造家屋や低中層の建物を倒壊させやすい特徴があり、阪神淡路大震災でも被害拡大につながったといわれているものです。それが志賀町では観測されていません。被害に違いが出たのは、地盤の固さではないかと境教授は指摘します。
京都大学防災研究所・境有紀教授:「(揺れの周期は)震源と伝搬経路と表層地盤の掛け算で揺れが決まるといわれるが、表層地盤の影響はかなり大きくて、志賀町は地盤が固い。固いということは、地盤そのものは非常に短い周期になっているので、短い周期が出やすい」

境教授がもう1つ現地調査で感じたことがあります。穴水町の光景を目にしたときです。
京都大学防災研究所・境有紀教授:「ひどい被害だと思ったのが第一印象ですが、対照的に、倒壊して完全につぶれている建物の横で、ほとんど何もない状況の建物もかなり多くて。2000年に耐震基準が改正、それ以降に(建築)と思われるような築20年以内くらい」

『2000年の耐震基準』。これは、阪神淡路大震災に由来する話です。
29年前の17日、震度5に耐えることを前提とした『旧耐震基準』の家屋の64%に大きな被害が出ました。さらに、震度6強以上に耐えることを目的とした『新耐震基準』の木造家屋にも被害が出たことから、もう一段階上の基準が作られました。それが『2000年耐震基準』。2000年以降に建築された木造家屋には、柱などの接合部分を金具で補強することや、地盤の状況に応じた設計が義務化されました。

これが、穴水町の住宅の倒壊に差が出たのかもしれません。境教授がそう指摘する理由があります。能登半島は、2007年にも地震が起き、穴水町では20%近い木造家屋が倒壊したといい、いま町には、その後、建てられた新築、つまり、2000年以降に建てられた家が多いのではないかという見立てです。
京都大学防災研究所・境有紀教授:「(Q.新基準以降の建物被害は少なかった)少なかったというより、“圧倒的に少なかった”ぐらいの印象。一番避けなければいけない被害は“倒壊”してしまうことです。2000年の基準を満たすのも、耐震補強をするのも方法は違っても、耐震性能を上げる意味では同じですので、そういうことをしていけば、今回くらいの地震が来ても、大きな被害にならずに済むことがある。将来的には、ぜひ考えていただきたい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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